11月22日、23日と開催されていたハラールエキスポジャパン2016というものに参加してきました。
ハラールって何?って方は「 ビジネスチャンスは「ハラール」にあり?二度目の開国間近? 」を先にお読みいただければと思います。
このイベントでは、実際にムスリム向けにハラールの食品や化粧品、ネイルなどを販売されている会社、あるいはムスリムのファッションを取り入れたファッションショーというものも行われていました。
今回はその盛り上がりの様子をお伝えしようと思います。
ムスリムに関するセミナー
広い会場に100人ほど入っていました。
ハラールエキスポジャパン2016は、主にセミナーと、ファッションショーや展示の二部門に分かれていました。
とりあえず、まずはセミナーに行くことにしました。
題材は「ハラールトラベル ムスリム旅行者の感情を理解する」というもの。
ムスリム観光客の動向と、これからどのようになってくのか、そしてその状況に対してどのように日本が対応していくのか?
そういった内容でした。
今回セミナーしていただいた「CrescentRating」の情報によるとムスリムは2020年までに年間100万人来ると予想されています。
そしてその2020年には、ムスリムが観光に来て消費する金額は22兆円になるともいわれています。
そんな状況が来る中で日本としてはどうすべきなのか?
このセミナーでは知識を持っているだけでもダメで、 ムスリムの心情を理解することが重要 だと説きます。
イスラム教の方が多いインドネシアやマレーシア、シンガポール、バングラデシュなどに足を運んでいる僕でさえ、知識は表面的なもの、たとえば豚、お酒がダメ、で、お祈りするんでしょ?ぐらいの知識しか持ってないことしか持っていないことを考えると今までムスリムが多い国に行ったことない人はほぼ知識もないと思います。
日本に来たムスリムは日本をどう思ってる?
日本にムスリムはたくさん来ています。ってことは、別に日本が対応できてなくても満足してるからやって来てるんじゃない?って思う部分もあったのです。
どうしても嫌だったら、来ないですもんね。
実際その通りで、日本の魅力はたくさんあります、文化や歴史、そして自然。それに触れたいと思っているムスリムは多いのです。
ただ、それは 日本に来るまでは の話。
日本に来る前の期待、それを来た後に裏切られる。そのギャップには明らかに、 ムスリムと日本との接点の少なさ が挙げられます。だからハラールフレンドリーなる表記をしたお店に入っても実際は、完全なハラールではなく、騙された!嘘つき!と感じる厳格なムスリムがいたりします。
そこで、まず重要になってくるのはウェブサイト、SNS、テレビなどのメディアを通じて、 情報を提供する環境を増やしていくこと です。
日本にやってくるムスリムはそこまで情報を持っていないため、実際に来てから「礼拝堂、ハラールが食べれる店がない、どこにあるの?」ってなってるわけです。それ以前に、日本=「富士山に積もった雪」=「めっちゃ寒い」という印象しか持っていない人も多いです。
そういった情報提供をできるものが増えてこれればきっとみんなが注目するものになると思いますし、日本でも安心して観光できると思います。
日本でもラーメンブロガーが流行ったように、ハラールの飲食店情報だけを回ってブログにアップロードしていく「ハラールブロガー?」なんてのがあればきっと注目してくれますよ。(言語は英語、あるいはイスラム圏の言語になりますけど。)
そして多くのムスリムの訪日旅行客が求めているのは情報だけではなく、実際に日本に来たときに求めているものが2つあるといわれています。それが、
- ムスリムに対するより深い理解
- ユニークな経験
「2.ユニークな経験」というものは、日本ならではの食事とか、アトラクション、ショッピング、工芸品、その土地ならではのものでムスリムに興味を持ってもえるものです。
これを実現するためには、ゼロから何かを作り出す必要はなく、 今あるものをどれだけ改善できるか? が重要です。
その改善を実現するための手助けとなってくれるものが「1.ムスリムに対するより深い理解」ということになります。
ムスリムに対する理解・・・
ムスリムでもない日本人が、ムスリムの気持ちに立ってサービスを提供することって実は言葉以上に難しいものがあると思います。
たとえば、あるホテルのお話で、「朝食をハラール対応しました!」というホテルがありました。
もちろん、今の段階でハラール対応をしたホテルは非常に少ないので、ムスリムのお客さんがそのホテルに行きます。
でも、朝食はバイキングで、ハラール対応のお肉は置いているものの、並びはバラバラ、「ハラール 非 対応の肉、ハラール対応の肉、ハラール 非 対応の肉」みたいな並びの所があったりして、「うーん、ちょっと配慮がないよね~」っていう話も聞きました。
現状がどうなっているかをしっかりと把握した上でムスリムの感情の深い理解を持つことができれば、きっと改善点やこの先何をすべきなのか?ということが見えくるんじゃないかな~と思います。
実際日本全体として見てみれば、ムスリムの対応はかなり進んでいます。
成田空港には礼拝スペースがありますし、ムスリムの国のビザはかなり緩くなっています。そしてハラール対応した場所もかなり増えてきています。
このイベント会場には「ハラールレストランマップ」が置いていたのですが、僕らが知らないだけで、意外にたくさんあることに気づかされました。
(ハラール対応のお店は結構あります)
ということで、具体的にムスリム対応した会社がどのような工夫を実施しているのかを、セミナーが終わった後に見に行くことにしました。
会社の展示ブースへ
会場には、ムスリムの人向けにサービスを展開している会社がたくさん集まっていました。思った以上にたくさんあって、キューピーや、業務スーパーなどの有名な会社も来ていました。
業務スーパー盛り上がっています。
イスラムの衣装に身を包んだかわいいキューピー
お土産やさんも
十勝の地域ブランドを生かしたjicaとマレーシア・タイがタッグ
ハラール香水や化粧品のブース
インドネシアからも!
そして、ブースがある中に特設ファッションショーのランウェイもありましたが、ファッションショーはもう終わってたみたい。でもフェイスブックで見つけたので載せておきます。盛り上がっていますね!
ざーと見ただけですが、たくさんの外国人もいて、不思議な空間でしたが、試食ばっかりさせてもらって楽しかったです。
これからはどうなるのか?
今、中国人をどこでも見れるようにムスリムもよく見るように?
都市部に行けば、確実に中国人団体客がいたり、いろんなお店に中国語の文字が書いています。
それと同じように、これから先はアラビア文字がチラホラとお店に見えだし、ムスリムの格好をした人がたくさん歩いていることも珍しくなくなるかもしれません。
少子高齢化対策になる?
今、日本では少子高齢化対策として、出生率を上げることに力を入れています。一人当たりの出生率を人口を維持できる2.07人に持ってこようとしていますが、これからの子供が産める親世代の数というのは急激に減ってくることは確定しているのであまり意味はないです。
将来生まれて来る赤ちゃんの数は、「将来の親世代の人数」「将来の出生率」この2つで決まります。このことを考えるとなかなか上がらない出生率を上げるよりも、単純にイスラムの子供を産める世代の人が日本に来て、日本人と結婚して子供を産む家庭が増えたほうが効率は良いように思えます。
イスラム教の人は基本的に日本が大好き。これはイスラム教で説かれている「誠実・禁欲・慈悲」の心を日本人の多くが持っているからですし、日本特有のアニメ文化や最先端の技術が受けていることもそうですけど、日本人と結婚したいって人も多いですしね。
だから、今回のイベントのように日本人からムスリムに歩み寄る勢いが続いていけば、ムスリムが感じる日本人との距離、日本人が感じるムスリムとの距離はだんだん取り除かれてもしかすると少子高齢化対策になるかも。
イスラム圏の言語を学ぶ人が増える?
これから旅行業界、飲食業界などでは、イスラムに対して、サービスをするケースは確実に増えてくるので、言語を勉強しなきゃいけなくなったり、あるいは文化のことについて学ばなきゃいけない大人も増えると思います。
デメリットも十分ある
ここ最近はハラールブームです。ブームが来てるけども追いついていないことがあるので、きっと来日したムスリムの方に誤解を与えてしまったり、知識や理解が足りないことによって信頼を損ねてしまうこともあると思います。厳格なムスリムはハラールだと思って店に入ったのに、嘘だった、騙された、ってことは実際にありますしね。
それに加えてハラールの認証機関の数はまだまだ多くスタンダードがありません。ハラール認証を受けるのに、数十万や数百万など高額な認証料を取るところもあるらしく、うーん、ってなる。
おわりに
ハラールに関して、いろいろと勉強したこの一週間。国としては早くハラールのスタンダードを作って、統一させなければいけなかったり、まだまだ僕含めて知識がない人が多い現状ですが、もうムスリムが日本にたくさんやってくることが分かっている現状で、宗教なんて知らないからいいや、ってことも言えなくなりつつあるように思います。
イスラム教のことなんて全然分からなかったころには、「なんで豚がダメなの?」意味が分かんない。って感じていました。でも、そのタブーがあるからこそ日本人から歩み寄らなきゃいけない理由や状況というものが出てきたように感じます。