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2020年最新|ジャカルタ観光におすすめ「美術館」5選とその楽しみ方

みなさん、お久しぶりです。Ringです。

 

今回は、観光スポットがないと言われてしまいがちなジャカルタをもっと楽しめるように、ジャカルタの美術館を紹介していくよ。

 

インドネシアの美術、芸術と聞くと、ワヤンなどの人形劇だったり仮面舞踊などを想像する人が多いんじゃないかな。あるいは、芸術といえば古都ジョグジャカルタでしょ!と連想する人もいるね。

 

でも実は、20世紀以降、インドネシアにも近代的な「美術」が受け容れられていって、それはまず首都ジャカルタ(当時はバタヴィアという名前だったよ)を中心に胎動したんだ。

 

現在も人口2億4千万を抱える大国インドネシアの首都として元気に成長を続けるジャカルタには、新旧様々な美術館や関連施設があるんだよ。

 

それでは早速見ていこう。

 

インドネシア国立美術館(Galeri Nasional Indonesia)

まずは、インドネシア国立美術館。国立美術館といえば、もちろん国を代表する美術館であって、重要なのは言うまでもないんだけど、意外にもこの美術館の設立は1999年と、結構最近のことなんだ。

 

見どころはまず、常設展示。

常設展入り口

 

2019年3月にリニューアルされた常設展は、大きく3つに分けられているんだけど、最もおすすめしたいのが、近代以降のインドネシア美術史の流れを辿る「追憶の碑」(Monumen Ingatan。作品を見ながら、インドネシア近現代美術の流れを大まかに把握することができるような構成になっているよ。

ラデン・サレー《暴風雨に見舞われる難破船》
1840年頃、油彩・画布、74×97cm
インドネシア国立美術館蔵

 

ラデン・サレーは、現在のインドネシア地域出身者として一番最初に洋画を学んだ人物とされていて、1829年から51年までヨーロッパに滞在し、油絵を学んだんだ。現在では、インドネシアの国民的画家として認識されているよ。

 

1829年から51年までヨーロッパに滞在して、油絵を学んだんだ。現在では、インドネシアの国民的画家として認識されている。

 

残念ながら、彼の作品はあまりインドネシアには残っていないんだ…代表作は、シンガポールや、ヨーロッパ各国の美術館に所蔵されているんだ。

 

だから、これはインドネシアで見られる数少ない彼の作品なんだよ。

アファンディ《私の母》
1941年、油彩・画布、52×43cm
インドネシア国立美術館蔵

 

アファンディも、インドネシア人だったら多くの人が知っている国民的画家だよ。彼は絵具をチューブから直接手に取って、そのままキャンヴァスに塗りつけるという独特のスタイルによって、数々の名作を残しているんだ。

 

この作品は、そんな「アファンディ様式」が芽吹く前の作例で、既にとても高い技術を持っていたことがよく分かるね。

ヘリ・ドノ《生まれ、そして自由》2004年
木・アクリル・油彩・プラスチック・チェーン・電子機器、サイズ可変
インドネシア国立美術館蔵。

 

展示は近代絵画だけでなく、そこから現代美術への流れを体系的に示しているよ。

 

これは、ヘリ・ドノという作家の作品。彼はインドネシアの伝統的な芸術文化の一つであるワヤン・クリを学び、そういった要素を自らの作品に応用することで知られている作家なんだ。

 

日本でも何度も展覧会で出品されているので、見たことがある人もいるかもしれない。

 

その他にも、常設展ではインドネシア国立美術館が持つ国際的な作品のコレクションなどが展示されているよ。

 

国立美術館では、常設展の他にも企画展を開催している時もあるよ。主に、インドネシアの現代美術家の展覧会が開かれることが多いんだ。

企画展の入り口

 

ニタ・アズハル《Sinjang Drupadi》
2019年、インスタレーション、1000×300×250cm。

 

実は、国立美術館を訪れるなら、おすすめの時期があるんだ。

 

それは8月!

 

近年、8月には国立美術館で、スカルノ・コレクションというインドネシア初代大統領のスカルノが収集した作品を用いた展覧会が行われるんだ。これらの作品は、この機会以外では通常はお目にかかれないし、大統領のコレクションだけあって、作品もとても良いものばかり!

 

2019年は、大統領選などの関係でスカルノ・コレクションの展覧会は開催されなかったんだけど、その代わりに、その他のインドネシアの公的なコレクション(他の美術館や、外務省など)を集めた展覧会が開催されたよ。

 

2019年8月に行われた、ナショナル・コレクションを集めた展覧会がこれだ。

このように、毎年8月にはクオリティーの高い作品が展示されることが多いので、おすすめだよ!

 

コタ地区

美術陶磁器博物館(Museum Seni Rupa dan Keramik)

コタ地区は、有名な観光地にもなっているので、行ったことがある人もたくさんいるかもしれないね。

 

実はそのコタ地区には、2つの博物館があるんだ。1つは美術陶磁器博物館と言って、インドネシアの近代以降の絵画、そして陶器(こちらはインドネシアに限らず)を見ることができるよ。

 

国立美術館同様に、インドネシアの絵画史の大まかな流れを、作品をみながら辿ることができるようになっているんだ。

ヘンドラ・グナワン《革命》
1945年、油彩・画布、130×293cm
美術陶磁器博物館蔵

 

ヘンドラ・グナワンも、インドネシアの近代美術を支えた重要な画家だよ。流れるようになめらかな線が特徴的で、日本の福岡アジア美術館にも素晴らしい作品がコレクションされているよ。

アファンディ《自画像》
1975年、油彩・画布、113×88cm
美術陶磁器博物館蔵

 

アファンディの自画像。これは、アファンディ独自の様式がよく表れているね。

ファジャル・シディック《空間の力学》
1972年、油彩・画布、65×100cm
美術陶磁器博物館蔵

 

50年代以降は、このような抽象的な作品をする人たちもたくさん現れるんだ。

A. D. ピロウス《白の上の一節》
1971年、油彩・画布
100×140cm、美術陶磁器博物館蔵

 

彼はこのように、カリグラフィーといって、文字を取り入れた表現で有名な画家だよ。抽象表現のなかにも、色々な世界が展開していて面白いね。

 

国立美術館では見られない作品がたくさんあるから、国立美術館と合わせて見てみると、インドネシアの美術史を、より楽しめると思うよ。

 

ジャカルタ歴史博物館

美術陶磁器博物館のすぐ隣にあるのが、ジャカルタ歴史博物館。ここは、実は元々蘭領時代のバタヴィアの市庁舎だったんだ。18世紀初頭に建てられたもので、実際に使われていた地下牢などもまだ残っている、重要なコロニアル建築だよ。

 

博物館としては1974年に開館するんだけど、ここで一番見てほしいものはなんと言っても、インドネシア近代美術の父と言われている画家スジョヨノによる大作《スルタン・アグンとヤン・ピーテルスゾーン・クーンの戦い》!

S. スジョヨノ《スルタン・アグンとヤン・ピーテルスゾーン・クーンの戦い》
1973年、油彩・画布、300×1000cm
ジャカルタ歴史博物館蔵

 

この作品は、ジャカルタ歴史博物館の開館に合わせて制作を依頼されたもので、スジョヨノの代表作の1つとされているよ。

 

17世紀に起こったマタラム王国と植民地政府のバタヴィアでの戦いを題材にしたもので、スジョヨノは綿密な調査をもとに、この歴史を縦3メートル、横10メートルの巨大な画面に描き出したんだ。

 

是非見に行ってみてね!

 

MACAN美術館

開館記念展の入り口の様子

 

さて、実はジャカルタには2017年に新しい美術館が開館しているんだ。それが、通称MACAN美術館(マチャン美術館)。正式名称は、Museum Modern and Contemporary Art in Nusantaraで、インドネシア群島近現代美術館、みたいな感じかな。

 

インドネシアの有名コレクターによって設立された私立美術館で、インドネシアの近代美術から現代美術、そして世界の有名現代美術作家の作品も多数所蔵しているよ。

 

村上隆や奈良美智、草間彌生など、おなじみの日本人現代美術家の作品も所蔵されているんだ。

広い展示室。現代美術展の様子。

 

ビルの複数のフロアが美術館として機能していて、基本的にはインドネシア国内外を問わず現代美術の展覧会が行われているよ。

 

メインの展示フロアでは、このように特別展が行われていて、

上のフロアには、小さな展示室があって、こちらでは少し規模の小さい展示が行われているよ。

館内のショップの様子

 

ショップも充実していて、美術に関わる本などはもちろん、色々なグッズも売っているから、お土産にもいいかもしれないね。

 

MACAN美術館の開館記念展については、実は別にレビュー記事を執筆しているので、もし興味がある人はぜひ見てみて!

 

MACAN美術館の開館記念展レビュー記事

 

Art:1

ジャカルタにはもうひとつ、近現代美術館として機能している場所があるよ。Art:1というこの美術館は、もとは1983年にオープンした老舗画廊なんだけど、2011年に、私設の美術館として生まれ変わって、その後は近代から現代にかけて幅広く作品を展示しながら、インドネシア美術界の成長を後押ししているよ。

 

住宅街にひっそりと佇んでいるので、ゆっくりと作品鑑賞を楽しめるのも魅力の一つだね。

S. スジョヨノ《木を持ち帰る》
1968年、油彩・画布、125×98cm、個人蔵

 

アファンディ《クサンバのボート》
1981年、油彩・画布、98×128cm
個人蔵

 

ヘンドラ・グナワン《しらみ取り》
制作年不明、油彩・画布、92×156cm、個人蔵

 

このように、インドネシアのマエストロたちの作品も見られるし、

 

こういった現代美術の作品も展示されているよ。

 

クオリティーの高い作品ばかりなので、とてもおすすめの美術館だ。

 

今回は、ジャカルタにある総合的な美術館を紹介してきたよ。

 

あまりイメージがないかもしれないけど、インドネシアでも近代以降、油絵などの「美術」が入ってきて、独自の展開を遂げていることがちょっとは分かってもらえたかな。是非、その目で作品を見てみてね。

 

これらの他に、モナスの西側(国立美術館の正反対)には国立博物館、コタ地区にはワヤン博物館、タナ・アバン地区には繊維博物館などがあるから、伝統的な文化に興味がある人は、そういうところもおすすめ!

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