
フフフフ。

・・・・

ちょっと!

は、はい?

なんで見てみぬふり?

触らぬ神に祟りなしと思いまして。

それ直接あたしに言うかな?ってかどうせなら祟られろよ!

えー、どゆこと?

ほら、あたしは今話題のずぼらバリ嫁Hiromiじゃん!インドネシア人との国際結婚で一躍有名になった。

すみません、存じ上げてなくてですね。えっとホントにインドネシア人と結婚したの?

見てよ、この写真。

わお!趣味がコスプレなんですね!

おい、どう見たって結婚式でしょ。民族衣装を着てんだよ!

なるほど、ほんとにインドネシア人と国際結婚してるんだ。
インドネシア人の旦那との出会い

旦那さんってどうやって出会ったの?バリ、ジャカルタ?

ちゃうちゃう!秋葉原!

お、日本なんだ。

そう、旦那くんは日本語を学ぶ留学生だったんだよ。

で?

で、旦那くんが住んでたシェアハウスにあたしも住んでたってわけ。4階建ての一軒家を14人でシェアしてたんだけど、半分が日本人で半分が外国人だったよ。

シェアしすぎでしょ!で、早速付き合ったんだ。

いや、その時はまだ付き合うも何も、出会って二週間で旦那くんがインドネシアに帰っちゃったのよ。
でも当時のハウスのメンバーと半年後にバリへ遊びに行くことになって、また再会したの。

そこから付き合ったってわけか。

まあそうね、遠距離だけど。お互いに行ったり来たりしてた。

へー、すごいエネルギッシュ。でも、その状態だと結婚は難しいよね?

まあね、でもあたしはバリで仕事を見つけて引っ越しちゃったってわけ。

国際結婚となると、親は心配しなかったの?

もしかしたら、してたのかもしれない。でも「Hiromiのことだからね~」と案外すんなり。たぶん、あたしが言っても聞かないのを分かってたんだよ。

あー、確かに人の言うこと聞かなそー。

おい!「意志が強い」と言ってもらってもいいかな、そこ?
あとラッキーなことに、うちは旦那くんが日本に住んでいたこともあったし、日本語で会話ができたから。その点は多少の安心材料にはなったかもね。

「言葉の壁」はクリアしてたってわけか。

逆に大変だったのは旦那くんの方!家族で唯一の男の子だったこともあって、付き合いだした頃はいろいろ言われたみたい。

え?なんでなの?

バリは長男が家を継ぐって風習がまだまだ根強いからね。バリ人はバリ人同士っていう考え方も一般的だし。

そうなんだね。でも、どうやって結婚までこぎつけたの?

親戚のおばちゃんで占いができる人がいて。「私が見てあげるから、相手の写真持ってきなさい」って言われて、見せたんだって。そしたら「あら、やだ。この人大昔にバリにいたことがあるわ。バリ人の生まれ変わりよ」みたいなこと言われたみたいなの。

おー、いかにもバリらしいな。ってかHiromiさんホントに大昔にバリに居たの?

おるわけないやん!!!
バリ人との結婚式はどんな感じ?

結婚式はどんな感じだったの?

インドネシアの結婚式は、本人達のイベントっていうより、親の一大イベントって意味合いもかなりあるんだよね。

へー、それは日本とちょっと違うかもね。

あたしたちはバリの伝統的な結婚式と、友達向けのレセプションパーティーの両方をやったんだけど、招待客のほとんどはお義父さん、お義母の友人で占めてたな。

何人ぐらい呼ぶの?

バリの式は400人、レセプションパーティーの方で200人来たかな。

多っ!

でもちょうどラマダンの時期だったこともあって、ムスリムの人達があまり来れなかったことから予想していたよりはずっと少なかったんだけどね。ちなみにバリの式は新郎の実家でやることが多いよ。

そうなの?自分の家に400人も招待できないよ!

まぁ、一気に400人来るってことはなくて、昼に来る人、夜に来る人マチマチだし、だいたいごはん食べたらみんな帰るしね。でもうちもスペース確保のために、裏庭にあったジャングルを切り崩して更地にしたよ。

なんと大掛かりな!

ちなみにその400人のうち、私が知っている人はたぶん1割もいなかったな。

えー?じゃあ残りの9割は?

旦那くんの両親の友人や知り合い、バンジャールっていう自治会の人がほとんど。でもね、完全にこの人達ただの通りすがりの観光客だろっていう外国人もいたわ。普通に座ってごはん食べてたけど。

なんと、ただ飯族!

式の前日から、親戚だけを招いての儀式(新郎が新婦を迎えに行く儀式)や式の準備があってたくさんの人が家を出入りしているし、式当日も私は朝からポトンギギ(成人式のような意味合いで、ヤスリで犬歯を削る)というバリの通過儀礼のイベントがあったりで、寝る暇もほとんどなく、結婚式は本当に体力勝負なんだと思ったよ。朝の4時から着付けを始めて、全部終わったのは夜の21時を過ぎてたね。
(ポトンギギをするHiromi)

きっつ、そんな結婚式は体力がいるんだ。

ホント、タイキくん、今から走りこみはじめた方がいいよ。

おっす!

絶対やらんでしょ!!

でこれだけの人呼ぶとなるとお金も相当かかるんじゃない?

そうだね、ぶっちゃけバリの伝統的な式だけでRp.300.000.000(日本円で約238万)はかかったみたい。

おー、結構するね、日本の結婚式もバリの結婚式も。

招待客の数やイベントの内容、お料理のケータリング委託先なんかの選択によってはもうちょっとコストを抑えることもできるはずだけど。ホントさ、結婚式にかける意気込みが日本のそれとちょっと違う感じがしたよね。

日本でいうところのご祝儀みたいな習慣はあるの?

うん、あるある。でも日本のご祝儀事情とはちょっと違っていて、特に親しい間柄でもなければ包んでくれるのはRp.50.000(日本円換算400円)程度かな。お祝いは物でっていう人もかなり多かったから、ご祝儀を式の費用足しにって考えるのは難しいかも。

ちなみにお金以外のお祝いだとどんなものをもらったの?

タオル、クバヤ(バリ人女性の民族衣装)用の布、お祈りに使うためのガラスのお猪口6個パックがほとんどだったかな。結婚して5年は経つけど、まだおろしていないタオル、たくさんあるよ。

どんだけタオルもらったんだか。
ふと思ったんだけど、バリの結婚式って屋外だよね?雨が降る心配はなかったの?

式の日取りを乾季の7月にしてたから、大丈夫かなっていう気持ちはあったよ。あ、ちなみに式の日取りはね、僧侶が決めるっていうか教えてくれるの。

へー、僧侶か、いろんな人がかかわるんだね。

「今年だったらこの日とこの日があなた達の結婚に良い日です」なんてことを言われて、その中から選ぶの。
であたしたちは確か1月と7月の2択だったから、じゃあ準備に時間的余裕もあって乾季の7月がいいねって。

日本だといい夫婦の日(11月22日)とかバレンタイン(2月14日)なんかのイベント日が人気だけど、自分で決められないならしゃーないね。

そういうの憧れるなぁ。

まあまあ。

バリのカレンダーでいうところの大安とか友引みたいな日を選ぶから、同じ日にあっちこっちで結婚式があるんだよ。私も同僚と結婚式の日が被っちゃって、みんなハシゴで大変だったと思う。

むしろ一気に済んでよかったんじゃない?

確かにそうかもね。そうそう雨対策だけど、バリにはパワンウジャンって呼ばれる雨を止める人達がいてね。あたしも結婚式のときにお願いしたよ。

誰だよ。そいつ!超能力者?

超能力者みたいなものかな。大切なイベントの日とかに依頼して雨が降らないようにお祈りしてもらうの。あたしたちのバリ式の結婚式の日は朝からめっちゃ快晴だったんだけどさ。レセプションパーティーの日のお天気がいまいちで。その日来てくれたのがおじいちゃんのパワンウジャンだったのね。

うぉー、おじいちゃんのパワンウジャン!

なぜかその人一家総出でやってきて、レセプション中はずっとつまらなそうに隅っこの方で地べたにあぐらかいてたんだけど、途中雨がパラパラ降りそうになると、ものすごい勢いでおじいちゃんがさ、スクリーンによじ登って。こう、かーってお祈りするわけさ。するとやむんだよね。不思議なことに。
結婚前と結婚後

ところでさ、結婚前と結婚後で大きく変わったことはある?

実は・・・あまりなかったんだよね。

え?そうなんだ!

旦那くんは苗字がないから、姓も変わらなかったし、当時は仕事も続けてたから結婚後もずっと就労ビザを使ってたしね。

ん?ビザはわかるけど、苗字がないの?

そう、バリ人には苗字がないって言われたから、そういうものかーと思って疑いもしてなかったんだけど。結婚後5年して、古い家系図が出てきてさ。実は苗字があったんだよ!でももう今さらって感じでしょ?

うーん、いつ苗字が消えたんだろ?
住む場所とかはどうなのさ?

あたしの場合、ちょっと特殊かもしれないけど、結婚前からお義母さんと一つ屋根の下で暮らしてたんだよね。だから住む場所も変わらなかったし、とりたてて大きな変化は感じなかったな。

そういうもんなのか?

しいて言えば、旦那くんを誰かに紹介するときに今まで彼氏(pacar)って呼んでたのが夫(Suami)に変わったぐらいかな?

なーんだ、そんなもんかぁ。

「国際結婚」っていうとなんか特別な感じに聞こえるかもしれないけど、育ってきた環境や考え方の違う二人が一緒になるという意味では、日本人同士の結婚となんら変わりはないのかもね。

国際結婚のメリットとデメリット

国際結婚してよかったことと逆にこれは大変だったなってこと、それぞれ何かある?

そうね、よかったことはある意味割り切れるというか。日本人同士だったひょっとして「なんでそこわかってくれないかな、ムキー!」ってなっちゃうかもしれないところも、「ま、違う人間だし、仕方ないか」みたいな。

なるほどね。

あとは、文化的な違いによるところが大きいと思うんだけど、仕事第一優先じゃないところ?もちろん仕事もちゃんとするんだけど、家族や友人と過ごす時間を一番大事にするのはいいことだなって。日本人はちょっと真面目すぎちゃうところがあるのかも。もちろんそれはいいことなんだけど、頑張りすぎてアンバランスというか。それでストレスの人、本当に多いと思う。

それはわかるかも。

あと、家事のアウトソーシングに対してネガティブでないのは助かってるかも。インドネシアだとお手伝いさんがいるお家もあるし、Go-Cleanのようにアプリで簡単にお掃除を頼めるサービスもあるでしょ。

そうだね、メイドさんを雇っているところも多いもんね。


外食やテイクアウトもお店にもよるけど、そこまで高くはないから毎食家で作らないとダメってこともないし。もちろん、自炊した方がヘルシーではあるんだけどね。ランドリーショップもあっちこっちにあって1キロ7.000ルピア(日本円換算54円)とか格安でできるから、お願いする人も多いしね。

ズボラなHiromiさんにはもってこいの環境じゃないですか。

バレたか!
細かい結婚までの流れ

逆に大変だなと思うのは?

やっぱり手続き系はとにかく面倒くさかった。まずしたのが、改宗。

やっぱ改宗ってしなきゃいけないものなんだ。

インドネシアで婚姻届を出すためには、夫婦共に同じ宗教である必要があるからね。改宗をせず夫婦別の宗教のままでも結婚自体はできるそうなんだけど、例えばどちらかが先に亡くなった際、葬儀の方法が異なるなどの問題で、遺体の引き取りに時間がかかるなど別の問題が出てくることは実際あるみたいね。

改宗っていうとなんだかビックイベントのようなイメージだけど、どんなことするの?

あたしの場合は、旦那くんがヒンドゥー教だから、仏教からヒンドゥー教への改宗だったんだけどね。僧侶のお宅にお邪魔して、お供え物を渡して、お祈りと儀式をしただけ。半日ほどでできたよ。

ちゃんと証明書までもらえるんだ!
(ヒンドゥー教への入信証明書)

次にやったのが、公証人のところにいって財産分与に関する覚書。

結婚前にやるんだね!

「分与」とは言うけどさ、要は、インドネシアの法律では外国人が土地や家などの財産を所有することができないから、もしものことがあっても私は財産を夫から相続できないことを理解しました、みたいな感じかな。

そうなんだ、なんか結婚前からシビアだね。

それから結婚証明書への署名。さっき、結婚式にバンジャール(自治体)の人達がわんさか来たよ!って話をさっきしたと思うんだけど、その人達が結婚証明書をもって来るのね。それにその場でサインをするの。証人の欄もあるから、私たちは両家のお父さんにサインしてもらったんだったかな。

ただフラフラごはんを食べに来たと見せかけて、かなり重要な役割を担ってるんだね。

そうそう、このバンジャールからの証明書がないとこの後の手続きに進めないからね。なんちゃってキーマンだよ!それで証明書をもらったら、それとその他必要な書類を準備して、民事登録局でAKTA NIKAH(公的な結婚証明書)を発行してもらうんだけど、このプロセスはもうとてつもなく面倒臭そうだったからプロに丸投げしちゃった。

エージェントにお願いしたわけか。

ここは潔くね、お願いしました!式は7月だったけど、AKTA NIKAHができたのは10月入ってからだったかな。できたてほやほやのAKTA NIKAHをもって、11月の一時帰国のタイミングで日本の市役所にも無事、結婚届を出したよ。日本での手続きは実にシンプルでよかったわー。

そりゃあね、大変なインドネシアでの手続きと比べちゃうとね。

まあね。でも、その時はじめて知ったんだけどね、外国人は戸籍に入れないの!結婚届を提出したことによってあたしが筆頭の戸籍が新たに作られるわけなんだけど、旦那くんの名前は戸籍の欄には載らないで、私の身分事項欄のところにちっちゃく書かれるの。

へー、それは国際結婚しないとわからなかったことだね。

あと、私は結婚後も仕事を続けていたから就労ビザをそのまま使っていたんだけど、配偶者ビザを取る人はAKTA NIKAHが出たらその手続きもできるよ。

手続き多いな~。
(結婚証明書)

あー、もうわけわからんくなった。

だろうね、ここらでちょっと結婚までの流れをまとめてみるよ。あくまでも2013年当時の私のケースだから参考にはしてもらえるけど、実際に手続きをする場合は、最新の情報を確認をしてからの方がいいかも。
STEP.1
改宗
改宗する宗教により異なるが、ヒンドゥー教への改宗の場合は通常、僧侶のお宅にお邪魔して、お供え物を渡し、お祈りと儀式を行う。半日ほどで終了。
STEP.2
公証人による財産分与に関する覚書
外国人の場合、インドネシアの法律では土地や家などの財産を所有、相続することができないことを書面にて確認する。
STEP.3
民事登録局でAKTA NIKAH(公的な結婚証明書)を発行してもらう
この手続きはエージェントにお願いできる。発行後には配偶者ビザの取得手続きができる。
STEP.4
日本の市役所に結婚届を提出する
これは簡単。領事館で手続きもできる。
改宗してヒンドゥー教になってみてどう?

ちなみにヒンドゥー教になったことでなんか大きな変化があった?

うーん、まぁ、オダラン(お寺の創立記念のお祭り)とかサラスワティーの日(学問の神様を祭る日)なんかの大きなイベントの日には、家族と一緒にお祈りに出かけたりするけど、想像していたよりは大きな変化はないかな。旦那くんと二人のときは、牛肉食べることもあるし。

食べるんだ!

まぁ、ほとんどのバリ人は食べないんだけど。ヒンドゥー教では、牛は神様の乗りものとされてるからね。

ほーなるほど!

日本にいた時は宗教って特別な人達だけのもののようなイメージだったけど、インドネシアでの宗教はより文化に近いっていうか。普通に初対面の人同士の会話で「宗教、何?」って聞かれたりするしね。

「出身地どこ?」みたいなノリだね。あとバリ人って毎朝、お供え物をもってお祈りしてるイメージだけど?

そうだね、本当は1日3回、朝・昼・晩とお祈りするのが良いとされているよ。

めんどくさ!ちゃんとやらなきゃいけないの?

宗教はあくまでも自分と神様との在り方っていうか。うちのお義母さんはとても信仰深い人でそれこそ1日5回お祈りをするような人なのね。でも旦那くんは海外やバリ以外の島での暮らしが長かったこともあってわりとそのへん考え方が柔軟なんだ。そこは本当に助かってる部分だな。

なるほどね。

あっ、それと今思い出したけど。改宗した時にバリの名前をもらったんだった!

どんな、どんな?

Putu(バリ人の長男・長女に与えられる名前)。もとの名前とくっつけてNi Putu Hiromi Kawaragiって感じ?

長いね。

でもパスポート名が変わるわけでもなんでもないし、今まで話のネタにするぐらいにしか使ったことないわな。だいたいバリにPutu多すぎだし。

宝の持ち腐れだー。

何なら、今日からPutuって呼んでもいいよ?

いや、いいです。

いや、呼べよ!
まとめ

インターネットとSNSの普及、そしてLCCの登場によって、国際結婚組にとっては本当に追い風の時代になっていると思う。あたしたちカップルもその恩恵を受けての結婚だしね!

確かにこれからはどんどん増えそうだね。

そうだね。「サヤンの会」っていうインドネシア人×日本人カップルのオンライン・コミュニティーがあるんだけど、最近メンバーがどんどん増えてる気がする!

ふんふん。なるほど。

ジャパネシアも、見えないところでインドネシア人×日本人カップルの恋のお手伝いをしてるのかもよ。

だと嬉しいな!
私もインドネシア人の彼氏がいます!ほんとに国際恋愛とても憧れだったので今とても幸せです!言語話せるように頑張ろうと思ってます
それは本当に素敵ですね!インドネシア人の彼氏さんとの国際恋愛、憧れを実現されたなんて素晴らしいです!お幸せそうな気持ちが伝わってきますよ。
インドネシア語を学ぼうとするその気持ち、彼にとってもきっと嬉しいはずですし、二人の絆がさらに深まると思います。最初は難しく感じるかもしれませんが、日常的なフレーズや簡単な会話から少しずつ始めると楽しく続けられるはずです。