penyitaan と perebutan、surat perintah と surat pemerintah——手続きの語は、意味から組み立てた瞬間に崩れる
今日の課題は社説です。取材源の秘匿と報道の自由——記者が情報提供者を守れる範囲が、刑事手続きの前では止まってしまう、という論説。全14文・約690字を、bahasa baku(硬い書き言葉)に訳していきます。
難所は3つ。①手続きを表す語。押収・捜索・捜査・令状・要件——どれも定訳が1語で決まっていて、意味から組み立てると通じません。「押収=奪い取ること」と考えて perebutan と書くと、「奪い合い」になります。
②否定と限定のスコープ。「〜わけではなく」「〜としても、それは〜にすぎない」「〜かねず/〜は否めない」「〜ばかりか、〜にすら」。4か所とも、消すと主張の強さが変わります。
③比喩。「ねじ込まれた例外条項」と「冷遇されてきた」は、直訳すると落ちます。インドネシア語の側に、対応する決まった言い方があります。
今日のねらい:手続きの語は、意味から作らない。対で覚えて、そのまま置く
この課題でいちばん落ちるのは、構文ではなく語です。押収/捜索/捜査/令状/要件/照会/民事訴訟法——7語とも、インドネシア語の定訳が1語で決まっています。
やっかいなのは、意味から組み立てると、それらしい語ができてしまうことです。押収=取り上げることと考えれば perebutan(奪い合い)、要件=守るべきものと考えれば pedoman(指針)。どちらも実在する語なので、書いていて違和感がありません。それでいて、法律の文としては通りません。
手当ては「対で覚える」ことです。penyitaan(押収)と penggeledahan(捜索)。penyidikan(捜査)と penyelidikan(内偵)。syarat(要件)と kewajiban(義務)。surat perintah(令状)と surat pemerintah(政府の書類)。片方だけ覚えると、もう片方を書いてしまう——だから最初から2つ並べて入れます。
もうひとつ、数字。4万件/1万8000人/1億円超/12社/3社/過去5年——6つあります。「万」と「億」をまたぐのは3つだけで、そこにいちばん時間をかけます。桁区切りは点(40.000)、小数点はコンマ——日本と逆です。
最後に訳し落としやすい語を先に挙げておきます。およそ(sekitar)/年間(per tahun)/暫定的な(sementara)/にすぎない(hanya … pun)/ばかりか(bukan hanya … bahkan)。どれも文の主張の強さを担っている語で、消えると論説が事実報告に化けます。
解説に入る前に、この課題に固有の構えを5つ渡しておきます。訳語そのものにはまだ触れません。
① 訳す前に「誰が何をする話か」を一行メモにする。今日の社説なら「捜査機関が記者の取材源にたどり着ける状態が放置されている。要件を法律に書け」。この一行があると、動作主を取り違えなくなります。主語が書かれていない文が4つ(⑥⑧⑩⑬)ありますが、この一行に照らせば、誰の話かが決まります。
② 手続きの語は、訳す前に定訳を並べておく。押収 penyitaan/捜索 penggeledahan/捜査 penyidikan/令状 surat perintah/要件 syarat/照会 permintaan keterangan。この6語は、書き始めてから思い出そうとすると必ず手が止まります。先に手札として並べておくほうが速い。
③ 段落ごとに役割が違うことを、先に確かめる。この社説は4段落で四層になっています。第1段落=主張と制度の説明、第2段落=数字、第3段落=問題の指摘、第4段落=反論への応答と提言。層が変われば、文体も変わります。数字の段落は淡々と、提言の段落は harus / wajib で締める。
④ 否定と限定は、日本語のまま一度言い直す。②「この判断が刑事手続に及ぶわけではなく」=「刑事手続には、そのままでは適用されない」。⑤「数字は小さいとしても、それは〜にすぎない」=「たとえ小さくても、それは一つの目安でしかない」。日本語で言い直してから訳すと、スコープがずれません。
⑤ 比喩は、直訳ではなく定型を探す。「ねじ込まれた例外条項」/「冷遇されてきた」/「歯止めがない」/「免罪符」——4つとも比喩です。インドネシア語の側に、同じ役割をする決まった言い方があります。直訳すると意味は届きますが、社説の文体から浮きます。
まず何も見ずに、自分の訳を書いてみてください。40分が目安です。手が止まった箇所には印だけつけて、先へ進みます。
取材源の秘匿と報道の自由
課題:次の日本語をインドネシア語(bahasa baku・硬い書き言葉)に訳しなさい
①取材源を明かさない自由は記者の特権ではなく、情報提供者が萎縮せずに声を届けるための仕組みだ。②最高裁は2006年、民事訴訟法の「職業の秘密」に取材源が含まれうるとして証言拒絶を認めたが、この判断が刑事手続に及ぶわけではなく、捜査段階の押収や通信履歴の照会には歯止めがない。
③捜査機関が電気通信事業者に照会する通信履歴は年間およそ4万件にのぼるが、対象者に通知されず、記者が含まれていたかを検証する術はない。④新聞協会の暫定的な集計では、記者約1万8000人のうち、令状で取材メモの押収を受けた社が過去5年で12社、1億円超の賠償を請求された社が3社あった。⑤数字は小さいとしても、それは萎縮の度合いを測る一つの指標にすぎない。
⑥問題は、保護の対象が曖昧なまま放置されて久しいことだ。⑦公益通報者保護法の論議でも、業界の要望でねじ込まれた例外条項が残り、調査義務は限定されたままだ。⑧フリーランスやネットの書き手は、記者クラブを前提とした運用の下で長く冷遇されてきた。⑨取材する側の身分が保護の要件になれば、誰が報じたかで知る権利の厚みが変わりかねず、筋が通らない面は否めない。⑩改正の見通しは立たず、各社は自主規制に頼らざるを得ない。
⑪むろん、秘匿は絶対の免罪符ではなく、犯罪に関与した情報提供者まで無条件に守れという主張には、賛同できない読者も少なくないだろう。⑫捜査当局は法令に従って適切に対応すると述べるにとどまり、基準を示していない。⑬それでも、押収の要件を法律に明記し、令状執行には事前の意見聴取を義務づけるべきだ。⑭放置すれば、報道が細るばかりか、権力の側が説明を省く傾向にすら拍車をかける。
Dikutip dari Asahi Shimbun
この課題は刑事手続きの語が骨格になっています。どの段階で、誰が、何をするのか——ここが分かっていないと、似た語を取り違えます。先に地図を置きます。
図1 刑事手続きの語の地図。段階と行為が決まれば、語も決まります。
もうひとつ、段落ごとの役割を先に確かめておきます。層が変われば、使う語も文体も変わります。
図2 社説の四層。段落の役割が分かると、文体が決まります。
取材源を明かさない自由は記者の特権ではなく、情報提供者が萎縮せずに声を届けるための仕組みだ。
訳に使う語Tidak mengungkapkan sumber … bukan hak istimewa と書くと、主語が「明かさないという行為」になり、「自由」という語が消えます。命題が1段ずれます。
正しくは Kebebasan untuk tidak mengungkapkan sumber berita bukanlah …。kebebasan を主語に立て、untuk + 動詞で中身を付けます。bebas の家族bebas=自由な。membebaskan=解放する・無罪にする。kebebasan=自由。pembebasan=釈放・解放。terbebas=免れている。
kebebasan pers=報道の自由。kebebasan berpendapat=表現の自由。kebebasan berekspresi=表現の自由(芸術寄り)。この課題の主題そのものです。
sumber berita=取材源。sumber liputan でも意味は届きますが、報道文の定型は sumber berita。narasumber は「取材に応じた人」で、秘匿の文脈では sumber のほうが自然です。mengungkapkan=明かす・表明する(ungkap=あらわす)。membuka(開く)/membocorkan(漏らす)とは色が違います。membocorkan は「漏洩」で否定的。ここは中立の mengungkapkan です。
tetapi は前が肯定のときの逆接(Dia kaya, tetapi pelit.=金持ちだがけち)。bukan A, tetapi B も通じますが、bahasa baku では melainkan が正式です。
dan でつなぐと台無しになります。bukan A dan B=AでもBでもない——意味が正反対です。-lah を付けると据わりがよくなるbukanlah=bukan + -lah。-lah は強調・断定を添える接尾辞です。
Inilah jawabannya.(これこそが答えだ)/Dialah yang bertanggung jawab.(責任を負うのは彼だ)/Bukanlah hal yang mudah.(容易なことではない)。
社説の冒頭のように、命題を言い切る文では bukanlah のほうが据わります。なくても誤りではありませんが、あると文体が硬くなります。tidak と bukan の使い分け。tidak は動詞・形容詞を否定(tidak mengungkapkan=明かさない)。bukan は名詞を否定(bukan hak istimewa=特権ではない)。この1文に両方出ています。
Daerah Istimewa Yogyakarta=ジョグジャカルタ特別州。tamu istimewa=特別な客。edisi istimewa=特別号。
hak istimewa=特権。hak(権利)+istimewa(特別な)。privilese という外来語もありますが、hak istimewa のほうが一般的です。hak の家族hak=権利。berhak=権利がある。hak asasi manusia (HAM)=人権。hak cipta=著作権。hak milik=所有権。hak suara=投票権。hak jawab=反論権(報道の世界の語)。
hak dan kewajiban=権利と義務——セットで出る定型です。⑨で kewajiban が出てきますので、ここで対にして入れておきます。
hak publik untuk tahu=国民の知る権利。これも⑨で使います。報道の文脈でよく出る hak:hak tolak(証言拒絶権)/hak jawab(反論権)/hak koreksi(訂正請求権)。インドネシアの報道法(UU Pers)に規定されている語で、この課題の主題に直結します。
bahasa baku(書き言葉)では agar、会話では supaya が普通です。社説・公文書・論説文なら agar を選びます。
untuk も「〜のために」ですが、うしろに来るものが違います。untuk + 動詞・名詞、agar + 節(主語+述語)。ここは「情報提供者が声を届ける」という節なので agar です。「仕組み」をどう置くかmekanisme=仕組み・機構(英語 mechanism)。制度としての手続きや働きを指します。
近い語:sistem(システム・体系)/perangkat(装置・道具立て)/sarana(手段)/instrumen(手立て)。
sistem でも通じますが、「守るために置かれた働き」という含みなら mekanisme のほうが合います。mekanisme perlindungan(保護の仕組み)/mekanisme pengaduan(申立ての仕組み)——制度の記事で頻出です。pemberi informasi=情報提供者(beri=与える → pemberi=与える人)。報道の文脈では sumber(情報源)、内部告発なら pelapor(通報者)。⑦で pelapor が出てきます——使い分けが要る場面です。
tertekan は外から押されている状態——ストレスや重圧。萎縮は、押されていなくても自分から縮こまることです。
だから tanpa rasa takut(恐れなしに)/tanpa rasa was-was(不安なしに)/tanpa ragu(ためらいなしに)。この文では tanpa rasa takut がいちばん自然です。報道の「萎縮効果」は別語⑤に出てくる「萎縮の度合い」は、制度用語としての萎縮効果です。efek pengekangan(抑制の効果)/rasa segan untuk memberitakan(報じることへのためらい)。
英語の chilling effect にあたる概念で、「罰せられるかもしれないと思って、書かなくなる」という現象を指します。
①の「萎縮せずに」は個人の心理、⑤の「萎縮の度合い」は制度の効果。同じ日本語ですが、訳語が変わります——日本語のほうが1語で兼ねている例です。tanpa=〜なしに(前置詞)。うしろには名詞が来ます。tanpa rasa takut(恐れなしに)/tanpa syarat(無条件で・⑪に出ます)/tanpa rem(歯止めなしに・②に出ます)。この課題に3回出る前置詞です。
何が(Kebebasan untuk tidak mengungkapkan sumber berita)|何ではなく(bukanlah hak istimewa wartawan)|何であるか(melainkan mekanisme agar …)|その中身(pemberi informasi dapat menyampaikan suaranya tanpa rasa takut)。
箱は4つだけです。bukanlah … melainkan … の骨に、前後を差し込む形。
注意するのは最初の箱——主語を「自由」にすることです。ここを「明かさないこと」にすると、命題がずれます。
取材源を明かさない自由は記者の特権ではなく、情報提供者が萎縮せずに声を届けるための仕組みだ。
模範訳Kebebasan untuk tidak mengungkapkan sumber berita bukanlah hak istimewa wartawan, melainkan mekanisme agar pemberi informasi dapat menyampaikan suaranya tanpa rasa takut.
社説は第1文で立場を言い切ります。この文がそうです——「秘匿は特権ではない、仕組みだ」。
だからこの文の骨(bukan A, melainkan B)が崩れると、社説全体が何を言っているのか分からなくなります。あとの13文は、この命題の説明と補強です。
訳すときも骨を先に置きます。Kebebasan … bukanlah …, melainkan … と3つの箱を先に空けてから、中身を入れる。いきなり左から訳し始めると、melainkan が出てこないまま文が終わります。
主語が「自由」ではなく「明かさないこと」になる。Tidak mengungkapkan sumber … bukan hak istimewa … と書くと、kebebasan(自由)という語が消えます。
原文の命題は「自由=特権ではない」です。行為が特権かどうかを論じているのではありません。1語の欠落で、論点が1段ずれます。
防ぎ方は日本語の主語に線を引いてから訳すこと。「取材源を明かさない自由 は」——「は」の直前までが主語です。10秒で確認できます。
supaya を使ってしまう。意味は正しいので通じますが、社説の文体からは浮きます。
bahasa baku では agar。supaya は会話寄りです。同じ関係が jika(硬い)と kalau(口語)、tetapi(硬い)と tapi(口語)にもあります。
硬い文体を求められたら、この3組を機械的に硬いほうに寄せる——それだけで文体がそろいます。
「萎縮」を tertekan にしてしまう。tertekan=圧迫されている・重圧を感じている。外から押されている状態です。
萎縮は、押されていなくても自分から縮こまること。tanpa rasa takut(恐れなしに)が近い。
日本語の抽象語は、いったん具体に言い直してから訳します。「萎縮せずに」→「こわがらずに」。そこまで下ろすと、訳語が決まります。
最高裁は2006年、民事訴訟法の「職業の秘密」に取材源が含まれうるとして証言拒絶を認めたが、この判断が刑事手続に及ぶわけではなく、捜査段階の押収や通信履歴の照会には歯止めがない。
訳に使う語アラビア語由来の語で、法廷・裁判所を意味します。hakim(裁判官)/hukum(法)/hikmah(知恵)——すべて同じアラビア語の語根 ḥ-k-m から来ています。
agung=至高の・偉大な。Jaksa Agung=検事総長。あわせて Mahkamah Agung (MA)=最高裁判所。裁判所の階層Pengadilan Negeri (PN)=地方裁判所(一審)→ Pengadilan Tinggi (PT)=高等裁判所(控訴審)→ Mahkamah Agung (MA)=最高裁判所(上告審)。
Mahkamah Konstitusi (MK)=憲法裁判所は別の機関です。MA は事件を裁き、MK は法律が憲法に反していないかを判断します。
日本の最高裁は Mahkamah Agung Jepang。日本の裁判所名を訳すときも、この3階層の語をそのまま使います。年号は書き写す。2006年です。Pada 2006/Pada tahun 2006——どちらでも通ります(tahun は省略可)。数字は「読んだまま」写すのが鉄則で、訳しながら思い出そうとすると動きます。
Hukum Acara Perdata=民事訴訟法。Hukum Acara Pidana=刑事訴訟法(略して KUHAP=Kitab Undang-Undang Hukum Acara Pidana)。対で覚えます。
perdata=民事。pidana=刑事。この2語は、法律の記事でくり返し出ます。perkara perdata(民事事件)/perkara pidana(刑事事件)。法令名は組み立てないhukum peradilan perdata(民事裁判の法)と書くと、意味は届きますが、法令名としては存在しません。
法令名は固有名詞です。意味から組み立てると、必ず別のものになります。手続きの語と同じ扱い——先に定訳を並べておくのが唯一の手当てです。
peradilan(司法・裁判制度)と pengadilan(裁判所)も別語です。sistem peradilan=司法制度。この2語も混ざりやすい組です。UU=Undang-Undang(法律)。RUU=法案。Perppu=政令。PP=政府規則。Perpres=大統領規則。Permen=大臣規則。法令の階層を表す略語で、行政・法律の記事に必ず出ます。
berjabat tangan=握手する。masa jabatan=任期。pejabat publik=公職者。
rahasia jabatan=職務上の秘密——その職に就いているがゆえに知りうる秘密のことです。法律の条文に出る決まった言い方です。似た「秘密」の語rahasia jabatan(職務上の秘密)/rahasia negara(国家機密)/rahasia dagang(営業秘密)/rahasia perusahaan(企業秘密)/rahasia medis(医療上の秘密)。
rahasia profesi という言い方も通じますが、法令の文言としては rahasia jabatan が標準です。条文を指しているときは、条文の語を使うのが安全。
merahasiakan=秘密にする。kerahasiaan=秘匿性・機密性。⑪の「秘匿」は kerahasiaan です。「含まれうる」は dapat tercakup dalam。cakup(含む)→ mencakup(含む)→ tercakup(含まれる)→ cakupan(範囲・⑥に出ます)。dapat(〜しうる)を落とさないこと——「含まれる」と断定すると、判決の慎重さが消えます。
saksi ahli=鑑定人・専門家証人。saksi mata=目撃者。memberikan kesaksian=証言を行う。
ke-…-an が「その中身」を作るのが要点です。saksi(人)→ kesaksian(証言)。同じ作りが hakim(裁判官)→ kehakiman(司法) にもあります。「証言拒絶」をどう置くかhak menolak memberikan kesaksian=証言を拒む権利。hak tolak(拒絶権)という短い言い方も、報道法の文脈では使われます。
tolak=拒む。menolak=拒否する。penolakan=拒否。ditolak=却下される。
「認めた」は mengakui(認める・是認する)。membenarkan(正当と認める)/mengabulkan(申立てを認容する)とは使う場面が違います。判決が権利の存在を認めたのなら mengakui です。penolakan keterangan と書くと「説明の拒否」になり、誰が何を拒んだのかが曖昧になります。拒むのは記者、拒む対象は証言。hak(権利)を頭に置くと、「記者に認められた権利」だと分かる形になります。
だからberlaku(効力がある・適用される)を使います。laku(通用する)→ berlaku(有効である)→ memberlakukan(施行する)→ pemberlakuan(施行)。
masih berlaku=まだ有効である。mulai berlaku=施行される。berlaku surut=遡及して適用される。法律の記事の必須語です。serta-merta で「そのまま自動的に」serta-merta=直ちに・自動的に・そのまま。tidak serta-merta=ただちに〜というわけではない。
これが「〜わけではない」の定型です。部分否定——「絶対に及ばない」ではなく「自動的には及ばない」。原文のニュアンスと一致します。
tidak serta-merta berarti …=〜を意味するわけではない。tidak serta-merta menjadi …=ただちに〜になるわけではない。論説文で非常によく使う形です。tidak langsung melanjutkan proses pidana と書くと「刑事手続を続行しない」——まったく別の意味になります。「及ぶ」を「続く」と読んでしまうのが原因です。日本語で言い直してから訳す——「適用が届かない」まで下ろせば、berlaku にたどり着きます。
barang bukti yang disita=押収された証拠物。menyita waktu=時間を取る(日常表現)。menyita perhatian=注目を集める。
perebutan(rebut=奪う → perebutan=奪い合い)はまったく別の語です。perebutan kekuasaan=権力闘争。公権力が法に基づいて行う押収には使えません。penyidikan と penyelidikanpenyelidikan=内偵。「事件かどうか」を見極める段階です。担当は penyelidik。
penyidikan=捜査。事件だと確定したあと、被疑者を特定して証拠を集める段階。担当は penyidik。
押収や捜索ができるのは penyidikan の段階です。だから「捜査段階の押収」は penyitaan pada tahap penyidikan。penyelidikan と書くと、段階が1つ前にずれます。
-e- が1つ多いほうが、前の段階——そう覚えると取り違えません。penggeledahan(捜索)と対で覚えます。penggeledahan dan penyitaan=捜索・押収——2語セットで条文に出ます。geledah(探す)→ menggeledah(家宅捜索する)。場所を探すのが penggeledahan、物を持ち帰るのが penyitaan です。
tanpa rem=歯止めなしに。日本語の「歯止め」とほぼ同じ比喩で、そのまま通ります。
ほかの言い方:tanpa kendali(統制なしに)/tanpa batas(限界なしに)/tidak ada pengawasan(監督がない)/tidak ada mekanisme kontrol(歯止めの仕組みがない)。比喩を残すか、開くか判断の基準はひとつ——訳文だけを読んだ人に、同じ絵が浮かぶかです。
「ブレーキ」は世界共通の絵なので、tanpa rem はそのまま通ります。硬い文体を優先するなら tanpa mekanisme kontrol(統制の仕組みがない)。どちらでも誤りではありません。
逆に⑦の「ねじ込まれた」や⑧の「冷遇」は、直訳しても絵が浮かびません。そういう比喩だけ、インドネシア語側の定型に置き換えます。tetap=依然として・変わらず。tetap tanpa rem=相変わらず歯止めがない。1語ですが、「これまでもそうだった」という時間の幅を出しています。落とすと、いま初めて気づいた話に読めます。
いつ・誰が(Pada 2006 Mahkamah Agung)|何を認めたか(mengakui hak menolak memberikan kesaksian)|どういう理由で(dengan alasan sumber berita dapat tercakup dalam “rahasia jabatan” sebagaimana diatur Hukum Acara Perdata)|しかし(tetapi putusan itu tidak serta-merta berlaku dalam proses pidana)|だから(sehingga penyitaan pada tahap penyidikan maupun permintaan data riwayat komunikasi tetap tanpa rem)。
箱は5つ。tetapi と sehingga が、後半2つの箱の入口です。
日本語は「認めたが、及ぶわけではなく、歯止めがない」と3つの節が数珠つなぎになっています。インドネシア語ではtetapi …, sehingga … と2段に分けると読みやすくなります。
最高裁は2006年、民事訴訟法の「職業の秘密」に取材源が含まれうるとして証言拒絶を認めたが、この判断が刑事手続に及ぶわけではなく、捜査段階の押収や通信履歴の照会には歯止めがない。
模範訳Pada 2006 Mahkamah Agung mengakui hak menolak memberikan kesaksian dengan alasan sumber berita dapat tercakup dalam “rahasia jabatan” sebagaimana diatur Hukum Acara Perdata, tetapi putusan itu tidak serta-merta berlaku dalam proses pidana, sehingga penyitaan pada tahap penyidikan maupun permintaan data riwayat komunikasi tetap tanpa rem.
民事訴訟法/証言拒絶/刑事手続/押収/捜査段階/照会——6語です。14文のうち、この1文だけで課題の手続き語の半分が出ます。
だからこの文は、訳す前に語を並べてから書き始めます。Hukum Acara Perdata / kesaksian / proses pidana / penyitaan / penyidikan / permintaan keterangan。6語を紙に書き出してから、文を組む。
語を思い出しながら文を組もうとすると、両方が崩れます。語は語で先に決めて、構文は構文で組む——手続きの多い文では、この分業が効きます。
年号が動く。2006年です。訳しながら思い出そうとすると、別の年になります。
数字は「読んだまま書き写す」——いったん原文から目を離さずに、数字だけ先に紙に写すのが確実です。この課題には数字が7つ(2006/4万/1万8000/12/1億/3/5年)あります。まとめて先に写しておくと、あとが楽になります。
民事訴訟法を hukum peradilan perdata と組み立てる。意味は届きますが、法令名としては存在しません。Hukum Acara Perdata です。
acara=手続き。日常の「イベント」と同じ語ですが、法律では訴訟手続きを指します。刑事訴訟法は Hukum Acara Pidana(KUHAP)——対で覚えます。
法令名は固有名詞です。意味から作ると、必ず別のものになります。
「及ぶ」を「続く」と読む。tidak langsung melanjutkan proses pidana(刑事手続を続行しない)は、原文とまったく違う内容になります。
原文の「及ぶ」は「適用の範囲が届く」という意味です。berlaku dalam(〜において効力を持つ)。tidak serta-merta berlaku dalam proses pidana=刑事手続には自動的には適用されない。
抽象的な動詞は、日本語で言い直してから訳す。「及ぶ」→「届く」→「適用される」。2段下ろすと、訳語が決まります。
押収を perebutan にしてしまう。この課題でいちばん重い語の誤りです。rebut=奪う・争奪する。perebutan=奪い合い——perebutan kekuasaan(権力闘争)のように使います。
押収は penyitaan。sita(差し押さえる)から。法に基づいて公権力が物を占有に移す行為で、専用の語があります。
「奪い取ること」という意味の理解は合っています。それでも通じません——手続きの語は、意味からではなく定訳から入ります。⑬でもう一度出てきます。
照会を pencocokan にしてしまう。cocok=合う。mencocokkan=照合する・突き合わせる。pencocokan=照合——2つのものを突き合わせる作業です。
照会は「情報を出すよう求めること」。permintaan keterangan/permintaan data です。求める側と出す側がいて、まだ突き合わせていません。
日本語の熟語は、動詞に分解してから訳す。「照会する」=「問い合わせる」=「求める」→ meminta。そこまで下ろせば、pencocokan は出てきません。
捜査段階を penyelidikan にしてしまう。penyelidikan は内偵——「事件かどうか」を見極める前段階です。押収ができる段階ではありません。
捜査は penyidikan。被疑者を特定して証拠を集める段階で、押収・捜索はこの段階の行為です。
-e- が1つ多いほうが前の段階——penyelidikan → penyidikan。この覚え方だけで、取り違えが防げます(図1)。
捜査機関が電気通信事業者に照会する通信履歴は年間およそ4万件にのぼるが、対象者に通知されず、記者が含まれていたかを検証する術はない。
訳に使う語aparat keamanan=治安当局。aparat penegak hukum=法執行機関・捜査当局(⑫で使います)。aparatur negara=国家公務員機構。
aparat penyidik=捜査機関。penyidik(捜査官)に aparat を添えると、組織として指す形になります。penyidik だけでも通じます。誰が捜査するのかインドネシアではPolri(国家警察)とKejaksaan(検察)が主な捜査機関です。KPK(汚職撲滅委員会)も汚職事件では捜査権を持ちます。
これらをまとめて言うときが aparat penegak hukum(APH と略されます)。「捜査当局」「法執行機関」にあたる語です。
日本の記事を訳すときも、この語をそのまま使えます。「捜査機関」「捜査当局」は、組織名を特定しない総称ですから、総称には総称を当てます。instansi investigasi と書くと「調査機関」——会計検査や社内調査の色が出ます。刑事の捜査は penyidikan。investigasi は報道の「調査報道」(jurnalisme investigasi)にも使う、より広い語です。
penyelenggara pemilu=選挙管理機関。penyelenggara negara=国政の担い手。penyelenggara acara=イベント主催者。
penyelenggara jasa telekomunikasi=電気通信役務の提供者=電気通信事業者。法令の文言としての定型です。「事業者」をどう置くかpelaku usaha=事業者(一般的な商売人・企業)。消費者保護法の語で、どんな業種にも使えます。
penyelenggara=役務を提供する主体。免許や登録を受けて公共的な役務を担うという含みがあります。通信・放送・選挙・教育など、制度に組み込まれた事業に使います。
だから電気通信事業者は penyelenggara。pelaku usaha telekomunikasi でも意味は届きますが、法令の場面では penyelenggara が正式です。operator seluler(携帯通信会社)という言い方も報道ではよく使われます。Telkomsel / Indosat / XL といった具体名を出す場面ならこちら。制度の話なら penyelenggara jasa telekomunikasi——抽象度をそろえます。
permintaan keterangan=照会・事情の問い合わせ。permintaan data=データの提供要求。どちらも行政・捜査の文脈で使います。
pencocokan(照合)とは行為が違います。照会は「出してくれ」と求めること、照合は「二つを突き合わせる」こと。日本語の熟語が似ているだけです。riwayat は「履歴・経歴」riwayat=経歴・来歴・物語。riwayat hidup=履歴書・経歴(daftar riwayat hidup=CV)。riwayat penyakit=既往歴。riwayat komunikasi=通信履歴。
もとは「語り伝えられたこと」という意味の語で、アラビア語由来です。meriwayatkan=語り伝える。
data riwayat komunikasi=通信履歴データ。いつ誰と通信したかの記録で、内容そのもの(isi komunikasi)とは区別されます。この区別が、この社説の論点の一部です。「〜にのぼる」は mencapai(達する)。mencapai sekitar 40.000 permintaan per tahun=年間およそ4万件に達する。単位(permintaan=件)を添えると、何を数えた数かがはっきりします。数字だけ置くより、単位を付けたほうが読みやすい。
どれか1つでも落とすと、数字の性格が変わります。per tahun がないと累計に読め、sekitar がないと確定値に読めます。
数字は「単位・概数・期間」の3点セットで拾う——これは読むときも書くときも同じです。桁区切りは点、小数点はコンマインドネシア語は日本語と逆です。40.000=4万。40,000 と書くと「40.000」つまり40という小数に読まれます。
1万8000 → 18.000。1億円超 → lebih dari 100 juta yen。3,12 のようにコンマが出たら小数です。
桁の階段:ribu(千)→ juta(百万)→ miliar(十億)→ triliun(一兆)。3桁ずつ。日本語は万・億・兆で4桁ずつ——だから「万」と「億」をまたぐときにずれます。sekitar=およそ。kurang lebih/kira-kira も同義です。報道文では sekitar がいちばん多い。lebih dari=〜を超える(④で使います)。hampir=ほぼ。mencapai=〜に達する。数量の周辺語をまとめて入れておくと楽になります。
ほかに tidak ada mekanisme untuk …(〜する仕組みがない)/mustahil untuk …(〜は不可能だ)/tak dapat ditelusuri(追跡できない)。
tidak ada caranya と -nya を付けると口語寄りになります。硬い文体では tidak ada cara untuk … のほうが据わります。因果の順序を組み替える日本語は「通知されず、検証する術はない」と結果を後ろに置いています。通知されないことが原因、検証できないことが結果です。
インドネシア語ではkarena を使って原因を前に出すと自然になります。karena tidak diberitahukan kepada pihak yang bersangkutan, tidak ada cara untuk memverifikasi …
日本語の語順のままでも通じますが、因果が2つ以上重なる文では、原因を前に出したほうが読みやすい。これは文体の選択で、どちらでも誤りではありません。pihak yang bersangkutan=当該の者・対象者。bersangkutan(関係している)+pihak(側)。行政文書の定型です。sasaran(標的・対象)はねらいを定めた対象という含みが強く、この文脈にはやや強い。pihak yang bersangkutan のほうが中立です。
何が(Permintaan data riwayat komunikasi oleh aparat penyidik kepada penyelenggara jasa telekomunikasi)|どれだけ(mencapai sekitar 40.000 permintaan per tahun)|しかし・なぜ(tetapi karena tidak diberitahukan kepada pihak yang bersangkutan)|だからどうなるか(tidak ada cara untuk memverifikasi apakah ada wartawan di dalamnya)。
主語がとても長いのがこの文の特徴です。「照会する通信履歴」= permintaan data riwayat komunikasi に、oleh(誰が)と kepada(誰に)を付けて作ります。
述語は mencapai ひとつ。そこまでは全部主語だと決めてから書き出します。
捜査機関が電気通信事業者に照会する通信履歴は年間およそ4万件にのぼるが、対象者に通知されず、記者が含まれていたかを検証する術はない。
模範訳Permintaan data riwayat komunikasi oleh aparat penyidik kepada penyelenggara jasa telekomunikasi mencapai sekitar 40.000 permintaan per tahun, tetapi karena tidak diberitahukan kepada pihak yang bersangkutan, tidak ada cara untuk memverifikasi apakah ada wartawan di dalamnya.
「年間およそ4万件」——この6文字に3つの情報が入っています。期間(年間)/概数(およそ)/数と単位(4万件)。
数字だけ書き写して、per tahun と sekitar が落ちる——これが起きやすい形です。数字に気を取られると、周りの語が見えなくなります。
手当ては数字を写したあと、その前後2語を必ず見ること。「年間」「およそ」「〜にのぼる」。数字は単独では出てきません——必ず修飾語がくっついています。
per tahun と sekitar が落ちる。「年間およそ4万件」が「4万件」だけになると、累計なのか年間なのか分からなくなります。累計4万件と年間4万件では、意味がまるで違います。
sekitar(およそ)も同じです。これがないと確定値に読めます。公表された正確な数ではないという留保が、この社説では効いています。
数字の前後2語を必ず見る——それだけで防げます。
40,000 と書いてしまう。インドネシア語では 40.000 です。桁区切りが点、小数点がコンマ——日本語と逆。
40,000 と書くと、「40.000」=40という小数に読まれます。4万が40になります。
この課題の数字は7つ(2006/40.000/18.000/12/100 juta/3/5)。点を打つのは 40.000 と 18.000 の2つだけです。
照会を pencocokan にする。②と同じ誤りが、ここでもう一度出ます。pencocokan は照合——突き合わせる作業です。照会は求めること。
permintaan data/permintaan keterangan。meminta(求める)から作ります。
あわせてdicocokan は綴りも誤りです。cocok + meN-…-kan = mencocokkan、受動は dicocokkan——k が2つ。語根が -k で終わる語に -kan を付けると、k が重なります。tolak → ditolakkan/masak → dimasakkan と同じ作りです。
新聞協会の暫定的な集計では、記者約1万8000人のうち、令状で取材メモの押収を受けた社が過去5年で12社、1億円超の賠償を請求された社が3社あった。
訳に使う語rekapitulasi suara=開票集計(選挙報道で毎回出ます)。rekapitulasi data=データの集計。
penghitungan(数え上げ)/pendataan(データ収集)とも近いですが、rekapitulasi は「複数の報告をまとめ上げること」——協会が各社から集めた数字という文脈にぴったり合います。sementara の2つの意味sementara=①暫定的な・一時的な ②〜する一方で(接続詞)。
①:hasil sementara=暫定結果。pemerintahan sementara=暫定政権。data sementara=暫定データ。rekapitulasi sementara=暫定的な集計。
②:Sementara itu, …=一方で(段落の切り替え)。sementara pihak lain menolak=他方は拒否した。
形容詞なら名詞のうしろ、接続詞なら文頭——位置で見分けられます。「暫定的な」を落とさないことが、この文では効きます。確定した統計ではないと断ってから数字を出す——⑤の「数字は小さいとしても」という留保と呼応しています。社説は、自分が出した数字の限界を自分で言う——その構えを支えている1語です。
penerbit=発行元・出版社(terbit=発行される → menerbitkan=発行する → penerbit=発行者 → penerbitan=出版)。
surat kabar=新聞(surat=書面+kabar=知らせ)。koran も新聞ですがやや口語寄り。団体名には surat kabar を使います。日本の団体名を訳すとき日本固有の団体名は、意味を訳して並べるのが基本です。「新聞協会」→ 新聞を発行する社の協会 → Asosiasi Penerbit Surat Kabar。
perhimpunan koran でも意味は届きますが、団体名としては稚拙に響きます。koran が口語寄りであること、perhimpunan が学会や同好会の色を持つことが理由です。
迷ったら「その団体は何をする集まりか」を一度日本語で言い直す。「新聞を出している会社の集まり」——そこまで下ろせば、penerbit surat kabar が出てきます。インドネシアの実在団体:SPS(Serikat Perusahaan Pers=報道企業連合)/PWI(Persatuan Wartawan Indonesia=インドネシア記者連盟)/AJI(Aliansi Jurnalis Independen=独立ジャーナリスト同盟)。報道の記事に頻出する略語です。
mengalami kerugian=損失を被る。mengalami kecelakaan=事故に遭う。mengalami penurunan=低下を経験する。
「受けた」という日本語の受け身は、インドネシア語では mengalami(能動)で受けることが多い。形は能動でも、意味は受け身です。受動で書くこともできる12 perusahaan pers yang catatan liputannya disita=取材メモを押収された12社——受動 disita を使う形。これでも正しいです。
mengalami penyitaan のほうが短くまとまります。名詞(penyitaan)で受けるので、そのあとに修飾を足しやすい——mengalami penyitaan catatan liputan berdasarkan surat perintah のように。
「〜を受けた社が12社」という数え上げの文では、短い形のほうが読みやすい。文体の選択です。dituntut perebutan と書くと「奪い合いを請求された」——語も構文も成立しません。dituntut(訴えられる・請求される)は後半の「賠償を請求された」のほうで使います。2つの述語を、それぞれ別の動詞で受ける——そこを分けるのがこの文の要点です。
surat pemerintah=政府の書類。pemerintah=政府(perintah + peN-)。
1文字(e)の違いで、まったく別のものになります。perintah(命令)と pemerintah(政府)は語根が同じ——「命じる者」だから政府です。関係は分かりますが、指すものは別。令状の種類surat perintah penyitaan=押収令状。surat perintah penggeledahan=捜索令状。surat perintah penangkapan=逮捕状。surat perintah penahanan=勾留状。
surat perintah + 手続きの名詞という作りです。だから手続きの語を知っていれば、令状の名前も作れます。
単に「令状」と言うときは surat perintah。文脈で何の令状かが分かるなら、後ろを付けなくても通ります。berdasarkan=〜に基づいて(dasar=基礎 → berdasarkan)。「令状で」=「令状に基づいて」。dengan surat perintah(令状を用いて)でも通じますが、berdasarkan のほうが法律文らしい。berdasarkan undang-undang(法律に基づいて)/berdasarkan putusan(判決に基づいて)。
やり方はいったんアラビア数字に書き下すだけです。1億 → 100.000.000 → 100 juta。5秒で済みます。
桁の階段:1.000=seribu/1.000.000=sejuta/1.000.000.000=satu miliar/1.000.000.000.000=satu triliun。日本語の万・億・兆とは区切りが違うので、アラビア数字を経由します。「超」の置き方lebih dari=〜を超える・〜より多い。lebih dari 100 juta yen=1億円超。
近い語:di atas(〜以上)/melebihi(〜を上回る)/lebih dari(〜より多い)/sekurang-kurangnya(少なくとも)。
「以上」と「超」の区別が要る場面では、「以上」= sekurang-kurangnya / minimal、「超」= lebih dari。法律の文では、この区別が意味を持ちます。ganti rugi=賠償(ganti=代わり+rugi=損失)。menuntut ganti rugi=賠償を請求する。dituntut ganti rugi=賠償を請求される。kompensasi(補償)は加害がなくても払うもの——ganti rugi は損害の埋め合わせです。
どこの数字か(Menurut rekapitulasi sementara Asosiasi Penerbit Surat Kabar)|母数(dari sekitar 18.000 wartawan)|1つ目(tercatat 12 perusahaan pers yang mengalami penyitaan catatan liputan berdasarkan surat perintah)|2つ目(dan 3 perusahaan yang dituntut ganti rugi lebih dari 100 juta yen)|期間(dalam lima tahun terakhir)。
箱は5つ。数え上げの文なので、「〜した社が何社」を2回くり返す形になります。
期間(過去5年)は、日本語では途中に入っていますが、インドネシア語では最後にまとめて置くと読みやすくなります。両方にかかるからです。
新聞協会の暫定的な集計では、記者約1万8000人のうち、令状で取材メモの押収を受けた社が過去5年で12社、1億円超の賠償を請求された社が3社あった。
模範訳Menurut rekapitulasi sementara Asosiasi Penerbit Surat Kabar, dari sekitar 18.000 wartawan, tercatat 12 perusahaan pers yang mengalami penyitaan catatan liputan berdasarkan surat perintah dan 3 perusahaan yang dituntut ganti rugi lebih dari 100 juta yen dalam lima tahun terakhir.
この文には単位が2つあります。記者1万8000「人」と、12「社」/3「社」。母数は人、数えているのは社です。
これは日本語の原文がそうなっているので、訳でもそのまま残します。そろえようとして「12人」にしないこと。
wartawan(記者・人)と perusahaan pers(報道機関・社)を書き分けるだけで足ります。単位が変わるところは、書き手が意図して変えています——「人の数の中で、社の数を数える」というねじれ自体が、この社説の言いたいこと(数字が小さく見える)につながっています。
「押収を受けた」を dituntut perebutan にする。語が2つとも外れています。dituntut=訴えられる・請求される——押収は請求されるものではありません。perebutan=奪い合い。
正しくは mengalami penyitaan(押収を被った)。あるいは catatan liputannya disita(取材メモを押収された)。
dituntut は後半の「賠償を請求された」で使います。2つの述語を、それぞれ別の動詞で受ける——ここを混ぜないのが要点です。
18,000 と書いてしまう。18.000 です。桁区切りは点。③と同じ注意ですが、この文には数字が4つ(18.000/12/100 juta/5)あるので、点が要るのは1つだけだと決めておきます。
12 と 3 と 5 には点は要りません(3桁未満)。100 juta も点は要りません(juta で表しているから)。点を打つのは4桁以上を数字で書くときだけです。
新聞協会を perhimpunan koran にする。意味は届きますが、団体名としては据わりません。koran は口語寄り、perhimpunan は同好会・学会の色。
Asosiasi Penerbit Surat Kabar。asosiasi(業界団体)+penerbit(発行元)+surat kabar(新聞)。
団体名は「何をする集まりか」を日本語で言い直してから訳す。「新聞を出している会社の集まり」——そこまで下ろせば語が決まります。
図3 この課題の数字7つ。点を打つのは 40.000 と 18.000 だけです。
ここから先は、第5文以降の逐語解説です
この先では、残る10文について 日本語原文 → 訳に使う語 → 訳の設計 → 模範訳 → よくあるつまずき の順に見ていきます。あわせて収録しているのは次の内容です。
- 否定と限定のスコープ4か所——「〜としても、それは〜にすぎない」「〜かねず」「〜ばかりか、〜にすら」(図4)
- 主語が書かれていない文の処理——⑥⑧⑩⑬をどう受けるか。受動 di- か、名詞化か(図5)
- 比喩は直訳しない——pasal titipan(ねじ込まれた条項)/dianaktirikan(冷遇される)(図6)
- syarat と kewajiban——要件と義務。法律文では、この1語で条文の意味が変わります(図7)
- ⑬でもう一度出る penyitaan——同じ語を2回まちがえないための整理
- 模範訳の全文、提出前の点検リスト(図8)、復習語彙12












