分野バラバラの長文を10本、
骨格から解体する
ジャパネシアのオリジナル教材です。1文が35〜55語——金融・環境・司法・医療・防災・文化・スポーツ・政治・物価・交通と、10本すべて分野が違う長い一文を、1本ずつ解体します。関係節 yang、入れ子になった数値、そして BMKG・BWF・KPU のような略語。「一文で完結しているのに、読み終えたときに何の話か分からない」——その原因を骨格レベルで潰します。背景解説と図解3点つき。
この教材の使い方
- 各問の冒頭に音声を置いてあります。文字を見ずに2回ずつ聴いてください。原文は音声のすぐ下にありますが、先に見ないこと。
- 読み終えたら、その文に付いた設問にインドネシア語の完全文で答える。単語だけで答えないこと。
- 答えてから、語注・骨格・訳例・POINT を読む。先に解説を読むと、まったく身につきません。
- 10本すべて終えたら、背景解説②③の図で「どこを落としたか」を型に分類する。
目安30分。1問あたり3分です。訳せるかどうかではなく、聞いた直後に設問へ答えられるかが本当の課題です。
10問の分野(音声と本文は次のセクションから)
なぜ「一文一問型」は、まとまった文章より難しいのか。4〜5段落の文章なら、前後の文脈が助けてくれます。1つの語を聞き逃しても、次の文で補える。ところが一文一問型では、その1文の中だけで完結しなければなりません。しかも分野が毎回変わるので、前の文の語彙が次の文で使えない。
そのうえ1文が35〜55語あります。日本語に直すと100〜150字。関係節 yang が2つ3つ入り、数値が2つ以上並び、略語が混ざる。最後まで聞いたときには、最初の主語を忘れている——これが典型的な崩れ方です。
対策はひとつだけ。骨格を先に確保することです。長い一文は、必ず次の要素でできています。
① 主語(誰が)——たいてい文頭の1〜4語。機関名や組織名であることが多い。
② 述語(どうした)——主語の直後に来る。ここまでを最初の3秒で押さえる。
③ 目的語(何を)——述語の後ろ。数値を含むことが多い。
④ 付加情報——yang 節、pada 節、dengan 節、sehingga 節。ここは後回しでいい。
重要なのは、④が文の半分以上を占めるということです。にもかかわらず、設問が問うのは①〜③であることがほとんど。付加情報に飲まれて骨格を見失うのが、この形式でいちばん多い失敗です。
聴きながら、頭の中で「誰が・どうした」を先に確定してください。そのあとで、後ろにぶら下がっている情報を拾いにいく。図1で、実際の1文をこの4要素に分解してみます。
図1:50語の一文を4つの部分に分解したもの(NOMOR 1 を例に)。※模式図です。実際の語順は文によって変わりますが、「骨格を先に、付加情報は後回し」という処理の順序は共通です。
各ブロックは音声 → 原文 → 語注(語根つき) → 文の骨格 → 訳例 → POINT → 設問と模範解答という構成です。骨格の欄では、その一文を色分けした4要素に分けています。ここを目で追えるようになれば、聴いたときにも同じ分解ができます。
設問はインドネシア語の完全文で答える形式です。日本語に訳せても、インドネシア語で返せなければ点になりません。模範解答は、設問の語をそのまま借りて主語を立てるという原則で作ってあります。
④ pada Rapat …(いつ・どこで)/④ dengan pertimbangan bahwa …(なぜ)
——骨格は最初の13語だけ。残り30語以上はすべて付加情報。
この一文の最大の関門は、数字の「掛かり方」です。sasaran 2,5 plus minus 1 persen =「目標2.5%、その±1%」——つまり1.5%〜3.5%という幅を意味します。「±2.5%の目標」と読むと、本体と幅が逆になります。
そしてこの読み方が正しくないと、文の論理が成立しません。コアインフレ率は2.4%。もし目標が「±2.5%」なら2.4%は基準そのものが不明ですが、「2.5±1=1.5〜3.5」なら2.4はきちんとレンジの中に入る。だから金利を据え置ける。数字の掛かり方は、文の因果を支えています。
gubernur の取り違えに注意。一般には「州知事」ですが、Bank Indonesia の文脈では「総裁」です。Gubernur Bank Indonesia=インドネシア銀行総裁。Dewan Gubernur=(中銀の)理事会。組織名とセットで意味が決まる語の代表例です。
memper-…-kan は「〜の状態を保つ/〜にする」を作ります。mempertahankan(維持する)、memperbaiki(改善する)、memperkuat(強化する)、memperluas(拡大する)。経済ニュースの動詞の多くがこの型です。
Pertanyaan: Berapa suku bunga acuan yang dipertahankan Bank Indonesia, dan apa pertimbangannya?
Jawaban: Bank Indonesia mempertahankan suku bunga acuan BI-Rate di level 5,25 persen, dengan pertimbangan bahwa inflasi inti yang tercatat 2,4 persen secara tahunan masih berada dalam rentang sasaran 2,5 plus minus 1 persen.
④ atau turun 34% dibandingkan …(言い換え・比較)/④ berkat …(理由)
——melaporkan bahwa の後ろが入れ子の文になっている。その中にも主語と述語がある。
知らない語が出たら、音を丸暗記せず接辞を剥がす。pembasahan は peN- + basah + -an。basah は「濡れた」という初級語です。「濡らすこと」=再湿潤化だと推測できます。音から似た語を連想するのではなく、形から語根を割り出す——これが上級で最も効く読解技術です。
同じ手順で読める語が、この文だけで3つあります。pembasahan(← basah 濡れた)/kehutanan(← hutan 森)/dibandingkan(← banding 比較)。peN-…-an と ke-…-an と per-…-an を剥がす癖をつければ、専門語の8割は推測できます。
34パーセント減の「比較基準」を落とさないこと。dibandingkan periode yang sama tahun lalu(前年同期比)。「何と比べて」がなければ、パーセンテージは意味を持ちません。経済・環境ニュースでは必ずこの句が付くので、数字とセットで拾ってください。同型:dibandingkan bulan sebelumnya(前月比)、secara tahunan(前年比)、secara kuartalan(前期比)。
berkat は「〜のおかげで」。良い結果の原因にだけ使います。悪い結果なら akibat(〜のせいで)/karena(中立)。berkat が聞こえたら、その文はポジティブな評価をしていると分かります。
泥炭地火災という題材について。インドネシアの泥炭地は本来水を含んでおり、乾くと地下深くまで燃え続けます。植林や排水のために掘られた水路(kanal)が水を抜いてしまうため、その水路をせき止めて水位を戻す(pembasahan kembali)のが火災対策の柱です。語の意味と政策の中身が直結している好例です。
Pertanyaan: Berapa luas lahan gambut yang terbakar tahun ini, dan bagaimana perbandingannya dengan tahun lalu?
Jawaban: Luas lahan gambut yang terbakar mencapai 12.800 hektare, atau turun sekitar 34 persen dibandingkan periode yang sama tahun lalu.
④ sehingga[vonis … tetap berlaku](その結果)
——sehingga 以下がもうひとつの文になっている。その中の主語は vonisで、述語は tetap berlaku。間に24語の修飾が挟まっている。
Agung 系の機関名は、まとめて覚えるしかありません。ここを取り違えると、司法ニュースは丸ごと誤読になります。
裁く側か、訴える側か。Mahkamah(法廷)と Kejaksaan(検察)は、どちらも Agung が付くので音が似ていますが、役割は正反対です。上告を「却下する」のは裁判所。動詞から機関を逆算できるようにしておくと、聞き逃しても復元できます。
裁判の3段階と、それぞれの申し立て。第一審(Pengadilan Negeri)→ 控訴 banding → 上告 kasasi → 再審請求 peninjauan kembali(PK)。kasasi は「破棄上告」で、最高裁に対して行うもの。「棄却申請」ではありません(棄却するのは裁判所の側)。
menjatuhkan vonis は「判決を下す」。直訳は「判決を落とす」。受動は dijatuhkan(言い渡される)。この文では yang dijatuhkan pengadilan tingkat banding=「控訴審が言い渡した」。di- 受動で oleh が省略されているので、直後の名詞が動作主です。
桁の換算:78 miliar rupiah = 780億ルピア。miliar=10億。78 × 10億 = 780億。miliar と juta と triliun の換算は、司法・経済ニュースでは必須です。背景解説②の表で整理します。
Pertanyaan: Apa akibat dari ditolaknya permohonan kasasi tersebut?
Jawaban: Akibatnya, vonis sembilan tahun penjara beserta kewajiban membayar uang pengganti sebesar 21 miliar rupiah yang dijatuhkan pengadilan tingkat banding tetap berlaku.
- NOMOR 4〜10 の精読(残り7文、すべて6層で分解。医療・防災・文化・スポーツ・政治・物価・交通)
- 背景解説②:数値の「掛かり方」と桁の換算。2,5 plus minus 1 のような入れ子と、juta / miliar / triliun を1枚の図に
- 背景解説③:インドネシアの機関名マップ。Kementerian・Badan・Dinas・Komisi・Mahkamah・Dewan・Perum の違いと、頻出略語
- 接辞を剥がして語根を割り出すための一覧表(pembasahan・penyaluran・pengoperasian が一気に読めるようになります)
- 失点の3類型と、次に押さえるべき3点








