「Sirekap」が引き起こす信頼の失墜
※Sirekap=「Sistem Informasi Rekapitulasi Suaraの略」で情報システムデータ 「Sirekap」は、インドネシアの選挙で使用される集計情報システムを指しているため、その名前をそのまま使用することで、具体性が増します。
2024年の選挙は、もはや民主主義の祭典ではなく、民主主義の悲劇と言える。
※Pestaは基本的に「パーティ」と訳されますが、今回の内容の場合、「祭典」や「お祭り」という表現の方が、「pesta」の意味する「祝祭、祭り」のニュアンスに近いです。
※翻訳は直訳だけではなく、文化的なニュアンスや言語特有の表現を考慮する必要があります。このような点を意識しながら、より自然で原文の意図を正確に伝える訳を目指しましょう。
民主主義の悲劇と言われる理由は、今回の選挙が初めて、選挙プロセス全体に至るまで、非常に残酷なさまざまなスキャンダルで染まっているからである。
※「川上から川下まで」はメタフォリックな表現ですが、「上流から下流に至るまで」と少し調整すると、日本語としての自然さが増しますし、今回の選挙の文脈で言えば「選挙プロセス全体」を指します。これは比喩的な表現を直訳するのではなく、その意味を保ちつつ、受け手の言語に合わせた表現に変えるといいと思います。
「paling brutal=最大の残忍性を誇る」という表現もOKですが今回は、「非常に残酷な」という表現の方が自然で、原文の「paling brutal」の意味する強さを表現できます。diwarnaiは「染まっている」や「彩られている」といった訳がいいでしょう。
Karenaがあるので、「今回の選挙は、…からである」という構造にしたくなりますが、今回のように「理由は、…からである」と直接的に述べる方が、原文の意図をより明確に伝えることができますので、コツとしてKarenaを「理由は~」と訳す考え方を頭に入れておきましょう。
選挙プロセスの初期段階では、不正に操作された規則によって政治の倫理と礼節が損なわれたことが特徴である。
※Di hulu 「川上では」の表現は比喩的なもので、この文脈では「選挙プロセスの初期段階で」という意味で用いられていますので気を付けましょう。
直接的な翻訳よりも文脈に即した表現を選ぶことが重要です。
Ditandaiという単語は「示される」と直訳すると、主語と述語の関係が不明瞭です。選挙プロセスが「特定の特徴によって特徴づけられる」という意味合いです。
Rusaknyaも「崩壊」にしちゃうと、モノが壊れた感じになっちゃうので、「損なわれた」ぐらいがいいでしょう。
「aturan yang ditekuk」の訳: 「捻じ曲げた規制」と訳せます、でも、この表現は少し直訳過ぎますね。「曲げられた規則」という表現は、「規則が不当に操作された」という訳にすることで、「不正」があるようなニュアンスを持たせることができます。
選挙運動時、選挙の品位を守るべきでありながら中立性を遵守すべき当事者が、誓いに反して偏った立場をとっている。
※「pihak-pihak yang mestinya menjaga muruah pemilu」の訳とすて 「総選挙の威厳を守るべき関係者ら」と訳しがちですが、「選挙の品位を守るべき当事者」とすることで、より原文の意味を捉えることができます。「品位=muruah」は選挙の尊厳や品格を指し、単に「威厳」よりも広い範囲の価値を含みます。Pihakは「当事者」がいいでしょう。
「menaatiは」「(中立性)を遵守して」とすることで、義務や規則への従順さをより強調できます。硬い文章に「遵守」って言葉はピッタリ。
「menabrak」は直訳だと「ぶつかる」です。ただし、このまま訳せないので「誓いに反して偏った立場をとる」と表現することで、行動よりも意図や態度に重点を置くことができます。
具体性と精度: 翻訳では、原文の意味をできるだけ正確に伝えるために、具体的で精度の高い言葉を選ぶことが重要です。特に政治や選挙に関する文脈では、言葉一つ一つが大きな意味を持つことがあります。
文化的・言語的ニュアンスの理解: 特定の表現が持つ文化的または言語的ニュアンスを理解し、それを目的言語でどのように表現するかを考えることが大切です。これにより、より豊かで深みのある翻訳が可能になります。でもこれは練習あるのみだな。
選挙プロセスの後半で、具体的には2月14日の投票後、選挙管理委員会の集計情報システム(Sirekap KPU)のデータにおいて投票数の計算に関する混乱が明らかになった。
※「Di hilir」は「川下で」だけど、この文脈で言えば、「選挙プロセスの後半で」という意味です。この表現は、選挙後の事象を指しており、選挙の投票後の段階を意味します。
「penghitungan suara pada data Sistem Informasi Rekapitulasi alias Sirekap KPU」の訳:として「選挙管理委員会の集計情報システムデータにおける投票計算の混乱」と直訳ができるが、Sirekap KPUを明確に名指しすることで、読者にとってより理解しやすくなりますので書いてていいと思います。
そのアプリケーションは、投票所(TPS)の選挙結果を記載した公式文書「lembar C」に記載されたデータと異なる情報を表示していた。
※「lembar C hasil plano pemilu」の理解について、おそらく知らない人が多いと思います。 「lembar C」は選挙の結果を記録した公式文書またはフォームのことを指します。「hasil plano」は、ここでは「選挙結果の公式記録」と理解する方が適切です。「plano」は紙などのサイズや形式を指すことがありますし、rapat pleno(全体出席型の「本会議」)といった意味もありますが、この文脈ではそのような具体的な意味よりも、「公式記録」という文脈で理解するべきです。
「berbeda dengan」の訳: 「違った」と訳しがちですが、menampilkanとセットにして「〜と異なるデータを表示する」というように、より明確に対比を示す表現が適切です。
現時点で、少なくとも2,325の投票場で結果と集計情報システム(Sirekap)との間に投票数の差異が見つかっている。
※「perbedaan suara antara hasil dan Sirekap」の訳: この表現は「結果とSirekap間の投票数の差異」と訳すことができます。「選挙票の違い」と訳されがちですが、より正確には「投票数の差異」と表現する方が原文の意味に忠実です。
文脈の明確化としてHingga kiniは「これまで」と直訳すると、継続的な状況を示していますが、この文脈では「現時点で」という意味を強調すると、時系列の文脈がより明確になります。
公衆もまた、選挙運営者の実施能力に対してますます不安に思っている。
※「kinerja penyelenggara pemilu」の訳: 「選挙運営のパフォーマンス」と訳す方が多いですが、「選挙管理者の業務遂行」や「選挙運営者の実施能力」といった表現の方が原文のニュアンスをより正確に捉えています。
「Publik pun kian resah」を「公衆もまたますます不安に思っている」とすることで、”Publik pun”の「さらに」「また」という意味合いを強調し、文の流れにおける状況の悪化を示すことができます。
一部の人々は、ましてや選挙での投票が無駄だと感じている。
データの読み込みミスのようなただの技術的な問題にすぎないわけではなく、繰り返し発生することから、それが意図的な誤りである可能性が高いと多くの人が考えることは驚くべきことではない。
※「kesalahan itu bukan semata persoalan teknis」の訳は「その過ち単なる技術的な問題ではない」とできますが、「その誤りがただの技術的な問題にすぎないわけではない」とすると、原文のニュアンスをより正確に反映できます。
そして「kesalahan yang disengaja karena terjadi berulang」を 「繰り返し発生していることから、故意の過ちである」と訳すよりも、これを「繰り返し発生することから、意図的な誤りである可能性が高い」とすることで、故意であるとの疑いがあることをより明確に示すことができます。
2017年第7号選挙法に基づき、集計情報システム(Sirekap)は実際には選挙結果の決定基準とはならない。
「Berdasarkan」の訳は 「~によると」と訳すことができますが、「~基づいて」とすることで法律の根拠に基づく事実を示す際の自然な日本語表現になります。
「memang」の訳はいろいろあって大変ですね。「当然」と訳すこともできますが、この文脈での「memang」は「実際には」や「実は」のニュアンスを含むことできます。この場合「当然」でも意味は通じますが、「実際には」と訳した方が原文のニュアンスにより忠実かもしれませんね。
「acuan penetapan hasil pemilu」を訳す際、どこで切るかによって日本語のわかりやすさが変わります。例えば「選挙結果決定の基準」と訳す人がいるとします。これは正確であり、特に改善する必要はありません。ただし、「選挙結果の決定基準」と少し語順を変えることで、日本語としての流れをスムーズにできます。
集計情報システム(Sirekap)は、投票の集計結果と票の集計プロセスを公表するための補助ツールとして機能している。
※「alat bantu sarana publikasi」の訳として 「公開する手段としての補助装置」と訳すこともできますが、選挙の文脈においてまた、「公開する」というよりは「公表する」の方が、公式な情報の提供を指す場合に適しています。
選挙結果確定の土台となるものは、手作業による段階的な集計である。
※「Yang menjadi dasar penetapan hasil pemilu」について、この部分は「選挙結果の確定における基礎」と訳すこともできますが、「選挙結果確定の土台」という表現がこの文脈で非常に適切です。これは、選挙結果を決定する基本的なプロセスを指しています。
そして「penghitungan manual berjenjang」: 「手作業による段階的な集計」という翻訳は、原文の意味をよく捉えています。これは、票数の集計が複数の段階を経て行われ、それぞれの段階で手作業によるチェックや計算が行われることを示しています。berjenjang=bertahap
しかし、2024年第5号選挙管理委員会の規定では、集計情報システム(Sirekap)が郡レベルでの投票数集計のデータソースとしての役割を果たすツールであると述べている。
※「instrumen sumber data rekapitulasi penghitungan suara di kecamatan」について: ここでの「instrumen」を「ツール」と訳すことで、Sirekapの機能をより具体的に表現することができますね。「郡の投票算出集計データ源」という部分は、「郡レベルでの投票数集計のデータソース」として訳すことで、Sirekapがどのような目的で使用されるかを明確にします。
これは、集計情報システム(Sirekap)が引き続き参照されることを意味している。
「Itu artinya」: 「これはつまり」と訳すことができますし、この表現は原文の意味を正確に反映しています。ただし、「これは…を意味しています」と少し言葉を補って説明的にすると、日本語としての読みやすさが向上します。
「Sirekap tetap menjadi rujukan」: 「集計情報システム(Sirekap)が引き続き参照される」という表現は、Sirekapが依然として重要な情報源や基準として機能することを指しています。ここで「参照となるものである」をIni artinyaとうまくくっつけて「参照されることを意味しています」とすることで、文がより流れるようになり、意味も明確になります。rujukaは名詞だから、必ず名詞として訳す。と頭がガチガチになると日本語としての自然さが失われることが多々あります。これはまあ、インドネシア語の難しさですね。(;^_^A
集計情報システム(Sirekap)の不具合は、郡レベルでの投票集計のスケジュールにも影響を与えている。
「Rusaknya Sirekap」:は「集計システムデータ(Sirekap)の崩壊」と訳と訳しがちだと思います、rusakも意味は広く、このような機械の故障みたいな時には「不具合」という言葉を使用することで、システムの問題や故障をより明確に示すことができます。
「bahkan」は日本語的には「さらに」や「も」を使うことで、「その影響が予想以上に広がっている」というニュアンスを強調できます。しかし、この文脈では「影響を与えている」自体がすでに影響の広がりを示しているため、直接的な訳出は必要ないかもしれません。このような場合はスルーもOKだと頭に入れておいてもいいかもです。
「di kecamatan」: 「郡での」と訳せますが、「郡レベルでの」とすることで、影響の範囲と具体性をより明確に伝えることができます。
地域のほぼすべての選挙管理委員会は、当初2月18日に予定されていた郡レベルでの投票集計のスケジュールを2月20日に延期した。
さらに、その延期は疑念を引き起こした。
「memantik」は「火をつける」、「触発する」、「起動させる」といった意味を持ちます。この文脈では、「疑念や疑問を引き起こす」または「疑念の火をつける」という意味合いで使われています。したがって、この場合、「疑念を引き起こした」という表現の方が、原文の「memantik」の意味をより直接的に反映しています。
確かに、選挙管理委員会はSirekapの修正のために時間を求めている。
「Benar bahwa」: 「その通り」と訳すことができますが、「確かに」という表現の方が、肯定的な確認を示す際に自然な日本語です。
「KPU」: 「選挙監視委員会」と訳されていますが、「選挙管理委員会」と訳すのが一般的です。KPU(Komisi Pemilihan Umum)はインドネシアの選挙を管理する公的な機関です。
「meminta waktu untuk membenahi Sirekap」: 「集計情報システムデータの修正するための時間を要求している」と訳されていますが、「Sirekapの修正のために時間を求めています」と少し語順を整えることで、より明確かつスムーズな日本語になります。
しかし、積み重ねられた失望は、選挙管理機関への信頼を失うような批判的な大衆を生み出している。
集計情報システム(Sirekap)のデータ混乱に対する対応の遅れが、悪意のある憶測を引き起こしている。
特に、選挙管理委員会はSirekapのデータの混乱を軽視している印象がある。
※「集計情報システムデータの無秩序を甘く見ている」とも訳せそうですが、「Sirekapのデータの混乱を軽視している印象がある」という表現に変更することで、KPUの態度を指摘する際の表現が柔らかくなり、文脈上適切なニュアンスを与えます。また、「印象がある」を加えることで、観察者の視点からの評価であることを示し、断定的な表現を避けています。
選挙管理委員会のハシム・アシャリ会長によると、Sirekapのデータ読み込みエラーは軽微なものに分類されるとのことだ。
※「軽微なものに分類される」という表現は、エラーの重要度が低いことを示しており、原文の「minor」という言葉の意味を適切に反映しています。
その理由は、彼によれば、既に358,775の投票所がSirekapアプリケーションに自らのデータをアップロードしているからである。
※「yang mengunggah datanya ke dalam aplikasi Sirekap」: 「集計情報システムデータアプリの中にデータをアップロードした」と訳されていますが、「Sirekapアプリケーションに自らのデータをアップロードしている」とすることで、行為の主体が投票所であることがより明確に表現されます。
ハシム氏によると、2,325の投票所でデータ読み込みエラーが発生したことは、提出された全データのうちエラーが含まれているのはわずか0.64%、つまり1%未満に過ぎないことを意味している。
※文の構成に関して 「ハシム氏によると」という導入部を先に持ってくることで、発言者が誰であるかを明確にし、その後の情報が彼の説明であることを強調しています。
選挙管理委員会がさらなる混乱を引き起こすことで、状況は一層複雑になった。
※「Kondisi makin runyam」: 「状況はますます複雑化した」と訳すことができますが、「一層複雑になった」という表現は、「makin」が示す進行形の強調をより明確に伝えます。
「ketika KPU menciptakan kesimpangsiuran」: 「選挙管理委員会が混乱を起こした際」と訳すことができますが、「さらなる混乱を引き起こすことで」とすることで、KPUの行動が状況を悪化させたという原文のニュアンスを強調します。
バンテン州選挙管理委員会は中央選挙管理委員会からの指示を受けて、2024年総選挙の郡レベルでの集計作業を停止しことを認めた州の一例である。
この停止はインドネシア全土で日曜日(2月18日)から月曜日(2月19日)にかけて同時に実施され、その結果、郡レベルでの全体会議は火曜日(2月20日)に開始されることになりました。
※「rapat pleno di tingkat kecamatan」: 「郡レベルでの全体会議」と訳していますが、これを「郡レベルでの全体会議は…に開始されることになりました」という形で結びつけることで、文の流れが自然になります。
Rapat Plenoについてだけど、これは、直訳すると「全体会議」や「総会」となります。選挙の文脈では、選挙管理委員会が主催する公式な集まりや会議を指し、特に選挙結果の集計や確定、その他選挙に関連する重要な決定が行われる場を意味します。郡レベルでの「rapat pleno」では、その地域の選挙結果を集計し、公式に発表する作業が行われることが一般的です。この会議は選挙プロセスの透明性を保証するために公開で行われることが多く、関係者やマスコミが参加することもあります。
その停止は、郡レベルで収集されたデータの正確性を確認するためのものである。
しかし、選挙管理委員会のコミッショナーであるイダム・ホリック氏は、そのような指示があったという事実を否定した。
彼によると、郡選挙委員会(PPK)での集計作業は引き続き進行中であるとのことだ。
※「郡選挙委員会(PPK)」と略称を括弧で示すことで、正確な機関名を明示することをクセづけておこう。
しかし、現場での事実は、その選挙管理委員会のコミッショナーの反論が、選挙管理委員会がこの国にとって重要なイベントに対して不真面目な態度を取っているかのような疑念を一層強めていることを示している。
現場での言葉と実際の事実との間の違いが、不信感をさらに深め、信頼をますます薄れさせている。
※「信頼度を下げている」と訳してしまうより 「信頼をますます薄れさせています」とすることで、信頼が徐々に失われていくプロセスを表現します。
選挙管理委員会は過去から学ばなければならない。
特に、2024年の総選挙における76.6兆ルピアの予算は、2019年の総選挙の予算と比較して2倍に増加しており、それに応じて専門性も倍増するべきである。
もし選挙管理委員会が学習せず、さらにSirekapのデータの不確実性や混乱を放置した場合、2024年の総選挙における不正行為が以前の選挙よりも悪質だと判断する市民を責めることはできない。