27,000本のアプリが、同じ扉を何度も作った|設問は本文の順に並んでいない——2問目の答えが、最終段落にある
インドネシアの電子政府(SPBE)が、各省庁・各自治体がそれぞれ勝手にアプリを作れる仕組みの上に建っている——という記事です。約27,000本のアプリにRp6.2兆が費やされ、同じ手続きの窓口が十いくつも並んでいる。しかもデータどうしが突き合わせられない。
ここで出てくるのが interoperabilitas(相互運用性)という一語です。「つながるようにしなさい」と言うだけでは足りない、義務づける法的な枠組みが要る——記事の結論はそこにあります。
読解の面では、設問の順番と本文の順番がずれているのが今日の特徴です。設問1は第1段落、設問2は最終段落、設問3と設問4は第3段落。設問の順に読み進めると、答えを追い越します。そこを一緒に見ていきます。
今日のねらい:先に5問ぜんぶ読む。本文は1回だけ通す
今日の設問1〜4は、答えの置き場所がばらばらです。設問1=第1文/設問2=第16文/設問3=第14文/設問4=第13文。設問2でいちばん後ろまで飛ばされて、そこから前に戻るという順番になっています。
これを設問の順に本文を進みながら解こうとすると、どうなるか。設問2を探して最終段落まで行ってしまい、設問3と設問4の答えはもう通り過ぎている。戻る手間が増えるだけならまだいいのですが、音声の場合は戻れません。
やることは単純で、音声が始まる前に、5問ぜんぶ読んでおくだけです。何を探すのかが5つ決まっていれば、本文は1回通すだけで足ります。設問を1問ずつ処理しない——今日はそこだけです。
もうひとつ。この記事は制度の話です。SPBE/PANRB/Komdigi/PDN——略語が4つ出ます。どれが枠組みで、どれが役所で、どれが設備なのか。ここが分かっていないと、設問3と設問4が混ざります。略語は図4で先に整理します。
① 設問を先に5つ読む。今日はこれが全部です。Apa nama …(名称)/Apa yang harus dilakukan … agar …(提言)/Apa usaha … untuk …(取り組み)/Siapa …(人)。探すものが4つ決まっていれば、本文は1回で足ります。
② 略語は「開いた形」とセットで拾う。SPBE=Sistem Pemerintahan Berbasis Elektronik(電子政府システム)/PANRB=行政改革担当省/PDN=Pusat Data Nasional(国家データセンター)。本文は、初出のときに必ず開いた形を置いています。
③ 人名は「役職+氏名」で1セット。Menteri PANRB Rini Widyantini(第11文)と Wakil Menteri Komunikasi dan Digital Nezar Patria(第13文)。2人出ます。Siapa の設問は、役職と氏名を両方返すのが安全です。
④ 数字は5つ。27 ribu(アプリ本数)/Rp6,2 triliun(金額)/615(評価された機関数)/48(良好とされた機関数)/3,12 dari skala 5(指数)。単位が付いている語まで一緒に拾います。
⑤ 最終段落の1語を待つ。Yang diperlukan kini adalah …(いま必要なのは〜だ)で始まったら、そこが記事の提言です。設問2の答えは、この文にあります。bukan sekadar …(単なる〜ではなく)が続くので、対比の形で聞こえます。
音声:TUMPANG TINDIH APLIKASI DALAM PEMERINTAHAN DIGITAL
原文はまだ見ないでください。先に下の5問をぜんぶ読んでから、音声を再生します。設問1〜4は本文から答えが出る問い、設問5は自分の意見です。
Apa nama kerangka penyelenggaraan pemerintahan digital dalam bacaan ini?
Apa yang harus dilakukan pemerintah agar belanja teknologi informasi tidak terbuang?
Apa usaha Kementerian Komunikasi dan Digital untuk memperlancar pertukaran data antarinstansi?
Siapa yang menyatakan bahwa ribuan aplikasi itu tersebar di kementerian dan lembaga?
Menurut Anda, apakah seluruh aplikasi layanan pemerintah sebaiknya digabungkan ke dalam satu portal tunggal? Jelaskan pendapat Anda dalam waktu 2 menit!
ここで初めて文字を見ます。聞き取れなかった箇所に印をつけながら読んでください。
TUMPANG TINDIH APLIKASI DALAM PEMERINTAHAN DIGITAL
電子政府における、アプリの重複
Sistem Pemerintahan Berbasis Elektronik (SPBE) di Indonesia dibangun di atas fondasi yang rapuh karena setiap instansi diberi keleluasaan membuat aplikasinya sendiri. Kerangka ini dirancang untuk menyatukan layanan administrasi dalam satu jaringan. Kenyataannya, layanan yang sama kerap dikerjakan belasan aplikasi yang datanya tidak dapat dipadankan.
Pemborosan dari pola tersebut sudah terukur. Instansi pusat dan pemerintah daerah tercatat mengelola sekitar 27 ribu aplikasi layanan. Anggaran yang terserap untuk pengadaannya mencapai Rp6,2 triliun. Kementerian Pendayagunaan Aparatur Negara dan Reformasi Birokrasi (PANRB) mengevaluasi 615 instansi pada 2024. Dari jumlah itu, hanya 48 instansi yang meraih predikat memuaskan atau kurang dari sepersepuluhnya. Indeks SPBE Nasional pada tahun yang sama berhenti di angka 3,12 dari skala 5. Capaian itu memang bergerak naik, namun tidak sebanding dengan belanja teknologi informasi. Menteri PANRB Rini Widyantini menegaskan bahwa penguatan integrasi pelayanan publik menjadi kunci perbaikan indeks tersebut.
Adapun pembenahan kini diarahkan pada penyatuan infrastruktur. Wakil Menteri Komunikasi dan Digital Nezar Patria menyatakan bahwa ribuan aplikasi itu tersebar di kementerian, lembaga, serta pemerintah daerah. Kementerian Komunikasi dan Digital mendorong pemanfaatan Pusat Data Nasional sebagai tulang punggung pertukaran data. Namun, bagaimana mungkin data warga dipadankan apabila setiap lembaga tetap bersikukuh memelihara aplikasinya sendiri?
Yang diperlukan kini adalah payung hukum yang mewajibkan interoperabilitas, bukan sekadar imbauan agar instansi berhenti membuat aplikasi baru. Tanpa keberanian memangkas ego sektoral, anggaran akan terus terserap guna membangun pintu layanan yang sama.
Disadur dari cnnindonesia.com
解体に入る前に、今日いちばん大事な図を先に置きます。設問の順番と、本文の順番のずれです。
図1 設問の順番と、本文の順番。今日はここが全部です。
TUMPANG TINDIH APLIKASI DALAM PEMERINTAHAN DIGITAL
語注menumpang=便乗する・間借りする。penumpang=乗客(乗り物に「乗っている人」)。menindih=上から押さえる。どちらも身近な語です。
tumpang tindih は行政・法律の記事で頻出します。peraturan yang tumpang tindih(重複した規則)/kewenangan tumpang tindih(権限の重複)/data tumpang tindih(データの重複)。「重複」と訳すか「乱立」と訳すか直訳は「重複」ですが、日本語の記事では「乱立」のほうが自然に響く場面があります。
使い分けの目安は数です。2つが重なっているなら「重複」。いくつも並んでいて整理がついていないなら「乱立」。
今日の記事は27,000本です。本文の belasan aplikasi(十いくつものアプリ)という言い方とあわせると、「乱立」寄りの絵になります。ただし見出しの訳としては「重複」で十分です。ATM の「乱立」のような日常の話でも使えます。tumpang tindih tugas=仕事の重複。saling tumpang tindih=互いに重なり合っている。2語セットで覚えるのが早道です。
-an が付くと、機関ではなく営みになります。pemerintah pusat=中央政府(機関)/sistem pemerintahan=統治のしくみ。
だから pemerintahan digital=デジタル化された行政の営み=日本語の「電子政府」にあたります。pemerintah digital とは言いません。日本語では「電子政府」インドネシアの制度名 SPBE は Sistem Pemerintahan Berbasis Elektronik——直訳すれば「電子ベースの行政システム」です。
日本にも同じ発想の政策があります。行政手続きをオンラインで完結させ、省庁ごとにばらばらだったシステムをつなぐ——やろうとしていることは、ほぼ同じです。
だから訳語も「電子政府」で通ります。デジタル政府と書かれることもあります。制度の語は、日本側の定訳を探すと落ち着きます。daring(dalam jaringan の略)=オンライン。luring(luar jaringan)=オフライン。本文第2文の jaringan(ネットワーク)と同じ語根です。インドネシア語らしい略し方で、覚えておくと会話でも使えます。
名詞だけ。動詞も主語もありません。後ろから読むと「電子政府における → アプリの → 重複」。
誰が悪いのかは書かれていません。状態だけを示した見出しです。原因は第1文——各機関に自由が与えられていることだと、すぐに明かされます。
TUMPANG TINDIH APLIKASI DALAM PEMERINTAHAN DIGITAL
訳例電子政府における、アプリの重複
だから読み手は「どれくらい重なっているのか」を待つ構えで読み始めます。27,000本/Rp6.2兆/十いくつ——第2段落でその答えが並びます。
そして見出しに解決策は書かれていません。解決策は最終段落です。設問2がそこを聞いています。見出しの時点で、記事の形はもう見えています——問題の描写が先、提言が最後。論説の標準形です。
Sistem Pemerintahan Berbasis Elektronik (SPBE) di Indonesia dibangun di atas fondasi yang rapuh karena setiap instansi diberi keleluasaan membuat aplikasinya sendiri.
語注berbasis は basis(基盤)+ber-。berbasis data(データに基づく)/berbasis masyarakat(地域に根ざした)/berbasis kinerja(実績に基づく)——行政文書で非常によく出ます。
あわせて「電子的な基盤の上に立つ行政のしくみ」=電子政府システム。日本語では「電子政府」で通ります。SPBE という制度インドネシアでは大統領規則で SPBE の枠組みが定められ、各省庁・各自治体が電子化を進める共通のルールとされてきました。
本文が言っているのは、その枠組み自体は「1つのネットワークに統合する」目的で設計された(第2文)のに、各機関が自前でアプリを作る自由も同時に与えられていた(第1文)——だから統合されなかったということです。
設計の思想と、運用の自由度が食い違っていた。これが記事の出発点です。設問1の答えはこの語です。Apa nama kerangka …? と聞かれているので、Sistem Pemerintahan Berbasis Elektronik (SPBE) と開いた形+略語で返すのがいちばん確実です。略語だけでも通りますが、開いた形も添えると読んだ証拠が残ります。
fondasi(=pondasi とも綴ります)=基礎・土台。rapuh=もろい・崩れやすい。
dibangun di atas fondasi yang rapuh=もろい土台の上に建てられている。建物の比喩で、日本語でもそのまま通ります。rapuh は「弱い」ではないlemah(弱い)と rapuh は違います。lemah=力がない。rapuh=力を加えると崩れる・砕ける。
tulang rapuh=骨がもろい(骨粗鬆症)。persahabatan yang rapuh=壊れやすい友情。ekonomi yang rapuh=脆弱な経済。
だから訳語は「脆弱な」「もろい」。「弱い土台」だと少し足りません——いま崩れかけているという含みが落ちます。比喩は残せるなら残すのが基本です。土台・建てるという絵は日本語でも見えます。訳文だけを人に読ませたときに同じ絵が浮かぶか——それが比喩を残すかどうかの判断基準です。
本文では instansi pusat(中央の機関・第5文)/615 instansi(第7文)/48 instansi(第8文)とくり返し出ます。数える単位としても使われます。
lembaga(機関・団体)とは重なりますが、instansi のほうが「役所」の色が濃い。lembaga は民間の団体にも使えます(lembaga swadaya masyarakat=NGO)。似た語の整理kementerian=省(大臣が長)。lembaga=庁・委員会など省以外の国家機関。pemerintah daerah=地方自治体。dinas=自治体の部局。
第13文に kementerian, lembaga, serta pemerintah daerah と3つ並べて出てきます。これが「国の役所ぜんぶ」を言うときの定型です。K/L/D と略されることもあります。
instansi はその全部をまとめて言える語——だから本文は数えるときに instansi を使っています。setiap=それぞれの・どの〜も。setiap instansi=どの機関も。semua(全部)がまとまりを見る語なのに対し、setiap は一つひとつを見る語です。「機関ごとに」という含みが出ます。
bergerak dengan leluasa=自由に動く。memberi keleluasaan=裁量を与える。diberi keleluasaan=裁量を与えられている(受動)。
kebebasan(自由)とは少し違います。kebebasan=権利としての自由。keleluasaan=制度の中で認められた「やってよい幅」。行政の記事では後者です。受動が置かれている理由diberi(与えられた)と受動になっているので、誰が与えたのかは書かれていません。
これはぼかしではなく、記事の焦点の置き方です。与えた側(中央)を責める文ではなく、「そういう状態になっている」ことを述べる文。批判は最終段落にとってあります。
報道文の受動は「主体を書かない選択」です。書けないのではなく、いま問題にしていない。ここを読み取れると、記事の構えが見えます。keleluasaan membuat …=〜を作る裁量。名詞のあとに動詞が直接続く形です(untuk は省略できます)。kebebasan berpendapat(意見表明の自由)と同じ作り。
aplikasinya sendiri=その機関自身のアプリ=自前のアプリ。-nya が setiap instansi を受けています。
rumah sendiri(自分の家)/pergi sendiri(ひとりで行く)/Presiden sendiri yang mengatakan(大統領自身が言った)。3つとも形は同じで、意味は文脈が決めます。この1語が記事の芯sendiri が付いているから、「機関ごとにばらばらに作った」という絵になります。これを落とすと、ただ「アプリを作る自由があった」になり、問題が見えなくなります。
同じ語が第15文にもう一度出ます——memelihara aplikasinya sendiri(自前のアプリを抱え続ける)。記事の最初と、問いの形で置かれた文の両方に置かれています。
くり返される1語は、たいてい記事の芯です。2回目が聞こえたら、1回目に戻る——これは今日だけの話ではありません。masing-masing(それぞれ)とも近い語です。sendiri-sendiri=てんでばらばらに。重ねると「別々に」の意味が強まります。berjalan sendiri-sendiri=ばらばらに動く。
主語 → 受動の述部 → karena 以下が理由。karena が出たら、そこから先は理由です。骨格はもう終わっています。
受動が2つ重なっています——dibangun(建てられる)と diberi(与えられる)。どちらも動作主が書かれていません。
Sistem Pemerintahan Berbasis Elektronik (SPBE) di Indonesia dibangun di atas fondasi yang rapuh karena setiap instansi diberi keleluasaan membuat aplikasinya sendiri.
訳例インドネシアの電子政府システム(SPBE)は、もろい土台の上に建てられている。どの機関も、自前のアプリを作る裁量を与えられているからだ。
ここで大事なのは、設問文が kerangka(枠組み)という語を使っていることです。本文の第2文が Kerangka ini … と受けているので、設問文と本文が同じ語でつながっています。設問の語をそのまま本文で探す——それだけで見つかります。
そして第1文が記事全体の要約になっています。もろい土台(=問題)と各機関の裁量(=原因)が、1文の中に両方入っている。残りの16文は、この2つの説明と、その先の提言です。
Kerangka ini dirancang untuk menyatukan layanan administrasi dalam satu jaringan.
語注そこから抽象的な「枠組み」へ。kerangka acuan=参照枠・付託事項書(TOR)/kerangka kerja=フレームワーク/kerangka berpikir=思考の枠組み。
行政・研究の文書でよく出ます。struktur(構造)より「支える形」という感じが強い語です。設問1と本文をつなぐ語設問1の文言は Apa nama kerangka penyelenggaraan pemerintahan digital …? でした。設問が使っている語が、そのまま本文の第2文の主語になっています。
Kerangka ini=この枠組み=前の文の SPBE。ini が前の文を受けているので、答えは1つ前の文にあると分かります。
設問の語を本文で探し、その語が指しているものを答える——抜き出しの設問は、ほぼこれで解けます。rangka(骨組み)+ke-…-a という珍しい作りの語です。dalam rangka …=〜のために・〜の一環としてという定型もあり、案内文や式辞でよく見ます。dalam rangka HUT RI=独立記念日にあたって。
Rancangan Undang-Undang (RUU)=法案——ニュースで毎日のように出る語です。rancangan anggaran=予算案。perancang busana=ファッションデザイナー。
desain(英語由来)とほぼ同義ですが、公文書では rancang 系が優勢です。この受動が置かれた理由dirancang(設計された)と受動になっているので、誰が設計したかは書かれていません。
ここが第1文と対になっています。第1文=dibangun(建てられた)/diberi(与えられた)。第2文=dirancang(設計された)。3つとも受動です。
設計の意図(統合する)と実際の姿(ばらばら)を並べて置くための構えです。だから第3文が Kenyataannya(実際には)で始まります。3文セットで1つの論になっています。dirancang untuk + 動詞=〜するように設計されている。ditujukan untuk(〜を目的としている)/dimaksudkan untuk(〜を意図している)も同じ形で使えます。3つとも報道文の頻出形です。
Negara Kesatuan Republik Indonesia (NKRI)=インドネシア共和国(直訳「統一国家」)。Bhinneka Tunggal Ika と並ぶ、国のあり方を表す語です。
menyatukan と penyatuan は同じ語根の動詞と名詞。第12文で名詞形が再登場します。jaringan は「網」jaring=網(漁の網)。jaringan=ネットワーク・網の目・組織網。生物では「組織」(jaringan otot=筋組織)。
jaringan internet=インターネット回線。jaringan distribusi=流通網。jaringan narkoba=麻薬組織。良い意味にも悪い意味にも使えます。
daring(オンライン)は dalam jaringan の略——まさにこの語です。luring=luar jaringan(オフライン)。satu が効いています。dalam satu jaringan=1つのネットワークの中に。この「1つ」が、記事の対立軸です——設計は「1つ」、現実は「27,000」。数詞を落とすと、対比が消えます。
11語の短い文です。設計の意図だけを述べています。
この文には「しかし」がありません。反転は次の文——Kenyataannya(実際には)。2文で1組として読みます。
Kerangka ini dirancang untuk menyatukan layanan administrasi dalam satu jaringan.
訳例この枠組みは、行政サービスを1つのネットワークにまとめるために設計されたものだ。
だからこの文だけを取り出すと、記事の向きが分かりません。向きが決まるのは第3文の Kenyataannya——「ところが実際には」。
建前 → 実際という2文の型は、論説の骨格そのものです。建前が短く、実際が長いのが普通で、今日もそうなっています(第2文11語、第3文14語)。短い文が来たら、次を待つ。それだけで構えが作れます。
Kenyataannya, layanan yang sama kerap dikerjakan belasan aplikasi yang datanya tidak dapat dipadankan.
語注kenyataannya=その実際は・実際のところ。-nya が付いて副詞のように文頭で使われます。
pada kenyataannya(実際には)/dalam kenyataan(現実には)も同じ意味です。文頭の1語で向きが変わる報道文は、段落の頭や文頭の1語で向きを変えます。今日の記事に出るのは4つ——Kenyataannya(第3文・実際には)/Adapun(第12文・さて一方)/Namun(第10文・第15文・しかし)/Yang diperlukan kini adalah(第16文・いま必要なのは)。
この4語を拾うだけで、記事の骨組みが取れます。Kenyataannya が聞こえたら、直前の文が「建前」だったと分かります。
聞き取りでは、内容より先にこの種の語を拾うほうが早い。骨組みが見えれば、細部は後から入ります。ternyata との違い。ternyata=意外にも・調べたら〜だったという発見の色。kenyataannya=建前に対する現実という対比の色。今日は対比なので kenyataannya が使われています。
kerap は sering とほぼ同じ頻度ですが、書き言葉寄りです。報道文では kerap のほうがよく見ます。
kerap kali=たびたび(強調形)。kekerapan=頻度(統計の語)。頻度の語は落とさないkerap を落として「同じサービスが十いくつものアプリで処理されている」とだけ訳すと、常にそうだという強い主張になります。
原文は「しばしばそうなっている」——やや弱い。論説では、この強さの差が主張の性格を決めます。
強めても弱めても、別の主張になります。頻度・程度の語は、聞こえたらそのまま残す——今日いちばん地味で、いちばん効く注意点です。lazim(通例となっている)とも近いですが、lazim は「それが標準だ」という含みで、kerap より強い。今日は kerap——まだ標準とまでは言っていません。
puluhan=数十の。ratusan=数百の。ribuan=数千の(第13文に出ます)。jutaan=数百万の。miliaran=数十億の。
正確な数ではなく「その桁」を言う形です。数字が聞こえなくても、桁は取れます。今日の記事の桁の階段belasan aplikasi(第3文・十いくつ)→ 27 ribu aplikasi(第5文・2万7千)→ ribuan aplikasi(第13文・数千)。
同じアプリの話なのに、数え方が3回変わっています。belasan=1つのサービスあたりの重複数。27 ribu=全国の総数。ribuan=ざっくりした言い直し。
「何の数か」まで拾うと、混乱しません。単位の語(aplikasi / instansi)が、その数が何を数えたものかを教えてくれます。belasan tahun=十数年。anak belasan tahun=ティーンエイジャー——10代を指す決まった言い方です。日常でもよく使います。
sepadan=釣り合っている——本文第10文の tidak sebanding と同じ意味の語です。tidak sepadan dengan …=〜に見合わない。
padanan kata=訳語・対応語。辞書の世界でよく使う語です。データの文脈での意味データの話で dipadankan と言えば、別々のシステムにある記録を、同じ人・同じ物として結びつけることです。日本語では「名寄せ」「突合」にあたります。
たとえば住民登録番号(NIK)を鍵にして、A省のデータと B自治体のデータを同じ人物のものだと確認する。これができないと、統合しても意味がありません。
第15文でもう一度出ます——bagaimana mungkin data warga dipadankan …?(どうやって住民のデータを突き合わせられるのか)。記事の問いそのものです。tidak dapat …=〜できない。dapat=できる(bisa の書き言葉版)。tidak dapat dipadankan=突き合わせることができない。受動+可能の組み合わせで、「する側」を出さずに不可能を言う形です。
受動文で、動作主に前置詞が付いていません。dikerjakan belasan aplikasi=dikerjakan oleh belasan aplikasi。oleh は省略できます。
最後の yang は belasan aplikasi にかかります。datanya の -nya が、そのアプリたちのデータを指しています。
dikerjakan belasan aplikasi を「十いくつものアプリを処理する」と読む。dikerjakan は受動です。主語は layanan yang sama(同じサービス)。belasan aplikasi は動作主です。
oleh が省略されているので、能動文に見えてしまうのが原因です。di- が付いていたら受動——形で判定できます。
受動文で oleh が省かれるのは、インドネシア語ではごくふつうです。di- 動詞のうしろに名詞が来たら、それは動作主。この形を覚えておくと、報道文がぐっと読みやすくなります。
yang datanya の係り先を外す。この yang がかかっているのは直前の belasan aplikasi です。layanan yang sama ではありません。
「データが突き合わせられないサービス」と読むと、問題の所在がずれます。データを持っているのはアプリのほうです。
yang は直前の名詞にかかる——これを守るだけで防げます。1文に yang が2つ出たら、それぞれ別の名詞にかかっていると考えます。
Kenyataannya, layanan yang sama kerap dikerjakan belasan aplikasi yang datanya tidak dapat dipadankan.
訳例実際には、同じサービスがしばしば十いくつものアプリによって処理されており、しかもそれらのデータは互いに突き合わせられない。
3文で1つの論。報道文の第1段落は、たいていこの形です。結論 → 建前 → 現実、あるいは結論 → 背景 → 具体。
ここまで取れていれば、第2段落の数字は「その裏づけ」として聞けるようになります。数字を聞く前に、何の裏づけなのかが分かっている——これが聞き取りで一番効きます。
Pemborosan dari pola tersebut sudah terukur.
語注反対は hemat(倹約な)。menghemat=節約する。penghematan=節約。hemat energi=省エネ。2語をセットで覚えます。
peN-…-an は「〜すること」で、peN- だけなら「〜する人・もの」。pemborosan(浪費)と pemboros(浪費家)——-an があるかないかで、行為か人かが決まります。行政報道の定番語pemborosan anggaran=予算のむだ遣い。行政や公共事業の記事でくり返し出ます。
関連語もまとめて。inefisiensi=非効率。mubazir=むだになる・使われないまま余る。membebani anggaran=予算を圧迫する。menggerus anggaran=予算を削り取る。
mubazir はとくに便利です。「作ったのに使われていない」という状態にぴったり合います——今日の記事の情景そのものです。設問2の文言に terbuang(むだになる・捨てられる)が使われています。buang=捨てる → terbuang=捨てられてしまう。pemborosan と terbuang は、設問と本文をつなぐ言い換えの対です。設問の語がそのまま本文にないときは、言い換えを探します。
pola pikir=思考パターン/pola makan=食習慣/pola asuh=子育ての方針/pola tanam=作付け体系。日常でも行政文書でも使います。
ここでの pola=各機関がそれぞれアプリを作るというやり方。前の3文をまとめて1語で受けています。tersebut は「前に述べた」tersebut=前述の・上記の。sebut(言う・挙げる)+ter-。公文書と報道文の必須語です。
itu(その)よりも硬く、指す範囲が明確です。hal tersebut(前述の件)/pihak tersebut(当該の側)/angka tersebut(その数字)。
tersebut が聞こえたら「前に出た何かを受けている」——受けている中身を探しに戻るのが読み方です。今日は第1〜3文まるごとを受けています。tersebut と disebut は別語です。disebut=〜と呼ばれる・〜と述べられる(第13文の menyatakan と近い働き)。ter- と di- で意味が変わる——形の違いを見落とさないところです。
ter- には①偶発(うっかり〜してしまう)②可能(〜できる)③完了状態(〜されている)の3つの働きがあります。
ここは③完了状態——すでに数字になっている。sudah が付いているので完了だと確定できます。この1文が段落の入口Pemborosan … sudah terukur.=そのむだ遣いは、すでに数字で示されている。たった6語の文です。
これは「これから数字を並べます」という宣言です。実際、第5〜9文に5つの数字が続きます。
短い宣言文のあとには、必ず中身が来ます。聞き取りでは、この文が聞こえた瞬間にメモの構えを作ります——数字が5つ来ると分かっているのと、分からないのとでは、取れる量が変わります。terukur はほめ言葉としても使われます。target yang terukur=測定可能な目標。langkah yang terukur=慎重に計算された手立て。ここでは中立に「数字で示されている」という意味です。
6語だけ。主語と述語しかありません。
dari は「〜から生じる」——原因を示す dari です。pemborosan dari pola=そのやり方から生じるむだ遣い。「そのやり方のむだ遣い」ではありません。
Pemborosan dari pola tersebut sudah terukur.
訳例そうしたやり方から生じるむだ遣いは、すでに数字で示されている。
同じ働きの文が第12文にもあります——Adapun pembenahan kini diarahkan pada penyatuan infrastruktur.(さて、改善はいま基盤の統合に向けられている)。第3段落は「対策の段落」だという宣言です。
段落の頭を拾うだけで、記事の地図ができます。第1段落=問題/第2段落=数字/第3段落=対策/第4段落=提言。設問がどの段落を聞いているかも、これで見当がつきます。
Instansi pusat dan pemerintah daerah tercatat mengelola sekitar 27 ribu aplikasi layanan.
語注pemda は pemerintah daerah の略。otonomi daerah=地方自治。dana transfer ke daerah=地方への財政移転。
daerah は「地域」一般も指しますが、行政文書ではほぼ「地方(自治体)」です。海域(perairan)と混同しないところです。インドネシアの行政の層pusat(中央)→ provinsi(州)→ kabupaten(県)/kota(市)→ kecamatan(郡)→ desa(村)/kelurahan(町)。
州が38、県・市があわせて500以上あります。その一つひとつがアプリを作れる——27,000本という数字の背景はここです。
「中央と地方」と一言で言っていますが、地方の側だけで500以上の主体がある。制度を知ると、数字の意味が変わります。daerah は「地方」と訳します。「地域」でも通りますが、pemerintah daerah と並んでいるときは行政の層を指しているので、「地方」のほうが精確です。
catatan kaki=脚注。mencatat sejarah=歴史に名を刻む。tercatat sebagai …=〜として記録されている。
tercatat + 動詞という形で、「〜していると記録されている」という言い方ができます。今日はこの形です。記者が距離を取る語tercatat を挟むと、「記録によれば」というワンクッションが入ります。記者自身が数えたのではなく、公表された記録がそう言っている。
同じ働きの語がいくつもあります。dinilai(〜と評価されている)/disebut(〜と言われている)/diperkirakan(〜と見積もられている)/dilaporkan(〜と報じられている)。
報道文にはこの種の語が必ず入っています。訳すときも「〜とされる」「〜と記録されている」と残すのが精確です。落とすと、記者が断定したことになります。sekitar(およそ)も同じ働きです。tercatat mengelola sekitar 27 ribu=おおよそ27,000本を管理していると記録されている。二重にぼかしています——正確な数は誰も把握していないという含みが出ます。
語根は kelola です。接辞が付いても、語根の綴りは変わりません——menge-lola ではなく meng-elola でもなく、me-ngelola でもない。meN- + kelola で k が脱落して mengelola。
g を重ねません。menggelola/penggelolaan/dikelolah はいずれも別の形です。語根 kelola に戻れば、迷いません。meN- が k を飲み込む規則k・p・s・t で始まる語根は、meN- が付くとその頭の音が消えます。
k:kelola → mengelola/kirim → mengirim/kurang → mengurangi。
p:pakai → memakai/potong → memotong。s:sapu → menyapu/soal → menyoal。t:tulis → menulis/tanya → menanyakan。
消えるのは頭の1音だけで、残りはそのままです。ここを知っていると、知らない動詞からでも語根が復元できます——辞書を引くのに必要な技です。tata kelola=ガバナンス・統治のしくみ。tata kelola pemerintahan yang baik=グッドガバナンス。行政の記事で頻出する2語です。kelola を語根として覚えておくと、この語も開けます。
juta=百万。miliar=十億。triliun=一兆。日本語との対応で迷いやすいところです。27 ribu を「27千」と直訳しない——2万7千と置き換えます。
sekitar=およそ・約。kurang lebih/kira-kira も同じ意味です。27,000 という数の重み単位は aplikasi layanan=サービスアプリです。行政手続きの窓口が、アプリの形で27,000個あるということ。
これを省庁と自治体の数で割ると——中央の省庁と庁が約80、州が38、県・市が500以上。単純に割っても1機関あたり40本以上になります。
1つの機関が40本のアプリを持っている。この絵が浮かぶと、tumpang tindih(重複)という見出しの意味が体で分かります。数字は、割ってみると意味が出ます。layanan=サービス(layan=仕える → melayani=奉仕する → layanan=サービス → pelayanan=サービス提供)。pelayanan publik=公共サービス(第11文に出ます)。layanan と pelayanan は、ほぼ同義で使われます。
tercatat + 動詞で「〜していると記録されている」。tercatat が主語の性質、mengelola が実際の動作です。
主語が2つ並んでいます(dan でつながれた中央と地方)。述部は1つ——両方にかかります。
Instansi pusat dan pemerintah daerah tercatat mengelola sekitar 27 ribu aplikasi layanan.
訳例中央の機関と地方自治体は、およそ2万7千のサービスアプリを管理していると記録されている。
インドネシア語の数の階段はribu(千)→ juta(百万)→ miliar(十億)→ triliun(一兆)。3桁ずつです。日本語は万・億・兆で4桁ずつ。ここがずれるので、変換に一手間かかります。
コツは「ribu が聞こえたら3桁足す」と機械的に処理することです。27 → 27,000。そのあとで日本語の単位に置き換えます。聞きながら日本語に直そうとすると、間に合いません。
Anggaran yang terserap untuk pengadaannya mencapai Rp6,2 triliun.
語注penyerapan anggaran=予算の執行(消化)——行政の記事で毎日のように出る語です。「使われた割合」を意味します。
kata serapan=借用語(他の言語から吸収した語)。同じ語根が、まったく違う分野で使われます。terserap が持つ含みter- が付くと「吸い込まれてしまった」という受け身で、やや否定的な色が出ます。digunakan(使われた)より批判的です。
第17文でもう一度出ます——anggaran akan terus terserap(予算は吸い上げられ続ける)。記事の最初と最後で同じ語。これは書き手が意図して置いています。
くり返される語は、書き手の立ち位置を示します。「使われた」ではなく「吸い込まれた」——この1語で、論説であることが分かります。anggaran=予算(anggar=見積もる)。APBN=Anggaran Pendapatan dan Belanja Negara(国家予算)。APBD=Anggaran Pendapatan dan Belanja Daerah(地方予算)。行政報道の必須略語です。
「ある」という語から「調達」ができるのが面白いところです。mengadakan=存在させる → そこにない物を用意する → 調達する。
pengadaan barang dan jasa=物品・役務の調達——公共調達を指す決まった言い方で、汚職事件の記事にも頻出します。-nya が指しているものpengadaannya の -nya は前の文の 27 ribu aplikasi layanan を受けています。「それらのアプリの調達」。
-nya は、直前の文の名詞を受けることが多い。文をまたいで指すので、聞き取りでは取りこぼしやすいところです。
-nya が聞こえたら、直前の文の名詞を思い出す。そこで文と文がつながります。今日は第5文と第6文が -nya でつながっています——アプリの本数と、その調達費。e-katalog/LKPP(Lembaga Kebijakan Pengadaan Barang/Jasa Pemerintah=政府調達政策機関)——公共調達の記事で出る語です。pengadaan という語が出たら、公金が動く話だと構えます。
Rp6,2 triliun=6.2兆ルピア=6兆2千億ルピア。Rp6.200.000.000.000 と書けば桁区切りのほうです。
本文にはもう1つ3,12 dari skala 5(第9文)が出ます。これも小数——3.12 です。「3千12」ではありません。円に直すと1円 ≒ 100ルピア前後で考えると、Rp6,2 triliun ≒ 620億円。アプリの調達だけでです。
比べるための数字を1つ。インドネシアの国家予算は年におよそ Rp3.600 triliun(約36兆円)規模です。6.2兆ルピアは、その0.2%弱。
単体では小さく見えます。だから記事は「金額が大きい」とは書いていません——書いてあるのは tidak sebanding(第10文・見合っていない)。成果と釣り合わないという論です。金額の大小ではなく、費用対効果の話だと読めます。mencapai=〜に達する(capai=到達する → tercapai=達成される → pencapaian/capaian=達成・成果)。capaian は第10文に出ます——Capaian itu memang bergerak naik(その成果は確かに上向いている)。同じ語根です。
主語が長い文です。Anggaran(予算)が主語の中心で、yang 以下がぜんぶ修飾。述語は mencapai だけ。
yang terserap untuk …=〜のために吸い上げられた。yang の中に受動が入っている形です。
Anggaran yang terserap untuk pengadaannya mencapai Rp6,2 triliun.
訳例それらの調達に吸い上げられた予算は、6兆2千億ルピアに達する。
やり方は「動詞の候補を数える」だけ。terserap は yang の中にあるので主語の一部。mencapai だけがyang の外にあります。yang の外にある動詞が、その文の述語です。
この見分けは、長い文でこそ効きます。今日は第6文(14語)で練習して、第16文(20語)と第17文(16語)で本番になります。同じ手が使えます。
図2 第2段落の数字5つ。単位の語とセットで拾うのがコツです。
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第7文以降の逐語解説と、設問1〜4の答えあわせをまとめて収録しています。あわせて収録しているのは次の内容です。
- 設問2の答えは最終段落、設問3・設問4は第3段落——本文の順に読むと追い越します(図1・図5)
- Siapa の問いは「役職+氏名」で1セット。今日は2人出てきて、役職が長いのが罠です
- 略語4つ——SPBE / PANRB / Komdigi / PDN。枠組み・役所・設備のどれなのかを整理します(図3)
- interoperabilitas(相互運用性)とは何か。「つながる」だけでは足りない理由(図4)
- 意見を2分で述べる型——立場 → 理由2つ → 留保 → 提言 → 締めの6部品(図7)
- 設問1〜4の解答例、よくあるつまずき、設問5の解答例と日本語訳、復習語彙12












