特定技能でインドネシア人を受け入れると、受入れ機関(または委託先の登録支援機関)には「日本語学習の機会の提供」が義務的支援として課されます。ただ、「何を、どれだけやれば十分か」は制度上はっきり決まっていません。この記事では、制度の要点と、現場で本当に必要な日本語教育の中身、失敗しやすいパターンを整理します。
制度の要点:何が求められているか
特定技能1号の受入れ機関には、10項目の義務的支援があります。そのうちの一つが「日本語学習の機会の提供」で、日本語教室や日本語教育機関の情報提供、オンライン講座の案内、または受入れ機関自身が日本語教育を実施することなどが例として挙げられています。支援計画書に内容を記載し、実施状況を記録・報告する必要があります。
つまり、義務なのは「機会を提供し、記録を残すこと」であって、「N3に合格させること」ではありません。ここを取り違えると、無理な目標を立てて本人も会社も疲弊します。制度の詳細は出入国在留管理庁の案内で確認してください。
来日した時点で、彼らはどのレベルか
特定技能1号の日本語要件は、JLPT N4合格またはJFT-Basic(A2相当)です。つまり来日済みの特定技能人材は、N4相当の基礎はすでに持っていることがほとんどです。ゼロから五十音を教える必要はありません。
一方で、N4は「基本的な日本語を理解できる」レベルであり、介護や製造の現場で飛び交う指示・報告・曖昧語・敬語は、N4の範囲外です。必要なのは「試験の日本語」より先に「現場の日本語」です。
本当に必要な日本語教育の中身
1. 現場の会話(最優先)
- 指示を聞き取って、確認する(「田中さんを車いすに移してください」→「はい、田中さんを車いすですね」)
- 報告する(「終わりました」「まだです」「○○さんが食事を残しました」)
- 体調を伝える(「頭が痛いです」「熱があります」「休ませてください」)
- 危ない時に言う(「危ない」「止めてください」「助けてください」)
2. 次の在留資格に向けたJLPT対策
特定技能2号や、介護であれば介護福祉士の国家試験を見据える人には、N3以上が現実的な目標になります。N4からN3までは一般に150〜200時間の追加学習が目安です。期限(次のJLPTの受験日)から逆算して計画を立てます。
3. 続けられる環境
日本語教育でいちばん多い失敗は「教材を渡して終わり」です。仕事のあとに、日本語で書かれた日本語教材を一人で開くのは、想像以上に難しい。母語で解説がある教材と、進捗を見る人の2つがないと、3週間で止まります。
失敗しやすい3つのパターン
- 日本語で日本語を教える教材だけを渡す:分からないところが分からないまま進み、脱落する
- 目標も期限もない:「日本語の勉強をしておいて」では動けない。「7月のJLPTでN3」のように決める
- 記録が残らない:支援の実施状況を報告する際に、何をやったか示せない
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