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「belum」ひとつで見出しが逆になる——国の歴史書のニュースと日常会話で、ミスの型と直し方|家族グループの「デマ」の言い方も

「belum」ひとつで見出しが逆になる。国の歴史書のニュースと日常会話で、ミスの型と直し方

3本立て JAPANESIA
「belum」ひとつで見出しが逆になる。
ミスの型で、3つの訳を直す。
素材は、インドネシアの文化省が刊行を始めた国の歴史書。ニュースの和訳、日本の教科書の審査と家永訴訟を書いた日本語のインドネシア語訳、日常会話の3本です。スペルミスは除き、赤ペン45か所を7つのミスの型に分けて、1文ずつどうすればいいかと別の言い方を並べました。覚える表現と単語は、最後にまとめて載せています。
ミスの型 7つ 1文ずつ:直し方と別の言い方 見本の訳つき 表現20・単語27・話し言葉18
今日の3本
PART 1|イ→日ニュースを訳す文化省がまとめた国の歴史書、最初の5巻が刊行。肝心の新秩序期・改革期の巻はまだ出ず、「公式の歴史」への批判も続く。目安46点・直すところ25
PART 2|日→イ別の角度から書く国が書くのか、国が審査するのか。日本の教科書の審査制度と、最高裁判決まで32年に及んだ家永訴訟。目安42点・直すところ15
PART 3|日→イ・話し言葉日常会話屋台で「いつもの」/ゲームで「ラグだって!」/家族グループのデマ。ジャカルタの話し言葉で。◯1 △1 ✕1・直すところ5
※ スペルミスと記号の誤りは取り上げず、「こうすべき」の中で直してあります。
STEP 1ミスの型を見る——どんなミスがあって、どうすればいいか

3本の赤ペン45か所を、7つの型に分けました。1-⑥は「PART 1 の⑥」の意味です。

まず直す3つ

1. だれの発言・見方かを示す小さい語を、話し手とつないで訳す——pihaknya(同連合)、lanjutnya(さらに述べた)、dinilai Komnas HAM(国家人権委員会はみている)。この3つを落としたり読み違えたりして、「だれの発言・見方か」が消えたり入れ替わったりしました(1-⑩⑱㉔)。だれの見解か(入れ子)の取り違えは、これで4回目です。

2. 否定と時の小さい語を、最後に照らし合わせる——見出しの BELUM(まだ〜ない)が抜けて意味が逆に(1-②)。本文の belum(1-⑮)、bukan lagi の lagi(もはや、1-⑪)、hendaknya の時(1-㉑)も、落ちたり変わったりしました。

3. 日→イでは、日本語の述語が残っているか確かめる——「違法と認めた」の melanggar hukum(2-⑩)、「〜にほかならない」の tidak lain adalah(2-⑬)、「〜だけが」の hanya X yang(2-④)。「違法」が落ちて、判決の意味が逆になりました。

骨組み述語・入れ子・主語7か所(PART 1:4/PART 2:3)
文の述語や主語を取り違えた、だれの見解かが入れ替わった、書名に気づかず文を切った、など。1か所で文全体の意味が変わる、いちばん重いミスです。
1-⑱menyebut pihaknya berpandangan 同省は…と述べた→…というのが同連合の見解だと述べた
1-㉔dinilai Komnas HAM 道は閉ざされたと考えられた→国家人権委員会は〜とみている
1-④Sejarah Indonesia: Dinamika … 副題を文の外に→『インドネシア史――…』の最初の5冊
2-⑩違法と認めた:melanggar hukum が抜けて、判決の意味が逆に
▶ どうすればいい 長い文は、文末の述語と、その直後の評価した側(dinilai X・menurut X)を先に探す。日→イのあとは、日本語の述語がインドネシア語に全部残っているかを照らす。
名前・専門語名前・専門語7か所(PART 1:4/PART 2:3)
人名の読み、団体の役職、裁判の決まった言い方、省庁名など。意味はだいたい合っていても、別の人・別の手続きになります。
1-⑥Fadli ファディル→ファドリ
1-⑰Ketua AKSI 協会の長官→連合(AKSI)の代表
1-㉓tidak dapat diterima 受理されなかった→却下した(棄却は ditolak)
2-⑦⑨sesuai sah/Nankin→konstitusional/Nanjing
▶ どうすればいい 団体の Ketua=代表、役所の Kepala=長官。判決は dikabulkan(認容)・ditolak(棄却)・tidak dapat diterima(却下)の3つを組で覚える。
語の意味語の意味12か所(PART 1:6/PART 2:4/PART 3:2)
知っている訳語や、似た使い方に引っぱられて、インドネシア語の意味を取り違えたミス。
1-⑤kebangsaan 国家→国民形成(国家は negara)
1-⑫nalar 本質→思考力
1-⑲klaim 文言→主張
2-⑮不都合な berhalangan→tidak mengenakkan(berhalangan=人の都合が悪い)
3-③デマを流す ngujulid→nyebarin hoaks(julid=陰口)
▶ どうすればいい 訳語を決めたら、その訳で文の意味が通るかを読み直す。似た語は組で覚える(bangsa/negara、hak/kuasa、julid/hoaks)。
小さい語小さい語の抜け7か所(PART 1:6/PART 2:1)
belum・lagi・lanjutnya・mengingat・hendaknya のような短い語。1語で、否定・時・だれの発言かが変わります。
1-②⑮BELUM・belum まだ現れる→まだ出ていない(否定が逆に)
1-⑩lanjutnya 継続であり→同相はさらに〜と述べた
1-⑪bukan lagi sekadar:「もはや」が抜けた
1-㉑㉕hendaknya・mengingat すべきであった・思い返すと→べきだ・〜ことから
2-①題名:未訳のまま(題名も訳す対象)
▶ どうすればいい 原文の belum・lagi・-nya・mengingat に印をつけ、訳に入ったかを1つずつ確かめる。
決まった形決まった形5か所(PART 2:4/PART 3:1)
日本語の決まった形を、インドネシア語の決まった形で書けなかったミス。PART 2(日→イ)に集まっています。
2-④〜だけが hanya … saja→hanya X yang …
2-⑪〜にせよ〜にせよ Mau … maupun→Entah … atau …
2-⑬〜にほかならない:tidak lain adalah が抜けた
3-⑤誰か〜してくんない? boleh minta …→Ada yang bisa …, nggak?
▶ どうすればいい 決まった形は、決まった形で覚える:〜だけが=hanya X yang、〜にせよ〜にせよ=Entah … atau、〜にほかならない=tidak lain adalah、〜そのもの=X itu sendiri。
日本語の語選び日本語の語選び5か所(PART 1:5)
インドネシア語の意味は取れているのに、日本語の語が場面に合っていないミス。ニュースの訳では、それだけで読み手が別の意味に取ります。
1-⑦penulis・narasi 作家・物語→執筆者・叙述
1-⑧⑨fasilitator・berkukuh 調整役となる・断言した→支援役にすぎない・強く主張した
1-⑬menambahkan 言い加えた→付け加えた
1-⑳cara halus 目立たないやり方→巧妙な手段
▶ どうすればいい 訳し終えたら、日本語だけで読み直す。歴史書の話なら執筆者・叙述・巻、団体なら代表、と分野の言葉にそろえる。
口調話し言葉の語選び2か所(PART 3:2)
話し言葉らしい語を選べていなかったり、呼びかけと間違われる語を使ったりしたミス。
3-①いっつも selalu→mulu
3-②親父 Bapak→bokap gue(Bapak だけだと呼びかけに聞こえる)
▶ どうすればいい gue・kok … sih の文では、ほかの語も話し言葉(mulu・bokap・nyebarin)にそろえる。
STEP 21文ずつ直す——どうすればいいか/こういう言い方もある

1文ごとに、原文 → 書いた訳 → こうすべき → 直すところ(ミスの型と、どうすればいいか)→ こういう言い方もあるの順に並べています。こうすべき のマーカーが、直したところです。

波線=直すところ∧=抜けているところ①=直すところの番号(PART ごと)
PART 1ニュースを訳すインドネシア語 → 日本語|目安46点|直すところ25
問題インドネシア語のニュース(見出し+8文)を日本語に訳す。原文は、Antara の報道をもとに再構成したもの。
PART 1|見出し直すところ2
原文
SEJARAH VERSI KEMENBUD MULAI TERBIT, BAB PALING PELIK BELUM MUNCUL
書いた訳
文化省の歴史①が発行され始める:もっとも複雑な章はまだ現れる②
こうすべき
文化省版の歴史書①が発行され始める:もっとも複雑な章はまだ出ていない②
直すところ(ミスの型と、どうすればいいか)
①
語の意味文化省の歴史→文化省版の歴史書versi は「版(バージョン)」。SEJARAH VERSI KEMENBUD は「文化省版の歴史(書)」で、文化省がまとめた歴史、という含みがあります。「文化省の歴史」だと、文化省という役所の沿革の話に読めます。▶ どうすればいいversi X=X 版(X が出した・X の見方による)。versi resmi=公式版、versi lengkap=完全版。
②
小さい語まだ現れる→まだ出ていないBELUM は「まだ〜ない」。否定が抜けて、「最も難しい部分はまだ出ていない」という見出しの要点が逆になりました。見出しは語が少ないぶん、1語の抜けがそのまま意味の逆転になります。▶ どうすればいい見出しは訳す前に belum・tidak・bukan に印をつけ、訳に否定が入ったかを最後に確かめる。
◯ できている:MULAI TERBIT(刊行が始まる)と PALING PELIK(最も込み入った)は取れています。
+ こういう言い方もある
belum terbit/belum munculまだ出ていないbelum+動詞=まだ〜していない。sudah(もう〜した)と組で
versi resmi公式版versi=版。versi pemerintah=政府の見方
masalah pelik込み入った(難しい)問題pelik=入り組んでいて扱いにくい
PART 1|第1文直すところ3
原文
Setelah berkali-kali molor, Kemenbud akhirnya meluncurkan lima jilid pertama Sejarah Indonesia: Dinamika Kebangsaan dalam Arus Global, Senin (31/8/2026).
書いた訳
何度かの③延期の後、文化省はようやくインドネシアの歴史の始めの5冊を発行した。グローバルの流れの中での④国家の動き⑤(2026/8/31)
こうすべき
幾度もの③延期の後、文化省は8月31日(月)、ようやく『インドネシア史――世界の潮流の中の国民形成⑤の動態』の最初の5冊を発行した④。
直すところ(ミスの型と、どうすればいいか)
③
語の意味何度かの→幾度ものberkali-kali は「何度も(繰り返し)」。「何度か」だと2〜3回の軽い感じになり、「何度も延びた末に、ようやく」という記事の含みが弱まります。molor(予定が延びる)を「延期」としたのは◯です。▶ どうすればいいberkali-kali=何度も、beberapa kali=何度か。kali を重ねた形は「繰り返し」を足す。
④
骨組み…5冊を発行した。グローバルの流れの中での…(2026/8/31)→8月31日(月)、…『インドネシア史――…』の最初の5冊を発行したSejarah Indonesia: Dinamika Kebangsaan dalam Arus Global は、コロンで副題をつないだ書名です。書名と気づかずに文を切ったため、副題が文の外にはみ出し、日付も宙に浮きました。▶ どうすればいい大文字で始まる語が続き、コロンで副題がつながっていたら書名を疑う。書名は『』でひとまとめにし、日付・曜日は文の中(「8月31日(月)、」)に入れる。
⑤
語の意味国家の動き→国民形成の動態kebangsaan は bangsa(国民・民族)からできた語で、「国民であること・国民意識」。国家(negara)とは別の語です。書名では、国民がまとまっていく過程として「国民形成」と訳しました。dinamika は「動き」でも通じますが、書名では「動態」と硬めにそろえます。▶ どうすればいいbangsa=国民・民族、negara=国家、kebangsaan=国民(意識)、kenegaraan=国家の(制度)を組で覚える。
◯ できている:akhirnya(ようやく)と meluncurkan(発行した)は取れています。
+ こういう言い方もある
Setelah berkali-kali molor, …幾度も遅れた末に、〜molor=(予定が)延びる。話し言葉でも「時間が押す」の意味で使う
lima jilid pertama最初の5巻jilid=(シリーズの)巻。全11巻=11 jilid
Sejarah Indonesia: Dinamika …『インドネシア史――…』書名は『』にまとめ、コロンの後ろは副題として「――」でつなぐ
PART 1|第2文直すところ4
原文
Menbud Fadli Zon berkukuh bahwa substansi dan narasi sepenuhnya diserahkan kepada 123 penulisnya, sementara kementeriannya sendiri hanya menjadi fasilitator.
書いた訳
ファディル⑥・ゾン文化相は内容と物語は123人の作家⑦に全面的に委ね、その一方で、同省自身は単なる調整役となる⑧と断言した⑨。
こうすべき
ファドリ⑥・ゾン文化相は内容と叙述は123人の執筆者⑦に全面的に委ね、その一方で、同省自身は単なる支援役にすぎない⑧と強く主張した⑨。
直すところ(ミスの型と、どうすればいいか)
⑥
名前・専門語ファディル→ファドリFadli(ファドリ)と Fadil(ファディル)は別の名前です。人名の読み違いは、別の人を指すことになります。▶ どうすればいい人名はつづりの順どおりに読む:Fadli=ファドリ、Fadil=ファディル。
⑦
日本語の語選び物語/作家→叙述/執筆者narasi は歴史の「叙述(語り方・筋立て)」、penulis は歴史家を含む「執筆者」。物語・作家だと、小説の話に聞こえます。▶ どうすればいい歴史書の話では penulis=執筆者、narasi=叙述、penyunting=編者、とそろえる。
⑧
日本語の語選び調整役となる→支援役にすぎないfasilitator は、執筆者が書くのを支える側(場や予算を用意する役)。調整役(koordinator)は関係者を取りまとめる役で、少しずれます。hanya menjadi は「〜にすぎない」という今の立場で、「〜となる」だと、これから先の話に読めます。▶ どうすればいいfasilitator=支援役・進行役、koordinator=調整役、と分けて覚える。
⑨
日本語の語選び断言した→強く主張したberkukuh は「(批判されても)主張を曲げない」。断言(はっきり言い切る)より、反対の声に対して言い張る感じです。▶ どうすればいいberkukuh/bersikukuh=主張を曲げない、menegaskan=はっきり述べる、と区別する。
◯ できている:sementara(その一方で)、kementeriannya sendiri(同省自身)、hanya(単なる)が取れていて、文の骨組みは◯です。
+ こういう言い方もある
A berkukuh bahwa …A は〜だと強く主張したbersikukuh も同じ。批判への反論でよく使う
X sepenuhnya diserahkan kepada YX は全面的に Y に委ねられている受け身のまま訳すと、委ねた側をぼかせる
hanya menjadi fasilitator支援役にすぎないhanya+menjadi=〜にすぎない
PART 1|第3文直すところ3
原文
Sejarah, lanjutnya, bukan lagi sekadar hafalan tanggal dan tokoh, melainkan alat untuk mengasah nalar kritis.
書いた訳
歴史は、継続であり⑩、∧⑪日付や人物を単に覚えるものではなく、批判的な本質⑫を磨く道具である。
こうすべき
同相はさらに、⑩歴史はもはや⑪日付や人物を単に覚えるものではなく、批判的な思考力⑫を磨く道具だと述べた。
直すところ(ミスの型と、どうすればいいか)
⑩
小さい語歴史は、継続であり→同相はさらに、歴史は〜だと述べたlanjutnya は lanjut(続ける)+-nya で、「(同相は)続けて述べた」という帰属の挿入句です。文の中身ではなく、だれの発言かを示す小さい語。「継続」と読んだため、歴史の説明に「継続であり」が紛れ込みました。▶ どうすればいい文の途中にコンマで挟まれた katanya・lanjutnya・tambahnya・ujarnya は、「〜と(さらに)述べた」として文末に回す。
⑪
小さい語∧→もはやbukan lagi は「もはや〜ではない」。lagi が落ちて、「以前は暗記の科目だったが、今は違う」という変化の含みが消えました。sekadar(単に)は訳せています。▶ どうすればいいbukan lagi・tidak lagi=もはや〜ない。lagi を見たら「もう・もはや」が訳に入ったか確かめる。
⑫
語の意味本質→思考力nalar は「筋道を立てて考える力・推論」。nalar kritis=批判的思考(力)。本質は hakikat です。▶ どうすればいいnalar=思考力、bernalar=筋道を立てて考える。批判的思考=nalar kritis/berpikir kritis。
◯ できている:bukan … melainkan …(〜ではなく…だ)の形と、sekadar(単に)は取れています。
+ こういう言い方もある
bukan lagi sekadar X, melainkan Yもはや単に X ではなく Y だlagi(もはや)と sekadar(単に)を両方訳す
hafalan tanggal dan tokoh年号や人物の暗記hafalan=暗記(するもの)、menghafal=暗記する
mengasah nalar kritis批判的思考力を磨くasah=研ぐ。mengasah kemampuan=能力を磨く
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PART 1 の第4〜8文と、PART 2・PART 3 の全文、覚えるもの(一括)を収録しています。

  • PART 1 第4〜8文——justru=こそ、だれの見解か(pihaknya)、却下と棄却、dinilai の後ろの評価した側、mengingat=〜ことから+見本の訳
  • PART 2 日→イ(題名+6文)——〜そのもの、〜だけが、合憲と違法、〜にせよ〜にせよ、〜にほかならない ほか+見本の訳
  • PART 3 日常会話(3文)——屋台で「いつもの」・ゲームで「ラグだって!」・家族グループのデマの言い方+見本の言い方
  • 覚えるもの(一括)——表現20・単語27・話し言葉18・取り違えた語14
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