接続語は、書き終えてから探しても見つからない——125語の意見文を、置き場所から設計する
テーマは「柔軟な働き方と、公私の境界」。在宅勤務は自由時間を増やしたのか、それとも終わりのない待機状態に人を閉じ込めたのか——インドネシア語で100〜150語、A. Pendahuluan / B. Isi / C. Penutup の三部構成で書く課題です。
この記事では、125語の作例を1文ずつ分解します。ただし今日いちばんの主題は、語彙でも文法でもありません。「条件を、書く前に置いておく」という一点です。接続語も、受動形も、派生形も、書き終えてから探しにいくと、たいてい見つかりません。
今日のねらい
条件は「後から探すもの」ではなく、「先に置くもの」
この課題には、内容とは別に形の条件がついています。接続語を5つ使う/受動の di- を2回以上/派生形を5種類/口語を使わない/100〜150語。
書き慣れている人ほど、まず内容を書いて、あとから条件を確認しようと考えます。ところがこれが、ほぼ確実に失敗します。書き上がった文章に、あとから接続語を差し込む場所は残っていないからです。段落の頭はもう埋まっている。文と文のつながりも、すでに Namun や Oleh sebab itu で処理してしまっている。
順番を逆にします。白紙の段階で、指定された接続語を先に置く。Sebaliknya をここ、Adapun をここ、Di samping itu をここ、Dengan demikian をここ、Pada akhirnya をここ——5つ置けば、文章の骨格が5か所決まります。あとはそのあいだを埋めるだけ。
これは条件を満たすための小手先ではありません。接続語は、そもそも文章の設計図です。先に置くというのは、設計してから書くということと同じ意味になります。
図1 125語の割り振り。書き出す前に、この3つの箱を紙の端に書いておきます。
図2 接続語は条件を満たすための飾りではなく、文章の設計図そのものです。
SOAL MENGARANG
テーマ領域:労働・社会(Ketenagakerjaan dan Masyarakat)/100〜150語/目安30分
Petunjuk
1. Pilihlah salah satu dari dua tema di bawah ini, lalu tentukan sendiri judul karangan Anda.
2. Panjang karangan 100–150 kata.
3. Tulislah dengan ejaan yang benar dan tulisan yang jelas.
4. Gunakan bahasa baku.
5. Susunlah karangan dengan kerangka: A. Pendahuluan / B. Isi / C. Penutup.
PENGANTAR(読んでから書き始める導入文)
Di tengah perdebatan yang belum juga usai antara APINDO dan KSPI, wacana pemangkasan jam kerja—gagasan yang, sekalipun telah berulang kali diajukan kepada Kemenaker, tak pernah beranjak dari status kajian—kembali mengemuka. Angka BPS mengenai proporsi pekerja yang jam kerjanya melampaui ambang batas normal memang kian mencolok, tetapi sulit dikatakan bahwa panjangnya waktu yang dihabiskan di tempat kerja dengan sendirinya berbanding lurus dengan keluaran yang dihasilkan. Seolah-olah waktu luang merupakan hadiah yang diberikan pemberi kerja kepada mereka yang berprestasi, padahal ia adalah syarat bagi keberlanjutan tenaga kerja itu sendiri. Bagi UMKM, penyesuaian yang tidak bertahap dan terukur bukan tanpa risiko: imbasnya dapat merambat sebagai efek domino pada rantai pasok.
Tema A|Jam kerja yang panjang dan hak atas waktu luang
Uraikan mengapa pengurangan jam kerja tidak serta-merta menghadirkan waktu luang yang bermakna bagi pekerja, serta apa yang perlu dibenahi—baik di tingkat perusahaan maupun di tingkat kebijakan—agar waktu luang tidak sekadar menjadi jeda untuk memulihkan tenaga demi pekerjaan berikutnya.
Tema B|Kerja fleksibel dan kaburnya batas antara pekerjaan dan kehidupan pribadi
Sebagian pihak menilai pengaturan kerja jarak jauh sebagai kebijakan setengah matang yang, alih-alih memperluas waktu luang, justru mengungkung pekerja dalam kesiapsiagaan tanpa batas waktu. Menakar untung ruginya, menurut Anda, perlu dilihat secara utuh dari sisi siapa? Kemukakan pendirian Anda beserta alasannya.
この記事では Tema B を選んで書きます。
テーマAとテーマB、どちらを選ぶか
2つのテーマは、見た目は似ていますが問われ方が違います。ここを取り違えると、書いているうちに答えがずれていきます。
テーマAは「なぜ」と「何を直すか」の2段構えです。Uraikan mengapa …, serta apa yang perlu dibenahi——労働時間を減らしても意味のある余暇にならないのはなぜか、そして企業と政策の両方で何を直すべきか。説明と提案を両方書くことになります。
提案の部分で具体案が出せる人には有利です。逆に、「制度を整えるべきだ」で終わってしまうと、後半が薄くなります。
テーマBは「誰の側から見るか」を問うています。perlu dilihat secara utuh dari sisi siapa?——労働者の側か、雇う側か、あるいは両方か。Kemukakan pendirian Anda(あなたの立場を述べよ)とある以上、どちらかに寄る必要があります。
立場をはっきり書ける人には、こちらのほうが短く収まります。100〜150語という長さでは、1つの立場を通すほうが書きやすいからです。
迷ったときの判断——提案が2つ以上思いつくならA、立場が1つに決まるならB。5分の設計時間のうち、最初の1分でここを決めてしまいます。書き始めてから乗り換えると、それまでの語数が無駄になります。
この記事ではテーマBを選びました。理由は単純で、対比の型(昔と今)がそのまま使えるからです。公私の境界は、昔はあって、いまはない——この構図が最初から見えているテーマは、設計が速く済みます。
図3 テーマの選び方。問いの動詞が、書くべき形を決めています。
まず、自分で書いてみてください
最初の5分は、1語も書かない——これがいちばん効きます。手を動かしたくなりますが、こらえてください。
0〜5分|設計 紙の端に、A・B・C の箱と語数(図1)、5つの接続語(図2)を書きます。テーマAとBのどちらを選ぶかも、ここで決めてしまいます。迷ったまま書き始めると、途中で立場が揺れます。
5〜20分|本文 置いた接続語のあいだを埋めます。1文を長くしない。16語くらいで一度切ると、あとで直しやすくなります。
20〜25分|条件の確認 受動の di- が2回あるか。派生形が5種そろっているか。口語が混じっていないか。ここで足りないものが見つかっても、接続語さえ入っていれば直すのは簡単です。逆に接続語が抜けていると、この段階では手の打ちようがありません。
25〜30分|語数と綴り 語数を数えるのはここ1回だけ。綴りは、自分がよく間違える語だけを見るのが速いです。
Sebaliknya → Adapun → Di samping itu → Dengan demikian → Pada akhirnya
受動 di- ×2以上
派生形:meN-kan/meN-i/ter-/ke-an/per-an
口語禁止:nggak・bikin・kayak・banget・lumayan・kelar・biar
図4 作文で使えない口語と、その書き言葉。上の7組は特に出やすいものです。
受動の di- は、意識して置かないと1回で終わる
図5 受動 di- は、主語を人以外に変えるだけで自然に出てきます。
派生形5種は、ふつうに書けばだいたい入る
図6 派生形5種。赤い2つ(meN-i と per-an)だけ、意識して入れます。
まず、題名から
作例の全文は次の章で出しますが、題名だけは先に見ておきます。題名は本文より先に決めるものだからです。ここが決まると、本文の書きようが変わります。
この課題では題名を自分で立てることになっています(tentukan sendiri judul karangan Anda)。つまり題名も答案の一部です。ところが実際には、本文を書き終えたあとに、残り時間であわてて付けることが多い。いちばん目につく行が、いちばん手をかけていない行になる——これはもったいない話です。
先に決めておくと、もうひとつ利点があります。本文が短くなる。題名で結論を予告してしまえば、本文はそれを説明するだけで済むからです。100〜150語という長さでは、この差が効きます。
Fleksibilitas yang Melahirkan Kesibukan Dua Puluh Empat Jam
語注同じ作りの語が大量にあります。aktivitas(活動)/produktivitas(生産性)/realitas(現実)/kapasitas(能力)/identitas(身元)/universitas(大学)。
-itas で終わる語はすべて名詞——これだけ覚えておけば、知らない語が出てきても品詞は分かります。言い換えられる場合もあるkeluwesan(luwes=しなやかな、から)という土着の語もあります。ただし労働政策の文脈では fleksibilitas のほうが定着しており、kerja fleksibel(柔軟な働き方)という言い方とセットで使われます。
課題文にも Kerja fleksibel と出ています。課題文で使われている語は、そのまま借りるのが安全です。題名の実質語は大文字で始めるのが書き言葉の慣習です(Fleksibilitas / Melahirkan / Kesibukan / Dua / Puluh / Empat / Jam)。yang のような機能語は小文字のまま。
本来は出産の語ですが、抽象的なものを「生み出す」意味でもごくふつうに使います。melahirkan gagasan baru(新しい着想を生む)/melahirkan generasi(世代を生む)。なぜ yang を使うのかyang がないと Fleksibilitas Melahirkan Kesibukan=「柔軟さが忙しさを生む」という文になります。文を題名にすると、報告書ではなく標語のような響きになります。
yang を入れると全体が1つの名詞句になります。「〜を生む柔軟さ」。題名は名詞句で立てるのが基本です。動詞で立てたいときは Ketika Fleksibilitas Menjelma Menjadi Kesibukan(柔軟さが忙しさに姿を変えるとき)のように Ketika で始めると据わりがよくなります。
形容詞に ke-an を付けると「その状態」を指す名詞になります。bebas → kebebasan(自由)/sibuk → kesibukan(多忙)/hidup → kehidupan(生活)。
この作例では kesibukan・kebebasan・kehidupan・keterhubungan と4語出てきます。ke-an は意識しなくても入る派生形です。ke-an にはもう一つの用法がある「〜されて困る」という受け身に近い意味もあります。kehujanan(雨に降られる)/kesiangan(寝過ごす)/kecurian(盗まれる)。
同じ ke-an でも、形容詞から作れば状態の名詞、名詞から作れば被害の動詞になることが多い——という見分けが使えます。題名の Kesibukan Dua Puluh Empat Jam は「24時間の忙しさ」。名詞+時間表現で修飾する、いちばん短い形です。
目安は「2語で言える範囲は綴る」。dua puluh empat(24)は3語ですが、時間の表現として定型なので綴られることが多い。1.047.221 のような数はもちろん算用数字のままです。数の作り方dua(2)+puluh(十)=dua puluh(20)。そこに empat(4)を足して dua puluh empat(24)。
belas は11〜19(sebelas 11/dua belas 12)、puluh は20以上。11 を satu belas と言わない点だけ注意します。この題名はテーマの文言(Kerja fleksibel dan kaburnya batas antara pekerjaan dan kehidupan pribadi)と1語も重なっていません。題名を自分で立てる課題では、これが安全な作り方です。
核になる名詞は Fleksibilitas ひとつ。あとはすべてその修飾です。題名は「名詞1つ+修飾」で作ると、必ず名詞句で終われます。
Fleksibilitas yang Melahirkan Kesibukan Dua Puluh Empat Jam
日本語24時間の忙しさを生む「柔軟さ」
題名を先に決めると、本文が短くなります。「柔軟さが忙しさを生む」と最初に言い切ってしまえば、本文はそれを説明するだけで済むからです。
逆に、本文を書き終えてから題名を考えると、書いた内容を要約しようとして長くなります。Dampak Kerja Fleksibel terhadap Kehidupan Pribadi Pekerja di Era Digital——こういう題名が出てきたら、それは要約であって題名ではありません。
もうひとつ、題名がテーマの文言と重ならないようにする。テーマは Kerja fleksibel dan kaburnya batas antara pekerjaan dan kehidupan pribadi。この作例は fleksibilitas・melahirkan・kesibukan・jam の4語で、テーマの語をひとつも使っていません。
やり方は簡単で、テーマの語を書き出して、それ以外の語で言い換えるだけです。batas が使えないなら、境界が消えた結果(24時間の忙しさ)のほうを題名にする。
題名に bikin を使ってしまう。Fleksibilitas Bikin Kesibukan 24 jam のような形です。bikin は「作る・〜させる」の口語で、日常会話ではきわめて普通の語ですが、作文では使えません。書き言葉は membuat、この文脈なら melahirkan/menciptakan/menimbulkan あたりが自然です。
いちばんもったいないのは、これが題名で起きること。読み手が最初に見る行なので、いちばん目につきます。
題名の大文字が揃わない。Kesibukan 24 jam のように、jam だけ小文字になってしまう形です。書き言葉の題名では、yang・dan・di・ke・dari・untuk のような機能語を除き、実質語はすべて大文字で始めます。
迷ったら「意味を担っている語かどうか」で判断します。Jam は意味を担っているので大文字。yang は担っていないので小文字。
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作例の全文(125語)と、題名を含む9か所の逐語解説をまとめて収録しています。あわせて収録しているのは次の内容です。
- 題名の立て方——テーマの文言を写さずに、結論を名詞句で予告する(図7)
- 文の切れ目を壊さない——読点で終わらせたまま次の文を始めてしまう形の直し方(図8)
- 抽象名詞に逃げない——ke-an は状態を名指すときだけ。評価は具体名詞で言い切る(図9)
- digerogoti(じわじわ蝕まれる)、belenggu(足かせ)——意見文の芯になる語の選び方
- memberikan kita kebebasan が落ち着かない理由。二重目的語の処理(第8文)
- 今日の落とし穴のまとめ(図10)、復習語彙12、次に狙う3点












