25%の確率で受け継がれる病
ジャパネシアのオリジナル教材です。インドネシアで人口の3〜10%が保因者とされる遺伝性の血液疾患 talasemia(サラセミア)を扱った5段落・全16文。音声で聴き、5つの設問に口頭で答えたうえで、一文ずつ精読します。この教材の肝は pembawa sifat(保因者)という一語です。ここを「病気の人」と取り違えると、記事全体の論理が崩れます。背景解説と図解3点つき。
1回目は文字を見ずに通しで。2回目でメモを取り、3回目は数字だけを拾ってください。この音源には数字が9つ出てきます(3種類の病型・25/50/25パーセント・3〜10パーセント・2.500人・4.896件・10.973件・2012年・2021年6月・Rp2,78兆・第5位)。原文は STEP 2 にあります。
Pertanyaan ── 声に出して答えてください
- Apa nama zat dalam sel darah merah yang produksinya terganggu pada pengidap talasemia?
- Berapa persen peluang pasangan yang keduanya pembawa sifat melahirkan anak talasemia mayor?
- Sebutkan jumlah bayi yang lahir dengan talasemia mayor setiap tahun di Indonesia!
- Kandungan apa yang menumpuk di dalam tubuh pasien akibat transfusi darah yang berulang?
- Menurut Anda, apakah pemeriksaan kesehatan bagi calon pengantin di Jepang sudah lebih baik daripada di Indonesia? Jelaskan pendapat Anda dalam dua menit!
1〜4は本文に答えがあります。5は自分の意見を組み立てる問題です。答えを書かずに、口に出して録音してください。1〜4は「単語で答えられるか」ではなく「一文で返せるか」が本当の課題です。
タラセミア(talasemia)とは何か。まず日本語で全体像をつかんでおきましょう。日本ではあまり知られていない病気ですが、インドネシアでは国家的な課題として扱われています。
赤血球の中には hemoglobin(ヘモグロビン)という物質があり、これが酸素を全身へ運んでいます。タラセミアは、このヘモグロビンをうまく作れなくなる遺伝性の血液疾患です。酸素の供給が足りないため、患者は慢性の貧血に苦しみます。顔色が青白く、すぐ疲れる——記事が挙げているのはその症状です。
重要なのは、これが感染する病気ではないという点です。うつるのではなく、両親の遺伝子から受け継がれる。そしてここに、この病気のいちばん厄介な性質があります。
「保因者(pembawa sifat)」という存在。タラセミアの遺伝子を1つだけ持っている人は、ほとんど症状が出ません。健康に暮らしていて、自分が保因者だと気づかない。ところが保因者どうしが結婚すると、子どもは4分の1の確率で遺伝子を2つ受け継ぎ、重症型(talasemia mayor)として生まれます。健康な両親から、重い病気の子どもが生まれる——だから「自分たちには関係ない」と思っている人ほど当事者になりうるのです。
記事が「tidak sedikit pasangan baru mengetahui statusnya setelah anaknya didiagnosis(子どもが診断されて初めて自分の状態を知る夫婦が少なくない)」と書いているのは、この構造のことです。
そして治療は、生涯続きます。根本的に治す方法がまだ一般的でないため、治療は「支える」ものにとどまります。定期的な輸血、そして輸血で体にたまりすぎた鉄を排出する鉄キレート剤。2020年にインドネシア政府がタラセミア患者の治療に支出した額は2兆7,800億ルピア——非感染性疾患のなかで第5位です。だから記事は「治療より予防のほうが理にかなう」と結論します。
図1:保因者どうしの夫婦から生まれる子どもの確率。※模式図です。A=正常な遺伝子、a=タラセミアの遺伝子。25/50/25 は各妊娠ごとの確率であり、「4人産めば必ず1人」という意味ではありません。
Talasemia merupakan kelainan darah bawaan yang membuat tubuh gagal memproduksi hemoglobin, yaitu zat dalam sel darah merah yang mengangkut oksigen ke seluruh tubuh. Karena pasokan oksigen berkurang, pengidapnya menderita anemia kronis yang kerap ditandai wajah pucat dan mudah lelah. Penyakit ini terdiri atas tiga bentuk, yakni mayor, intermedia, dan minor.
Talasemia bukan penyakit menular, melainkan diwariskan melalui gen kedua orang tua. Apabila suami dan istri sama-sama pembawa sifat, setiap kehamilan berpeluang 25 persen melahirkan anak talasemia mayor, 50 persen anak pembawa sifat, dan 25 persen anak sehat. Padahal, pembawa sifat umumnya tidak menunjukkan keluhan sehingga tidak menyadari kondisinya. Akibatnya, tidak sedikit pasangan baru mengetahui statusnya setelah anaknya didiagnosis mengidap talasemia mayor.
Kementerian Kesehatan memperkirakan pembawa sifat talasemia mencapai 3 hingga 10 persen dari penduduk Indonesia, dan setidaknya 2.500 bayi lahir dengan talasemia mayor tiap tahun. Jumlah penyandang yang tercatat bertambah dari 4.896 kasus pada 2012 menjadi 10.973 hingga Juni 2021, atau meningkat lebih dari dua kali lipat. Kenaikan itu turut mencerminkan membaiknya penemuan kasus.
Pengobatannya masih bersifat suportif, terdiri atas transfusi darah berkala, obat kelasi besi, dan dukungan psikososial. Transfusi berulang membuat zat besi menumpuk di tubuh dan berisiko merusak jantung serta hati. Pada 2020 pemerintah mengeluarkan Rp2,78 triliun untuk perawatan pasien talasemia, yakni peringkat kelima penyakit tidak menular.
Oleh sebab itu, pencegahan dinilai lebih masuk akal daripada pengobatan. Elvieda Sariwati, Pelaksana Tugas Direktur Pencegahan dan Pengendalian Penyakit Tidak Menular Kementerian Kesehatan, menegaskan bahwa kelahiran bayi talasemia mayor dapat dicegah dengan menghindari perkawinan antarsesama pembawa sifat. Tidak jarang keluarga terpaksa menanggung beban seumur hidup karena skrining tidak pernah dilakukan.
Disadur dari situs Kementerian Kesehatan Republik Indonesia / ジャパネシア オリジナル教材(5段落・全16文)
各ブロックは原文 → 語注(語根つき) → 文の骨格 → 訳例 → POINTの5層です。医学用語が多く見えますが、覚えるべき新出語は10語ほど。残りは日常語+接辞で組み立てられています。
pewarisan は waris(相続する)、pencegahan は cegah(防ぐ)、penyandang は sandang(身に負う)、pengidap は idap(患う)、keluhan は keluh(嘆く)。語根が見えれば、専門語も日常語の延長として読めます。
綴りの落とし穴を先に潰しておきます。日本語話者は l と r が入れ替わりやすく、この記事の主役2語がまさにその罠です。
音として ta-la-se-mi-a、he-mo-glo-bin と区切って発音する練習をしてください。書けるかどうかより、口に出したときに l で出るかが本番です。
タイトルが記事の設計図になっています。pewarisan(遺伝)=第1〜3段落、pencegahan(予防)=第4〜5段落。peN-…-an の名詞2つで章立てを示すのは、行政・報道文の定番です。
「AはBである」+ yang 節で B を限定 + yaitu で最後の語を定義。3段構えの定義文。
設問1の答えはこの文にあります。問われているのは「産生が妨げられている物質の名前」——つまり hemoglobin。文中では yaitu の直前に置かれています。
設問の言い回しに注目してください。「zat … yang produksinya terganggu」(その産生が妨げられている物質)。病気が物質を妨げるのではなく、物質の産生が妨げられる。答えるときも設問の骨格を借りて Zat yang produksinya terganggu adalah hemoglobin. と返すと、設問を正しく捉えていることが伝わります。
merupakan と adalah の使い分け。どちらも「〜である」ですが、merupakan のほうが硬く、書き言葉・報道文向きです。定義文の主語が長いときにも merupakan が好まれます。口頭で答えるときは adalah で十分です。
bawaan は「生まれつき」。← bawa(持って生まれる)。penyakit bawaan(先天性疾患)、cacat bawaan(先天異常)、bakat bawaan(生まれ持った才能)。menular(感染する)の対極にある語で、第4文の伏線になっています。
Karena 節で始め、主節で結果を述べ、yang で症状を付け足す。Karena で始めたら、必ず主節まで走り切る。
kronis と akut を取り違えないこと。これは意見を述べるときにも効いてきます。
「重い貧血」と言いたくて anemia akut と言ってしまう例が多いのですが、akut は「急に起きた」という意味であって「ひどい」ではありません。重症と言いたいなら anemia berat / anemia parah。
ditandai(〜を特徴とする)は医療・報道で頻出の受動形です。Penyakit ini ditandai demam tinggi.(この病気は高熱を特徴とする)。ditandai (oleh) 〜 の oleh は落ちるのが普通。同型:disertai(〜を伴う)、diikuti(〜が続く)、dipicu(〜に誘発される)。
「Xは3つの型から成る。すなわちA・B・C」。数を先に言ってから列挙する。
「数を先に言ってから列挙する」型は、聴き取りの助けになります。tiga bentuk と聞こえた時点で「これから3つ来る」と身構えられるので、メモを3行分空けておけます。同型:terdiri atas dua tahap(2段階から成る)、mencakup empat aspek(4つの側面を含む)、dibagi menjadi lima kategori(5つの範疇に分けられる)。
mayor / minor は英語由来ですが、意味の幅が違います。ここでの mayor は「大きい」ではなく「重症型」。minor は「軽症型・保因者に相当」。医学用語として定着しているので、日本語に訳すときも「メジャー型」ではなく「重症型」と訳します。
この文は短いので、聴き取りで飛ばしやすい一文です。しかし記事全体で talasemia mayor が繰り返し出てくるので、ここで3種類あることを押さえていないと、なぜ毎回 mayor と限定しているのかが分かりません。
否定と肯定を1文で対比する。この記事全体の前提を1行で置く文。
bukan A, melainkan B ── ここは規則が決まっています。bukan と対になる逆接は melainkan であって、tetapi ではありません。
penyakit menular / penyakit tidak menular(PTM)は、インドネシアの保健行政で最重要の分類です。第13文にも「peringkat kelima penyakit tidak menular(非感染性疾患の第5位)」と出てきます。PTM=penyakit tidak menular の略語はニュースでそのまま使われるので、覚えておいてください。
kedua orang tua の kedua。「2番目の」ではなく「その両方の」です。ke- + 数詞は文脈で2つの意味を持ちます:kedua anak itu(その2人の子ども/その子の2番目)。ここでは orang tua(両親)が2人なので「両方の」。片親からだけでは発症しないという、この記事の核心が kedua の一語に入っています。
主語は setiap kehamilan(各妊娠)であって、夫婦ではない。3つの確率が並列。
この教材の核心はこの一語、pembawa sifat(保因者)です。設問2は「25パーセント」という数字だけを聞いているように見えますが、実際に測られているのは「誰が」25パーセントなのかを正しく言えるかです。
「両親が病気だから子が発症する」と読んでしまうと、記事全体が崩れます。両親は健康なのです。だからこそ自分の状態に気づかず(第6文)、子どもが診断されて初めて知り(第7文)、婚前のスクリーニングが必要だ(第15文)という論理につながる。この一語を取り違えると、第6文以降がすべて意味をなさなくなります。
主語は setiap kehamilan(各妊娠)です。ここも精密に読んでください。「4人産めば1人が重症型」ではなく、妊娠のたびに毎回25パーセント。4人続けて重症型になることも、4人とも健康なこともありえます。確率の話をするときに setiap が付いていたら、必ず「1回ごとに」という意味です。
答えるときの型:Peluangnya 25 persen, apabila suami dan istri sama-sama pembawa sifat. ——数字と条件をセットで返すと、理解して答えていることが伝わります。
- 第6文〜第16文の精読(残り11文、すべて5層で分解)
- 設問1〜5の模範解答と、つまずきやすい答え方:内容は合っているのに点にならない——その典型を1問ずつ
- 背景解説②:輸血が救い、そして新たな害になる。鉄過剰という逆説と、鉄キレート剤の役割を図解で
- 背景解説③:症例数が9年で2倍以上に増えた——それは悪化なのか、改善なのか。数字の読み方
- 意見問題(設問5)の組み立て方:「知らない」と切り出さずに正直さを保つ言い方、二重接続詞 Karena…sehingga… の直し方
- 全訳(5段落・通し)と重要語彙18語(語根つき)









