134語で論説を組み立てる。食文化の継承をテーマに、設計 → 執筆 → 点検の手順をまるごと見せる
100〜150語という短さで論説を書くとき、いちばん多い失敗は語彙が足りないことではありません。設計をせずに書きはじめることです。
3部構成のどこに何を置くか、逆接をどこで一度だけ使うか、名詞化した語を主語に据えられるか——ここを先に決めてしまえば、あとは埋めるだけになります。
この記事では、課題を読んでから提出するまでの手順そのものを図8点で分解しました。3部構成の語数配分、論の運びのテンプレート、要求される派生形のチェックリスト、口語を書き言葉に直す対応表、接続語の使い分け、そして書いたあとの検算の方法まで。
あわせて134語の作例を1本置き、なぜその語を選んだのかを1文ずつ解説します。
今日のねらい:短い論説を「型」で書き切る
150語というのは、日本語にすると原稿用紙1枚ほどです。この長さで論説として成立させるには、言いたいことを1つに絞り、それを支える材料を3つだけ置くのが確実な方法になります。材料を4つ5つと並べると、1つあたりの説明が薄くなり、単文の羅列に見えてしまいます。
そして、書きはじめる前に決めておくべきことが3つあります。①結論は何か ②反対側の言い分は何か ③どこで一度だけ譲るか。この3つが決まっていれば、あとは Namun/Sebaliknya/Oleh karena itu を置く場所も自動的に決まります。
もうひとつ、この課題のように使うべき派生形が指定されている場合は、書き終えてから探すのではなく、設計の段階で置き場所を決めておくのが早道です。per-an は導入部の主語に、meN-i は本論の動詞に、ke-an は問題点の名詞に——と割り振ってしまえば、あとから無理に差し込む必要がなくなります。
図1:語数を先に割り振ってしまうと、「書きすぎて結論が入らない」という事故が起きません。導入は短く、本論に厚くが原則です。
図2:この5歩は、テーマが変わっても使い回せます。中身を考える前に、箱を並べてしまうのが短時間で書き切るコツです。
SOAL MENGARANG
テーマ領域:食文化の継承(Pelestarian budaya kuliner)/100〜150語
PETUNJUK
1. Pilihlah salah satu dari dua tema yang disediakan, kemudian tentukan sendiri judul karangan Anda.
2. Panjang karangan 100–150 kata.
3. Tulislah dengan ejaan yang benar dan tulisan yang jelas.
4. Gunakan bahasa Indonesia baku.
5. Karangan Anda harus memuat: A. Pendahuluan/B. Isi/C. Penutup
TEMA A Pewarisan kuliner tradisional di tengah menjamurnya gerai waralaba makanan cepat saji
(ファストフードのフランチャイズ店が林立するなかでの伝統料理の継承)
TEMA B Masakan daerah sebagai penanda jati diri budaya: antara pelestarian dan komersialisasi
(文化的アイデンティティの標としての郷土料理——保全と商業化のあいだで)
① bahasa baku の徹底 nggak/bikin/kayak/banget/lumayan は不可。tidak/membuat/seperti/sangat/cukup を使う。
② 接続語の使い分け namun/sebaliknya/oleh karena itu/dengan demikian/selain itu を、意味に合わせて使い分ける。並べるだけでは意味がない。
③ 派生形を各1回以上 meN-kan・meN-i・ter-・ke-an・per-an。例:melestarikan/mencicipi/terdesak/kelangkaan/pergeseran。
④ 受動 di- の織り込み 主語をぼかしたい箇所で di- 形を使う(… diwariskan secara turun-temurun など)。
⑤ 語数厳守 100語未満も150語超も不可。
狙う水準は「読みやすい上級作文」ではなく、論説として密度のある文章です。単文の羅列にせず、名詞化(peN-an/per-an/ke-an)を主語や目的語に据えた文と、譲歩(meskipun/kendati)を含む文を最低1つずつ入れてください。
図3:条件として指定されている接辞は、設計の段階で1つずつ場所を割り当ててしまいます。あとから差し込むと、文が不自然になります。
課題の条件には bahasa baku(標準的な書き言葉)とあります。会話で覚えた語が1つ混ざるだけで、文章全体の印象が変わります。混ざりやすい語を並べておきます。
図4:日常のやりとりで覚えた語ほど、書くときに手が勝手に動きます。提出前に、この7語だけ検索するつもりで読み返すと早いです。
もうひとつ、書き言葉らしさを決めるのが語の重ね方です。会話では sangat penting sekali のように強調を二重にしても自然ですが、書き言葉では sangat か sekali のどちらか一方にします。同じく agar supaya(どちらも「〜するように」)、demi untuk(どちらも「〜のために」)も重複です。短く書くほど硬くなる——これは日本語の作文と同じ感覚で通用します。
逆に、書き言葉で省いてはいけないものもあります。会話では落とせる接頭辞 meN- は、作文では必ず付けます。Dia beli buku は会話なら通じますが、書くときは Dia membeli buku。同じく nomor を no. と略したり、yang を yg と書いたりする省略形も、作文では使いません。
最後に、作文で見落とされがちなのが数と時の書き方です。1桁の数はふつう文字で書き(tiga daerah)、2桁以上は数字(25 persen)。文頭に数字は置かず、Sebanyak 25 persen … のように語を前に置きます。年代は pada 1990-an(1990年代に)、sejak 2010(2010年以来)。細かい約束ですが、守られているだけで文章が整って見えます。
ここから先は、作例と1文ずつの組み立て解説です
この先では、134語の作例を1本示し、なぜその語を選んだのか/どこに何を置いたのかをタイトルを含む11箇所で解説します。あわせて収録しているのは次の内容です。
- 接続語の使い分け表——逆接が1語に集中するのを防ぐ配分
- 名詞化の3系統(ke–an/peN-an/per-an)の作り分け
- 名詞化を主語に据える——報告調から抜け出す書き換え例
- 関係節の yang 落ちを防ぐ確認手順
- 書いたあとの検算のしかた——主語を代入して読み直す
- 提出前の点検リスト5項目と、復習語彙12












