ムスリムの人口は16億人います。(イスラム教徒のことをムスリムと言います。)
そのうち10億人はアジア圏にいます。
つまり・・・今の全人口が73億人だから、全人口の 20パーセント以上がムスリム ってことになります!
ムスリムとの壁はなくなってくる?
日本政府観光局(JNTO)が2016年の11月2日に発表した資料によると、10月30日までの訪日外国人旅行者数の累計が2,005万人となり、 初めて2,000万人を超えた ということが分かりました。
さらには、2020年には 東京オリンピックが開催 されますよね。
どんどんムスリムの人が日本にやってくる時代が近づいている。っていうかすでに始まっちゃってる。まさに、グローバル社会です!
もちろん、インドネシアと日本の距離もどんどん近くなってきました。
2015年のインドネシア人訪日者数は約20万5000人で前年比約30%増えて、2016年の1~2月は前年の1~2月と比べて約45%増・・・
まあまあ、どんどん増えていってるんです。笑
もちろんこの流れは今後も進んでいくことでしょう。
アジアから日本ではなく、最近インタビューさせてもらった室野秀さんとかのように日本人起業家がアジア圏で活躍することも最近はよく聞くようになりました。
インドネシア・ジャカルタで起業後ビジネスに成功【室野秀】
そんな時代なのに・・・
今、日本の町を歩いていて、「ムスリム対応」「豚を使ってません」「アルコールを一切使用してません」といった看板や、店内にムスリムがお祈りする場所を見つけることなんてほとんどないって思いませんか?
それにも理由があって、「ハラール」を知らなかったり、理解が少ないから。
ハラールとは?
ムスリムの方がどんどん日本にやってくるこれから、日本としてはどうすべきなのか?
そのカギになるのが「 ハラール 」なのです。
ハラールとはイスラム法において「合法なもの」「健全な商品や行動」事です。
- 豚食べちゃダメ
- お酒のんじゃダメ
- お祈りをする
こんな感じで、おそらくイスラム教についてよくわかってなくてもなんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか?
実は、僕もそれぐらいの知識しかなく、「イスラム教はルールが多くて大変だな~」程度に思っていました。
そんな時にたまたまフェイスブックで見っけたのが、ハラールメディアジャパンという会社が開催する「ハラールビジネス・日本グローバル化情報共有会」というイベント、ハラールに関する情報を共有する会だったのです。
2016年11月20日に開催されたのですが、11月22~23日にかけて行われる「 HALAL EXPO JAPAN 2016 」の前に行われているイベントでした。
今まで全然理解ができなかったハラールのことを一通り学べるかも!というのと暇だったので一人ふらーっと行ってみることにしたんです。
たぶん、全員で20人ぐらい集まっていて、そのほとんどが飲食業で実際にハラールのお店を出している方でした。
お寿司屋さん、焼肉屋さん、カレー屋さん・・・などなど。
まったく知識がなかったのですが、いろいろ話を聞いたり質問させていただくといろんな発見があり楽しかったです。
※ホントに関係ありません。
結構ある!?ハラールのお店
そもそも、僕、ハラールのお店に行ったことがなければ、見たこともありませんでした。
話を聞いていると、ビジネスなどの場でムスリムの方を日本に呼んで接待する場合、ハラール対応ができるお店というのはまだまだ少ないらしいです。
でも、このイベントにハラール対応をしたお店の経営者が多数来ていたように、 ハラール対応のお店というのはどんどん増えて きているのは事実です。
ハラール対応のお店にはカフェもあったり、お寿司屋さんもあったり、ラーメン屋さんもあったりします。
最近では「ハラールたこ焼き」や「ハラール明石焼き」なども登場しています。
参考 東京近郊のハラールのお店15選Tsunagu Japanハラールのお店で出されるごはんには、豚肉を使わない、アルコールを出さないということはもちろんなのですが、実はそれだけではないです。
たとえば、イスラム教で基本的に食べてOKな牛肉にも「ハラール対応の牛肉」と「そうでないもの」があります。
僕は牛肉だとムスリムは食べてOKじゃないの?って思っていました。
イベントには、ハラール対応をした焼肉屋の方も来ていたので、「 ハラール対応の牛肉と、そうでない牛肉はどう違うのか? 」って質問してみました。
すると、通常の牛肉の加工は、皮をはいで、部位に分けるだけだけど、ハラール対応の牛肉の場合、日本にあるイスラムの教えに基づいた加工法をするのだそう、、、
- ハラールの教えに基づいた加工ができる加工場に運ぶ
- 牛の血をすべて抜く
- 牛に対してお祈りする
- 切り分ける
- 出荷
その工程を経たものが、ハラール牛肉として出荷されているということでした。
(ハラール認定を受けた牛肉にはハラール認証のマークがされます。画像https://www.neo-x.co.jp/halalmeat/)
ハラール認定を受ける牛肉は加工場へ牛を運ぶ輸送費や、お祈りなどの工程を経ているため、通常よりも2割程度原価が高くなるらしいのです。
だから、お店で出されるハラール対応のごはんもそれに応じて通常よりも高くなります。
このイベントにはムスリムのパキスタン人もいたのですが、
この前ランチで焼肉を食べに行くと5000円もした!ハラールのものを食べに行くと値段が高くなるから大変!と言っていました。(原価が高くなれば、そりゃそうなるよね・・・)
ちなみに最近彼女がランチで訪れたハラール対応のラーメン屋で食べたラーメンは1400円したそうです。(やっぱりちょっと高い。)
彼女は今、料理の専門学校に通っており、ハラールの料理も作るそう。そうしたことができる料理人も今後は絶対に必要になってくるはず!
で、その子に「ハラールのお店なんて見たことないけど、どうやって探すの?」と聞くと専用のアプリがあると見せてくれました。
それが「ハラルグルメジャパン」というものです。
このアプリによって、ハラール対応のお店を見つけるのは簡単になったそうですが、まだまだ、庶民派ではなく高級なお店が多く、学生の彼女にとっては厳しい部分もあるらしいですが、このアプリの登場はムスリムにとっては非常に役立っています。
ちなみにこのアプリ、今回のイベントを主催しているハラールメディアジャパンが開発したものです。
そしてアプリで紹介されているこういったハラール対応のお店は「 ハラール認証 」というものを受けています。
認証機関から認証を受けて初めて名乗れるものなのですが・・・
ここにも問題が・・・
それは「ハラール認証機関」が多くて、その認証する際の基準というのも少し違ってきちゃうのです。
ハラール認証機関はこんなにある!
ここで、ざっとネットで探したハラール協会を集めてみました。
- NPO法人 日本ハラール協会
- 宗教法人 日本ムスリム協会
- NPO法人 日本アジアハラール協会
- 宗教法人 日本イスラム文化センター / マスジド大塚
- イスラミックセンター・ジャパン
- マレーシア ハラル コーポレーション株式会社
これだけあるし、しかも、それぞれのハラール認証の基準も違う、ということで 「ハラール認証のスタンダード」と言うものがない のです。
だから、日本に訪れたムスリムの方は、どれを基準にすればいいのか分からないといった悩みが生まれています。
現段階のこれらのたくさんある協会、バラバラの基準を一つにしましょうよ。ということで今回のイベントの主催者のHALAL MEDIA JAPANが活動しているというわけです。
ハラールのビジネスチャンスは飲食業界だけではない!?
こうやって聞くと、 ハラール=食品業界のお話 と思われがちなのですが、実はそういったことはありません。
ムスリムの中でも、厳しく教えを守っている人は、 アルコール消毒・除菌などもダメ なのです。だからたとえハラール認証を受けて、ハラールだけを扱っているお店でも、除菌をアルコールで行っていると分かったらムスリムが帰ってしまうこともあるでしょう。
そして、アルコールはお醤油などの調味料にも含まれてるから、こうした調味料のことも考えないといけません。
イベントに来ていた方の中にはアルコールを使わない ハラールの消毒液 を作っている会社の方もいました。
超電解水クリーンシュシュNEOという製品なのですが、口に入れても安全で、しっかりと殺菌もできるということで、ほかのハラール認証を受けたレストランなどでも多く利用されているようです。見せてもらうつもりが、いただいちゃいました。笑
(※アルコールを使ってないですが、しっかりと除菌もできて、油汚れも取れて評判らしいです。)
そのほかにも「ハラールネイル」をやってる方もいたりして、 ハラールって食品だけではないんだ ということが分かり、面白い発見がありました。
ハラールビジネスの今後
冒頭でも述べましたが、ハラールを実際にビジネスにつなげる動きというのは、ムスリムのことを知らない日本人からは見えにくいことかもしれませんが、かなり大きくなってきているといえます。
それは、ハラールの飲食のお店が増えていることからも、そしてムスリムの人がかぶるジルバーブなどの特有のファッション業界にユニクロが参入していたり、あとは業務スーパーのネット通販でも19商品(まだまだ少ないですが)のハラール食品を扱っていることからも明らかです。
また、日本の化粧品をハラールとして海外でムスリムに販売しようという動きもあります。
さらには、 ムスリム派遣アドバイザー という方も今回のイベントに来ていましたが、ハラール理解、情報が頭に入っている人は非常に重宝されるらしく、ひっきりなしに、ムスリムの外国人観光客を案内して忙しいということをおっしゃっていました。
また、ホテル、今はやりの民泊などのハラール対応ができる場所は好評らしい。
こういった流れは今後も続いていくことは間違いないと思います。
ハラールでビジネスをする場合、ハラールに関する認識、理解をしっかりとしていないと、ムスリムの方に迷惑をかけることになってしまいますが、それさえできれば、今後大きなビジネスチャンスをつかめるかもしれません。
ドバイとか中東のお金持ちは、お金はいくら高くても気にしないけど、ハラールかどうかはものすごい気にする人が多いですしね。
ハラールのお店経営はこんな大変なことがある!
今回のイベントには、たくさんの飲食店経営者が来ていたので、無知な僕がいろいろ根掘り葉掘り聞いていたのですが、親切にいろいろと教えてくれました。
たしかに、ムスリム対応のお店で何店舗も経営していたり、長年にわたってやってるお店もあり、 儲けているな という印象はあります。(全部のお店を見たわけじゃないから正確ではないけど。)
でも、そこにはいろんなトラブルもつきもので、日本人の想像をはるかに超える大変だけど面白いエピソードが聞かれました。
それをちょこっと紹介させていただこうと思います!
ケース1.お祈りのこと
ムスリムは一日に5回のお祈りが義務付けられています。
ですので、お昼時に入ったムスリムの方が食後に「お祈りしたいのですが・・・」となることがたまにあるらしいのです。
お店の中にお祈りのためのお部屋は用意してあり、お祈りの時に使うマットも敷いてあげるらしいのですが、まれに、お客さんの中には外に出て他人の敷地で急にお祈りを始めてしまう人もいるそうです。
「クレーム来るからやめて~、でも、お祈り始まっちゃったから止められない~」ってなるそうです。
ケース2.水道管の故障?
お祈りする前には、お清めをします。手や足、あるいは頭を洗うのですが、お手洗いでお清めをする場合、洗面所がビショビショになることもあるようで、日本人のお客さんがビックリすることもあります。
今は予防策のため、洗面台に水をすくうための桶を用意しているらしいです。
インドネシアのトイレに入っても、「なんでこんなにビショビショなん!」ってことがありますが、向こうではむしろ当たり前の光景。でも日本だとあり得ないですけどね。
ケース3.お寿司が気になるインド人
ある時、お寿司屋さんにムスリムのインド人6人が入店。
6人なのに、なぜかお寿司を一貫だけ注文。
彼らはお寿司が何かを知りたかったらしい。それを確認するためにやって来たのです!
その一貫のお寿司を手でちぎって、インド人がカレーを手で食べるように、グチャグチャに手で混ぜて食べていたそう。
彼らはお寿司を覚えたといえるのか?
ちなみに、ムスリムの方は生肉とか生魚を食べる文化がなくて、生で出しても「もう少し焼いてくれ」と注文が来ることは結構あるらしいです。(これはハラールが問題というよりも好みの問題。)
ケース4.断食月はもちろん・・・
これは、インドネシアでもそうなのですが、断食月は飲食店にお客さん来ないです。来ても一組ぐらいらしい・・・(インドネシアでは昼間はレストランはすべて閉まります。)
まとめ
インドネシアに何度も足を運びながら、ハラールのこと、あるいはイスラムのことについてはほとんど知らなかったし、ましてはそこまで興味もなかったのですが、もうそうは言ってられない時代に来ているのじゃないかな~と今回のイベントでは気づかされました。
イスラム圏の言語が話せる方は、今後いろんな働き口が出てくるでしょうが、語学だけでなく、イスラムの宗教に関する知識を多く持っている人も同様に大きなチャンスに恵まれるといえると思います。
イベントの最後には、おいしいハラール料理が提供されて初めてハラール料理を食べることになったのですが、味はめちゃくちゃおいしく、ハラールだからといって何か違和感を感じることはありませんでした。
このほかにも焼肉や、デザートなどがでてきて、どれもめっちゃおいしかったです。
今回のイベントは、定期的に月一回開催されているらしいです。気になる方は一度、足を運んでみるのも良いかもしれませんね!
日本の2度目の開国が近づいている! そんな気がしてきました。ムスリムのお・も・て・な・しができる日本人が増えてくれればうれしいですね。